■010□勝手な行動はするな!
いつもいつも、平凡な人生を迎える俺…
赤い糸は一体どこに繋がっているんだろうと考える時もあった。
自分が情けなくて…
死にたいと思う時もあった…
でもそんな度胸がないのは自分でも分かっていた。
ケータイで出会い系にも手を出そうと考えたけど、会った時のことを考えると、この性格だから諦めた。
そんな俺は、風邪をひいた。
考えてみた、今、学校の奴らが俺のことをなんて考えているのかと。
<あいつどうせ、水月に顔合わせられないから仮病使ってるんだぜ!>
<もしかして、失恋で死んだかも!!>
<そんな奴いたっけ?>
<あいついなくても、何も変わんねぇーな!このクラス。あいつ必要ないじゃん!>
そこで、水月が俺をかばうように…
何考えてるんだろ、俺。
いろいろ考えてしまう、妄想してしまう。
そんな自分を変えてみたいとは何度も思った。
けど、癖みたいなもので、直すことはできなかった。
こんな性格になったのは、小学校の時の周りの環境が悪かったからだ。
周りの奴は俺を馬鹿にしたりいじめたりしてきた。
それに俺は弱い人間だし、相手の機嫌を損なわないように生きてきた。
だから……だから今の現状に至っている。
どうせならタイムマシンで過去に戻って、当たって砕けろの精神を持った男に生まれ変わりたい。
でも、そもそもタイムマシンがないから無理。
…ド…えもん、助けてくれ…
数時間後―――
いつの間にかに眠っていた俺は、うるさく鳴るチャイムの音で起きた。
一体誰だよ…俺は病人だぞ。
玄関のドアを開けてみると、そこにはユカリたちがいた。
「何してんの?」
俺のそっけない答え方…やっぱり自分を変えたいな…
「何って見舞いに決まってるじゃん!」
ユカリは俺とは正反対に生き生きと答えた。
「ふ〜ん、ありがと、それじゃあ」
俺が玄関のドアを閉めようとすると、まるでセールスマンがやるような手口でドアを止められた。
「あんた、せっかく現役女子高生が、あんたみたいな奴の所に見舞いにきてんだから、もっと喜びなさいよね!」
俺はさっさと眠りたかっただけなのに…
そのまま、ユカリたちはずかずかと家の中に勝手にあがった。
この3人組…本当に見舞いに着たのかよ…
「それにしてもあんたさー、寝てなくて大丈夫なの?」
お前らが起こしたんだけど…
「あぁ?もぉ大丈夫だよ、熱も下がったし!」
その時口から大きなくしゃみが出てきた。
「あんたやっぱまだ寝てたほうが良いわ」
一方、神田と、水月は勝手に台所を使っていた。
俺ん家を何だと思ってんだよ…
30分程度するといい匂いがしてきた。
台所に行って何を作っているのか見に行こうとすると、ユカリに止められた。
病人は寝てろとのこと。
なら俺は言う、人の家での勝手な行動はするな!と。
でもそれを言えないんだよな…