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売買方法の違い

<売買方法の違い>


今日も結衣さんの部屋で『1円作戦』を発動。

これで今日も8000円稼いだ。

つまり今日の純益は5600円。


二日間で11200円のお小遣いか。

一か月分のお小遣いを稼いだ事になるんだろうけど、実感がない。

数字の上だけで、お金を見ていないからかな。


今日は、トレードが終わってから結衣さんの講習が始まった。

「じゃあ健二君も自分で銘柄を探せるように、銘柄を探すコツを教えてあげるね。」

「はい、よろしくおねがいします。」


そして、某コンビニのチャートを出してくれた。

「じゃあこれを見て。これで気づいた事を言ってみた。」

「えっと、右上がりだから株価が上がっている銘柄です。」


「そのとおり。でもこの折れ線グラフが三本あるでしょ。この線は移動平均線っていって、凄く重要なんだよ。デイトレードではこれが上を向いていようと下を向いていようと儲けられるんだけど、『今日は売りと買いのどちらが有利か?』を知る事ができるから重要ね。」


「そういえば、デイトレード以外の買い方って知らないな。」


「オッケー。じゃあ株の買い方は大きく分けて三つあるという事から話そうかな。」

「はい、師匠。」


「まずは私達がやっているデイトレードね。日本語では『日計り商い』と呼ばれているんだよ。その日のうちに売買を完結させてお金に買えるやり方でWEB証券取引が普及したことで人気が出た方法なの。」


「へえ、新しい方法なんですね」


「私としてはこれが一番安全な方法だと思ってるよ。暴落の被害にあいにくいし、損失を出しにくいから。欠点としては時間が無い人には難しいっていう側面があることかな。」


「つまり僕ら自宅警備員にはベスト方法ってことかな。」

「そういう事。もう一つが数日~数ヶ月で売買を完結させるトレード。コレは『投機』と呼ばれることもあるよ。普通の株売買をしている人の殆どがコレだね。テクニカル指数というチャートを使いこなすことで先を予測して売買するの。数日で売り買いする方法は特に『スウィング』と呼ばれて人気だよ。一番効率が良い方法とも呼ばれているんだよ。」


「へー、じゃあスウィングとかいう方法も悪くないんですね。」

「悪くはないね。でもこれは相性の問題だからどれが良いと言うのは断言できないかな。ただ私は安全性を重用視しているから、スィングはやらないけどね。」


「デイトレよりも危険?」

「そうだよ。たとえば不祥事とかの報道は15時以降に行われることが多いの。するとそ次の日はその会社の株価がすっごく下がるのよ。こればっかりは予測するのが難しいから、出くわしちゃったらあきらめるしかないけど、そういう危険を受ける可能性も少しあるってことだよ。」


「なるほど。じゃあ最後のひとつは?」

「それが『投資』と呼ばれる、長期間株を保持する方法。20世紀の頃だと株を買うというと、この投資の事をさしたものだったんだよ。株主優待とかの旨みも投資で貰うことが多いんじゃないかな。」


なんか聞いたことがある言葉が出てきた。

「株主優待?」

「あ、これも説明しなくちゃね。株主優待って言うのは株主にプレゼントをくれる制度だよ。買う銘柄毎に年に1~2回株主優待の確定日があって、その時に持っている株数によって得点がもらえたりするんだ。配当金と言われるものもこの時もらえるよ。」


「なんか投資というほうも有利に聞こえるんですが・・・。」

「うーん、でもたとえば配当金が0.5円とだとするでしょ。すると1000株買っていても年にもらえる配当金は500円だね。さらに株主優待券として10000株持っている人に5000円分の無料券がでたりするとしましょうか。でもデイトレなら5000円分くらい一日で稼げるでしょ。一年で5000円の利益は少ないよね。」


「利益が薄いんですね。」

「それにその会社で不祥事が起きたり、決算の中間報告で黒字予定を下降修正したりしたら、一日で株価が下がるの。そうなったら大きな損をするから怖いよね。その会社のファンで資金援助のつもりならいいけど、儲けたいならお勧めしないかな。」


「株を保持する期間によって、まったく性格が変わるんですね。」

「そうだよ。だから曖昧な知識で適当な事をするのはダメなの。その買い方の性質に合わせた売買をしないと危ないんだよ。よく『塩漬け株』を持つ人がいるけど、これなんかは買い方を間違えている最たるものだね。中期短期のトレードをするなら損しそうな株は逆指値を設定しておいて、バンバン損切りしないとだめなんだけど、それをしないから塩漬けで損をするの。自分のスタイルをしっかり守ることが一番儲かるから、これは肝に銘じてね。」


「うーん、ってことは僕だったらどんなに損をしても、デイトレードのスタイルを守ることが結果的に損を減らすってことですか?」


「そのとおり。健二君、賢いぞ。」


てへへ。褒められちゃった。


すると、結衣さんが今日トレードした銘柄を見せてくれた。

「これは私が今日トレードした銘柄だよ。見てもらうとわかるけど日足の移動平均線は下がり気味でしょ。長期投資やスウィングの人たちはこういう銘柄は狙わないの。でもデイトレは違うの。」


「・・・して、そのこころは?」


結衣さんはチャートを5分足に変更する。

5分足と言うのは5分刻みで一日の間に起きた値段の動きを示すチャートだ。

「見て、大きく動いているでしょ。」

「うお、本当だ。」


チャートの折れ線グラフが大きく上がり下がりしている。

「この銘柄はコレだけ一日の中で値が動いたの。差額にして15円。これは大きいよ。ちなみに私は5000株買って、うまく11円の差額を取ったの。いくら儲けたか?」

「えっと・・・・、55000円!」


「そう。手数料や税金を引くと40000円くらいだけど。これがデイトレの売買の仕方。そもそも狙う銘柄の特徴が違うから、この銘柄でスィングや投資したら大損しちゃうの。自分が行う手法にあった銘柄を選ぶから、多少損しても軽々しく銘柄の方針転換をしてはいけないの。」


「銘柄選びは、まずはトレード手法を決めてからでないと意味が薄くなるわけですか。むむむ、なんか難しくなってきましたぞ。」


「スグ覚えるよ。だって毎日やるんだから。」

「それもそうですね。」


結衣さんはネットゲームの用意を始めながら、思い出したように補足してくれた。


「そうそう、株の世界では9割の人が負けるっていわれているんだよ。でも私が思うに9割くらいの人は、この手法の明確化の必要性すら知らない人たちなんじゃないかと思うんだ。こんな基礎的な事すら勉強していない人がゴロゴロいるんだよ。勝ちたければ人より勉強すれば良いだけなのにね。」


勝つためには、相応な努力が必要。

株と言うと博打みたいに思われている世界だけど、人より勉強したら勝ちやすくなるという、当たり前な法則で動いてることに、ちょっと感心しちゃった。



お読みくださりアリガトウございます。


僕はデイトレ予定で買いをいれて、安易にスウィングに変更して損をしたことが数回有ります。

そう、数回有るのです。

人はなぜ同じ過ちを繰りかえすのだろう。

人間って、悲しいですね(いや、僕が馬鹿なだけです・・・)。


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