第2話 ケン、タブレットでステータスを確認する
第2話です。
よろしくお願いします。
<第2話>
「トンネルを抜けるとそこは、廃村的な何かだった……」
光の渦をに飛び込んだ建は、廃墟と化した村に立っていた。
町というような規模ではない広さだったので「村」と考えた。
そして、ボロボロに朽ち果てた建物が何軒も残っていたので「廃墟」と認定した。
「いきなりの展開で、オレ様ちょっとびっくり」
とはいえ、神様達も「荒廃した世界を立て直す簡単なお仕事です」と言っていたのでしょうがないかとも思って見たりするのだったが。
『簡単なお仕事ですと言っていた事実は存在しません、ご主人様』
「何奴!?」
突如聞こえてきた、某ボーカロイドを彷彿とさせるような電子ボイスにツッコミを入れる建。
さすがである。
『想定通りのリアクション、ありがとうございます。ですが、時間が惜しいのでその辺で』
「冷静だな。まあ、仕方ないな」
『はい。何せ私は機械ですし』
「神の力を宿した機械生命体か。ロマンだな!」
『はい。ロマンの塊といって差し支えないかと。それよりもご主人様』
「なんだ?」
『そのロマンの塊に、ぜひ名前を付けてくださいませんか』
タブレットとから「名前を付けてくれ」と頼まれる異世界転移者。
これもロマンというものか。
「どちらかといえばお約束か」
『どちらでもご主人様のお好きなように。ちなみに私の意識は女性型であると宣言しますよ?』
「そうか……」
腕組みをしてうんうんと唸る建。
ややあって、顔を上げる建。
「よし。お前の名前はリンゴだ」
『安直ですが、了解しました。以降、私の名前はリンゴです』
タブレットが某有名なリンゴだったせいだろう。間違いない。
ちなみに建の頭の中ではリンゴかエアの二択だったようだ。
安直な男である。
「さて、それはそれとしてだ。こんな廃村に降り立ったわけだが」
『そのようですね。ときにご主人様』
「なんだ、リンゴ?」
『一度、ご主人様を画像データに収めたいと思うのですがよろしいですか?』
「構わんが、どういうことだ?」
『すぐに分かります』
リンゴに言われるがままに自らを写真に撮って画像データに保存する建。
『ご覧ください、ご主人様』
そう言って画面に表示されたのは、建本人の「ステータス画面」だった。
「おおっ!?」
『やはり異世界といえば、この要素は必須でしょう』
画像と名前、年齢、身長、体重のようなパーソナルデータ。
そしてLVとHPとMP、筋力などのステータス。
それと保持スキルに称号。
「ゲームみてえ……」
『肯定します。ですが、今回のケースはこの方式が妥当であると判断しました』
「ま、まあ、分かりやすくていいよな。うん」
改めてステータス画面を確認してみる建。
LVは1だ。
HPとMPはともに100。
「ってか、名前が建から『ケン』にカタカナ表記になってるな」
『この世界に漢字は存在しないようですので』
「まあいいか。一回死んだんだし、生まれ変わったと思ってケンで生きていくか!」
写真をみる限りでは、見た目は特に変わっていないようだ。
少し引き締まったような気がするくらいか。
そして、体力、敏捷力、知力、生命力、精神力、運の6つのステータスは全て10。
「さて、これが高いのか低いのかだな。HPとMPだってどんなもんか……」
『HPとMPはこの世界の標準に照らし合わせると十分に高いと判断できます。能力値についても同様です』
思わず呟いたケンの疑問にリンゴがすかさず答える。
「わあっ、すごいやリンゴ……っとでも言うと思ったか!」
『すでに言っておりますが?』
「はっ!? しまった!?」
『ちなみにHP、MPについてはLV1世界標準の10倍。能力値については3〜5倍程度です』
ケンの戯言はスルーですかそうですか。
「ということは、HPとMPはLV1なら10程度。能力値は2から3が標準か」
『そうなりますね。破格の性能ではあります』
「神様チートにしては微妙な数値だなあ」
ここでステータスMAXからの「LV1からのステータス無双。最強転生者の悠々自適ライフ」とはいかないようである。
「ま、そこはおいおいでいいか。それよりもスキルだな」
スキル欄に表示されているのは
01.ブレイク…発動者を中心にして半径5m以内にあり、かつ体積が1立方メートルまでの物質を破壊し、根源元素へと還元する。ただし、生物に対しては発動しない。還元された物質は、発動者の管理領域にスタックされる。消費MP2。
02.クリエイト……発動者を中心にして半径5m以内の指定した場所に、ブレイクによってスタックした物質を、指定した場所に体積1立方メートル以内で生成する。ただし、生物をクリエイトすることはできない。消費MP1。
03.コンストラクト……スタックした物質をもとに、体積1立方メートル以内のものを構築する。ただし、発動者が構築物について理解しているものでなくてはならない。消費MP10。
04.デコンストラクト……コンストラクトした構築物をスタック状態へ戻す。消費MP10。
05.セーブ……発動者が生成した構築物を管理領域に保存する。ただし、発動者が構築したものに限る。消費MPはサイズに比例する。
06.ロード……管理領域にセーブしたものを人にの場所に出現させる。消費MPはサイズに比例する。
という6つのスキルと、それに加えて1つ。
07.ステータス……対象のステータスを読みとる。ただし、対象を『リンゴ』に画像として保存する必要がある。消費MP1。
「写真に収められないもののステータスは読み取れないってことか?」
『要検証ですね』
「だな」
それに加えて称号である。
「なになに……」
01.異世界転移者
02.技工の女神に愛されしもの
03.最高神の加護
「どれも人には見せられんわー!」
『見せる気もないでしょうに』
「一応な」
詳細な内容は分からないので、何となく所持していることにしたケン。
実際のところは、あるとないとでは大違いなのだが。
何せ神々の加護であり祝福であるからして。
「さて、ステータスチェックも終わったところで、スキルの検証に入ろうかね」
『了解です、ご主人様』
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