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19.つけてくる足音

ハニューシカさん一人称語りです

 私はある豪邸からの帰り道でした。私の住んでいる公園までは電車で3駅のところです。駅に向かう間に、私はあの双子のことを思い出しました。あの双子のお宅はこの辺りだからです。

 もう薄暗くなる時間ですから、きっとお家に帰っていることでしょう。そういえば、私が訪問した2回とも、お二人は明るい時間にお家に帰っていましたね。部活とかバイトとかしないのでしょうか。

 駅まであと5分くらいのところを歩いていて、私は近道をすることにしました。というのも、何か私の後をつけてくる足音が聞こえたからです。

 こんな商売をしているせいもありますが、私は結構目を付けられています。だいたいのお客さんは私のことを宇宙人だとは知らずとも、珍しい物を売る販売員だということを秘密にしてくださいます。秘密にしなければもうその家には行かないからです。ただ、どうしても秘密を守れないお客さんはいるものです。手に入れた珍しい品物を自慢したくなってしまうのでしょう。

 そういう場合は、こうしてお客さんの「お友だち」が私の後をつけてくるというわけです。もうそうなったら、やりたくない手ではありますが、私のことは忘れてもらうしかありません。それでお客を一人、または二人、失うことになるので、信頼できる人にしか品物は売らないように気を付けなければいけません。



 ただ、違う場合もあります。

 お客さん個人というレベルではなくて、大きな組織が私の素性を知ってしまうことが時々あります。どうして知られるのか、彼らは情報のプロですから、どこかから私の存在を知るのでしょう。それで接触してくるのです。大きな組織と言っても、国家レベルや警察レベルの場合もありますし、マフィアやテロ集団と言った犯罪組織の場合もあります。まあ、今のところ犯罪組織の方に知り合いができたことはないのですが、一度だけ警察関係の人がつけてきたことがありました。

 そうなると、個人レベルではありませんから、一人二人の記憶をどうにかしたところで埒があきません。その場合は、私の存在を変えるしかありません。まあ、とにかく大変です。

 さまざまな場合がありますが、犯罪組織の場合はいきなり脅して来たりするので、身の危険もありますし、警察組織の場合でも、大っぴらに知られてしまえば、私の星の監視に抹殺されてしまうので、どちらにしろ命の危険があるわけです。



 ということで、私の後を誰かがつけてくる足音には、とても敏感に反応します。

 近道のほうに行けば、人けのない河川敷に出られます。それで橋げたの人目に付かないところから「どこへでもドア」を使おうかと思いました。それならば、後を追ってこられないでしょう。

 だけど、どんな人が後をつけてくるのか知っておいた方が良いのも確かです。

 とにかく人目がない方が良いので、河川敷の方へ歩いて行きました。足音は確実に私を追ってついて来ました。

 どんな人でしょうか。犯罪者だったら危険なので、私は「盾」を取り出しました。この盾は、いわゆる「バリア」です。私の半径50センチ以内に、悪意や害意のある人や物が近づけないようになっています。便利な道具です。

 こんな便利な道具を、犯罪組織に知られてしまうと、確実に没収されてしまうでしょうが、まあ、多分地球人には見えないうえに、何が起こったか分からないはずです。

 私は見えない盾に守られているとはいえ、少しばかりビクビクしながら、なるべく何食わない顔をして、歩き続けました。


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