予想外
青いパーカーに左右非対称の髪の長さの少女に声をかけられた。
「君、消えかけてるね。」
え? という口の動きと首の傾きで返す。
「そのまんまの意味だよ。」 とまるでおちょくるように口を大きく動かし、頬をつついてきた。
近い.....
とにかくこの少女の顔が近い..... ..... 。
見た感じ自分と同年代(15)っぽいのだが背が少し低い。
おーい、ダイジョブかー? と急に意識を戻らされる。
コクコクと頷き返す。..... 危なかった....
「さて、さっきの続きだけれど.... 聞きたい?」
正直、聞きたくない。首を横に往復させようとする....が、頭を上から押さえ付けてきた。
「君はボクの善意を受けない気かい?」
落ち着いた口調.... どうやら縦にふるしか無さそうだ。チッ
コクンッ
「分かった、聞かせてあげようか。」
目を塞がれ... 自分の中身がごちゃ混ぜになるような感覚が「現在」の俺を支配した。
顔に触れていた少女の手の温度がいつの間にか俺の手に伝っていた。
...何があったのか、いや、何が起こったのか 。
昼間の暖かい日射しから一転、夕方の少しヒンヤリとした空気、最低でも7時間程度は経過している様だった。
...... 記憶に違和感がある。その7時間程度の記憶がある、埋め込まれた様に鮮明に。
「手短に」
隣から聞こえてきた。... びっくりした...
「う~ん、やっぱりこうなっちゃうのか。ゴメンね、キミの意識がすっぽり抜けてる時じゃないと出来なかったみたい。」
首を横に振った後に激しく縦に振る。 俺なりの「大丈夫」 の表し方だが、伝わった保証は...
「ありがと。」
..... ( ´_ゝ`)伝わったようだ... ん?
意識がすっぽり抜けてる...?おかしくない?
あっ、と何かを悟ったように少女。
「う~んとね、キミの意識をすっぽり抜かす為にはワタシの意識を移さなきゃいけなかったの。」
.....
「そうしないと... 」
人差し指を少女の口の前に持っていく。
... 話が全然見えてこないからである。
「分かった。明日にしよっか。」
(´・c_・`)エー
それじゃね、と走り去っていった。... 俺も帰るか。
黄昏時、世界が黒くなるまでの僅かな時間。
俺はふと、Y 路地に設置されているカーブミラーに目をやる。
あれ、鏡ってこんな黒くていいんだっけ?
と思うほどに反転し写っている景色は暗かった。そして...
俺は写っていない