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オネエ妖怪☆アカナメ  作者: よもつひらさか
第一章 僕っ娘とオネエ妖怪
4/5

第四話 お祭りの夜

いよいよ今日だ。


僕は、ピンクの服を目の前に、まだ迷っている。


やっぱりいつものボーイッシュな格好で行こうかな。


これを着る勇気が僕にあるのか?


「そんなだから、いつまで経ってもダメなのよ。」


あのオネエの声が聞こえてきそうだ。


今日はお祭り。今日くらいこんな格好してもいいだろう。


僕は思い切って、オネエ妖怪のくれた服を着た。


道行く人たちがみんな僕を見ていく。


うー、やっぱり恥ずかしい。


今更ながら僕は後悔した。


女装とか思われてないかな。


神社に着くと、すでに翼が来ていた。


わー、いきなり翼に見られるのか。


僕は帰りたくなった。


案の定、翼は驚きの表情を浮かべていた。


「どうしたんだ?みなみ、いつもとイメージ違う。」


やっぱ着てこなきゃよかった。泣きそう。


「へ、変?」


僕は恐る恐るたずねた。


「ううん、すげー似合ってる。かわいいよ。」


お世辞かな。でも翼に褒めてもらって嬉しい。


「おーい、翼、みなみー。」


浴衣姿の日向と日向子が手を振る。


「おー、浴衣かぁ。浴衣姿もいいねえ、日向子ちゃん♪」


翼がにやけた。


僕はまた胸にチクリと痛みを感じた。


日向子、浴衣、めちゃ似合ってる。やっぱかわいい。


「褒めるの日向子だけかよ。俺も浴衣なんだけど。」


「野郎の浴衣姿なんてどーでもいいよ。ねー、日向子ちゃん。」


「ほんと、調子いいよね、翼は。」


3人のそんなやり取りを無理やり笑顔を作って聞いていた。


なんだよ、僕。自分も褒めてもらったじゃん。


それくらいで凹んでんじゃないよ。


ガンバ、僕。


お祭りは田舎にしては、結構露天が出ていて、にぎやかだった。


「うわー、すごい人だねー。何か買いたいけど、買えるかなあ。」


「あ、見て。あそこお団子屋さんがある!


お団子って珍しくない?」


「そうかぁ?普通に売ってないっけ?」


「珍しいよぉ。普通はたい焼きとかたこ焼きじゃん?


あれ、食べようよ。」


僕らは浮かれていた。


そのお団子屋さんの前の行列に僕らは並んだ。


「んー、みたらしとあんこかあ。」


翼が言った。


「どっちにするの?」


日向子が聞いた。


「あんこは甘すぎるから、じゃあみたらしで。」


翼が言うと、日向も「俺も~。」と言った。


結局男の子たちはみたらしで、僕と日向子はあんこにした。


「あ、そろそろ、花火始まるよ。急ごう。」


僕らは買ったお団子を持って、川原に急いだ。


川原につくころには花火が上がり始めた。


僕らはお団子にぱくつきながらそれを見上げた。


翼が日向子を後ろから見つめてる。


ああ、やっぱり翼は日向子が好きなんだ。


僕は思い知らされた。


翼がお団子を頬張りながら言った。


「やっぱさ、俺、日向子が好きだな。」


僕はお腹を殴られたような衝撃を受けた。


思ってはいたけど、こんなところで翼が告白をした。


すると日向子が振り向いて言った。


「そうなの?実は、私も。」


そう言って微笑んだのだ。


僕は世界がぐるぐると回り始めた。


泣いてはいけない、泣いては。


でも、このままここにはもう居られない。


耐えられない。


僕の目から涙がこぼれてしまうから。


僕は走った。


「みなみ!どうしたの?」


「おい、どこ行くんだよー。」


皆が口々に言った。


ごめんね。


僕はこんなにも弱い。


やっぱ、ダメだったよ、オネエ妖怪。

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