一宮幸也の軌跡 後編
ずるずると引っ張りましたが、ひとまず一宮先生サイドのお話は一応終わりです。次回からまた本編に戻ります。今回では少しほんの少し恋愛要素を入れました。
職員室まで香織ちゃんを連れて歩いていると途中で香織ちゃんが足を止めたから、少し不思議に思って後ろを振り返ると、そこには下を向いてワナワナ震えている香織ちゃんがいた。
何だか怒っている様な香織ちゃんの雰囲気に思わず後ずさりしてしまう。
「えっ?香織ちゃん何か怒ってない??」
「っとに一宮先生はなんなんですか!!!!」
「ええ?何?俺なんかした!?」
「した何も何なんですか、さっきの女子生徒への淫らな態度!!!セクハラ親父かお前は!!!」
ええーそこぉ!?そこにキレてるの!?てゆうかそんなキャラだったの!?ツッコミだったの!?
「あー、いやほら!そう言えば話も早く纏まるし、皆冗談としか捕らえてないから!!!」
「冗談とか冗談でないとかの問題ではないでしょうが!!!そ、そういう行為を・・・ですね仄めかす様な事をいう事が問題だと言ってるんですよ、このド変態が!!!」
「は、はあ。」香織さん香織さん、顔が真っ赤で何の説得力もありません・・・
「それに先ほどから思っていましたが、私への態度が失礼すぎると思うんですが。」
「えー、そうかなあ。」こっちはフレンドリーに行ってるつもりなんだけどなあ・・・歳も近いし。
確か俺が25で香織ちゃんが23だったはずだ。
「そうかなあじゃないんですよ。初対面で気にしてる事をズカズカ突っ込んでくるし、いきなり香織ちゃんてなんなんですか。どの女にでもそうやって愛嬌振りまいてるんですか。」
今のはちょっとカチンと来たぞ。しかも香織ちゃん以外と毒舌なのね。俺はちょっとした腹いせに香織ちゃんへの反撃を始めた。
「そっかあ香織ちゃん気にしてたんだー。男顔だってこと」
「なっ・・・なんなんですかっ。当たり前でしょう・・・この顔のせいでこの顔のせいで・・・」
「んー?彼氏できなかったとか??」
「彼氏できないのは当たり前ですよ。たとえ好きな人が居て告白したとしても絶対返ってくるのは「え?お前と付き合うとBLにしかなんないから」だとか「胸あるとまだ違うんだけどなあ・・・あ、あと声」だとかそんな事しか言われないし、女子に関しては「もう女でもいい付き合って!!!」みたいなことを散々言われましたよ・・・」
「く、苦労なされたようで・・・」女の子の人生としては壮絶すぎる・・・。男と付き合いたくても付き合えないとか可愛そうに・・・。
「今・・・失礼な事考えましたね・・・。」
「あ、いやあその・・・ね?」
「ね?じゃないわあああ!!!苦労?しまくったよ!!!!ココ最近では遂に両親までもが諦め始めてますけど?」
「あ、そうなんだ。何かごめん・・・」
香織ちゃん・・初対面の時はクールなのかなとか思ってたけど全然違うな。むしろからかいがいがある・・・
「・・・まったく。っとすみません。話が逸れましたね」
あ、やばいまたお説教タイムか・・・?
「あのさあ、香織ちゃんもうあーゆうこと言わないから見逃してよー」
「香織ちゃん言うな。約束ですよ」
「はいはい。指きりげんまんでもしとく?」
「しません。」
「可愛いなー香織ちゃんはお顔真っ赤ですよー」
「香織ちゃんゆーな。顔なんて赤くなってません。」
「うそだあー。真っ赤だよー?もしかして下の名前で呼ばれるのに照れてるのー?」
「・・・・そんな事ありません。」
「うそだあ。そっかそっかー。今までろくに男と触れ合う機会少なそうだもんなー」
「確かに避けられはしてましたけどそれがなんだって言うんですか」
「男に下で呼ばれて恥ずかしくなっちゃうのも分かるなーって・・・ぐふぅ!!!!!」
鳩尾に拳がクリーンヒットだよ香織さん・・・
「・・・・他に何か言い残すことはありますか?」
「えっ!?ちょっと!!!殺す気!?」
「あまりに口が過ぎるので黙らせようと思いまして。」
「ちょっと考え直して香織ちゃあ~ん!!!」
「だから、香織ちゃんゆーなああああ!!!」
あの時の回し蹴りも実に素晴らしかったよ、香織ちゃん。
それから数ヶ月経って香織ちゃんと呼ばれる事に慣れた香織ちゃんだけど未だに俺には厳しいんだよねぇ・・。他の先生方には優しいのに!!!
でもまあ、香織ちゃんが赴任して以来俺には楽しみが一つ増えた。
一つ、理科室にてコーヒーを飲んだり、謎の実験をしたり、サボったりする事
二つ、生徒と談笑する事
そして三つ、香織ちゃんをからかう事。こればっかりは当分止められそうにない。
さて、今日はどうやって香織ちゃんをからかって遊ぼうかな。
「あー香織ちゃあーん!!!」
ホント毎日が楽しいよ。
読んでくださってありがとうございました!!!!!