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一宮幸也先生の軌跡 中編

一宮先生のお話にお付き合いください。今回は黒い部分の一宮先生が少し垣間見れると思います。

時が過ぎるのは早いもので。


職に就いて最初の三ヶ月は慣れない事も多くて結構大変だったが、半年もすれば結構慣れてきて授業の工夫とかする余裕も出来た。生徒との交流も相変わらず続けていた。他の先生方には仕事もちゃんとして下さいと呆れられる始末だ。生徒にも教師なのにありえねーって笑われた。


そしてつい最近俺にあだ名が付いたようで。女子生徒からは理科室の王子と影で囁かれているらしい。うん、実に素晴らしいネーミングセンスだ。名付け親に会ってハグしたい。男子生徒からは普通にいっちゃんとか呼ばれている。愛称で呼ばれるのはいい事だがなんか馴れ馴れしい。そして先生からは影で理科室の番人とか呼ばれてしまっているらしい。(生徒情報)


まあ、確かに学校の備品でコーヒー作ってるのバレたらまずいなーとか思って立ち入り禁止看板下げましたけど!!!!先生方にそんな風に言われていたとはショックだ。


でもまあ、とりあえずこのあだ名が続く限りこの俺のパラダイスに近づく者が居ないという事は喜ばしい。


寝ててもばれる心配がないな・・・。


これは最高のサボり場が出来た。ヒャッホイ!


なんだかんだしてる内に俺がこの学校に赴任して二度目の春が来た。


そして俺はあの子と出会うことになる。


今年も新入生が入学する季節になった訳で。皆真新しい制服に身を包んでこれから待っている学園生活に胸躍らせているに違いない。


新入生が入ると共に教師たちも異動などで組織が整理されるわけですけども、俺は今年も根強くこの学校に残ることになった。ちなみにゴリラも一緒だ。(ゴリラに関しては前編を参照ください)


「今年も一緒ですな!!!!」なんて笑顔で挨拶された。俺はそれに笑顔で答えつつ、内装は変わらないがメンバーが変わった新たな職員室室内を見回した。


どうやら去年の俺同様今年からの新人も居るらしい。確かに新人も居るが今年はベテランっぽいのも赴任して来たようだ。さすがベテラン。風格がある。


ベテラン集を眺めていると一人ベテランには似つかない風情の教員を見つけた。まあ確かに雰囲気はそこそこ放ってるけど歳は多分俺と同じくらいかちょっと下くらいだろうし。


今思えば初対面の時からどことなく興味を抱いていたんだよなあ・・・・


とりあえず俺は興味本位でその子にに話しかけてみた。


「やあ。君新しく赴任してきた子だよね?それともー・・・」


振り返った子の顔を見て驚いた。女の子だと思っていたのに顔はバリバリの男前だったし、なによりなんか凛とした佇まいをしていたからだ。


しばらく見つめあう状態が続きついに耐えられなくなったのか俺より先に目の前の彼女?が口を開いた。


「あ、あの・・・何か私の顔に付いていますか?」


声も女の子にしてはハスキーだと思う。


「あ、えーと一ついいかな」


「はい」


「君ってさ、女の子それとも男?はたまたもしかしてニューハー・・・うっ!!!!!!!」


初対面でましてや女の子に初めて回し蹴りをお見舞いされた。今思い返してもナイスキックだったよ・・


まあ、確かに初対面でましてや男の俺にあんな失礼な事を言われてキレない方がおかしいけどさ、あれは痛かったよ・・・。


そして案の定着任式にて彼女もとい、香織ちゃんは見事に女子生徒達の新たな王子様になってきゃあきゃあ言われていた。


囲まれてしどろもどろになっている姿はとても面白かったのだがさすがにあまりにも挙動不審なので助け舟を出してやる。今年はめずらしくゴリラが咎めに来なかった。


「おーいお前ら、その辺にしてやれ。センセ挙動不審になってんだろ。」


「あー王子!!!じゃあ、王子が相手してくれんのーwww」


「ははは。ご冗談を。俺はそんな暇ありませーん」


「えーつまんないの。」


「相手してあげてもいいけど、間違い起こしちゃったらどうするの?」


こう言っとけば大抵の女子生徒は「やだわー王子へんたーい」という様な反応なので話がよく纏まりやすくなります。はい。


最近思うが俺のこの顔案外使えると思う。


俺は呆然としている香織ちゃんを引き連れて職員室へ向かった。



何か変な方向に話が行ってる気がする・・・・。

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