外(短編)
私は長い間、狭い檻の中で過ごしてきた。
別に、罪を犯したのではない。
物心ついた時には、もう牢の中だった。
外の世界には、出たことがない。
出ようと思ったことも、ない。
楽しみといえば、一つだけ。
牢の扉が開く。
「――おら、メシだ」
男が食べ物を運び、杜撰に檻の中へ投げ入れる。
いつも通りのことだから、特に言及はしないが。
私はすぐに食べ物を口にする。
この時、この瞬間だけが、私の至福の時だ。
そしてある日、烏が迷い込んできた。
「君は家畜君か」
第一声がそれだった。
嘲笑うように告げた態度に苛立ちを覚え、言い返す。
「私が家畜? 冗談はよしてくれ。君の羽を千切られたいのかい?」
「はは、悪かったよ。ちょっとしたジョークさ」
どうやらこの烏は、ブラックジョークが好きらしい。
私は、烏に尋ねた。
「君は、どこから来たんだい」
「外の世界から」
興味本位で、外の世界について尋ねてみた。
「外には、何があるんだい」
「こんな貧相な物よりも豪勢な食べ物、美しい自然、そして夢だな。…僕は空を飛べるから、そう思ってるだけかもしれないがね」
そう言って烏は苦笑した。
ますます気になり、他にも質問をした。
どんな食べ物か。
どのくらい美しいのか。
夢が溢れている、というのはどういうことか。
時間が経つのも忘れ、いつしか私は、外の世界に惹かれていった。
次の日からは、外の世界について考えるのも日課に入っていた。
そうして、時間だけが過ぎてゆく……
ついに、今となっては忌々しくなっていた牢の扉が開かれ、私は連れて行かれる。
――ああ。
ようやく私は、外の世界へと一歩を踏み出せるのか。
私は期待に胸を膨らませ、男の後を追った。
私は、車(男達が話していた名前)に乗り、外の景色を楽しんだ。
最初は灰色の長い建物や赤い細長い建物があり、烏にも聞いたことがないものがあり、小躍りしそうになった。
次に、美しい自然。
一言で表現するのならば、『奇跡』だった。
こんなにも美しい緑を見たことがない。
そう言い張れる程に。
やがて、一つの大きな小屋へと着いた。
私は男に言われるがままについて行く。
そこで見た光景は、私の人生の終わりの象徴――いや、人生の終わりそのものだった。
逃げ出そうという気には、ならなかった。
命を刈り取る"ソレ"が振り下ろされた時、私の脳裏に浮かんだのは、彼の言葉。
『君は家畜君か』
そうか。
私は家畜だったのだ。
だったら、ここで死ぬのは私の運命…
私が死に、誰かが幸せになれるのなら、それに越したことはないだろう。
私は、静かに、目を閉じた。
……?
いや、深夜のノリで書きました。
一人称を練習するという目的もあったはずなのですが、起承転結考えずに執筆してしまいました。
ストーリー展開もおかしいし。
深夜のノリって怖い。
ジャンルは良く分からないので「その他」にしておきました。
ストーリーが残念ですが、そこは目を瞑ってください。
あと、短編と「フリーダム垣根くん」は暇な時に書きますが、まだ復活した訳じゃないんだからね!!
大事なことなので二回言いますよ。
復活した訳じゃ(ry