もしも白鳥がキツツキになったら
優雅さの象徴・白鳥が、ある日突然キツツキへの転身を決意したら――? 長すぎる首と圧倒的ナンセンスが湖畔の静寂を打ち砕く、ドタバタ鳥類コメディ開幕です!
優雅な白鳥のオデットが突然キツツキに転職し、湖畔の平穏を木つつきの爆音で破壊するナンセンスコメディです。
「トトトトトトトッ! バチバチッ!」
湖畔の静けさは、朝一番の大爆音で吹き飛んだ。
水上で美しく羽を広げていたはずの白鳥オデットは、何を血迷ったのか岸辺の御神木にしがみつき、優雅なロングネックをしならせて猛烈な勢いで木をつついていた。
「おいオデット! 何やってんだ! 脳揺れるぞ!」
通りかかった鴨のタカシが叫ぶ。しかし、オデットは鋭い眼光で振り返ると、持ち前の長い首を鞭のようにしならせ、さらに加速した。
「ふっ、甘いなタカシ。優雅に水面を漂う時代は終わったのよ。これからは『破壊と創造』の時代……そう、キツツキの時代よ!」
「首の構造がそれに向いてねえんだよ! むち打ちになるぞ!」
オデットの長い首は、一撃舞い降りるたびに「S字」にぐにゃりと曲がり、まるでスプリングのように跳ね返っていた。その反動で体全体が激しく上下に揺れ、湖面の水が津波のように周りの鳥たちに押し寄せる。
「見よ! この圧倒的な打撃力を!」
調子に乗ったオデットが、さらに渾身の力で御神木へ頭突きを食らわせた瞬間――「ピキッ」という不穏な音が響いた。
「ぐわっ、首が絡まった!!」
あまりのしなり具合に、オデットの自慢の長い首が自分の体に固結びで絡まり、木にしがみついたまま身動きが取れなくなってしまったのだ。
「助けてタカシ! 呼吸が! 呼吸がキツツキ!!」
「どんな呼吸だよ!」
タカシが呆れながら引っ張って解いてやると、オデットは「ふぅ……やはり私は空を舞うのがお似合いね」と何事もなかったかのようにすまし顔で湖へ戻っていった。しかし、その首はすっかりバネのようにビヨンビヨンと伸縮するようになっており、泳ぐたびに頭だけが高速で前後に往復していたのだった。
最後までお読みいただきありがとうございました!
首がバネのようになってしまったオデットですが、このあと湖でどうやって魚を捕まえるのか(あるいは木をつつき続けるのか)…続編の構想も膨らんでおります。
少しでもクスッと笑っていただけたら幸いです。ブクマ・評価・感想などもお待ちしております!




