【先行配信】転生先は婚約破棄の真っ最中!?〜聖女は王子と結ばれて、今度はあーしが婚約するらしい?〜
『転生先は婚約破棄の真っ最中!?〜悪役令嬢は本当に悪役で、王子は彼女を心から愛してるらしい〜』
全9話完結済み
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前作の続編に当たりますが、
こちらからでもお楽しみいただけます(・8・)
「リーン・カンパニュラ。キミとの婚約を破棄する!!」
急に異世界転生したと思ったら、婚約破棄の真っ最中だったあの日。
あれから聖女リーンと王太子シルヴェスターは、色々あったが再び結ばれた。
あーしに身体を譲るため、自らは手鏡になるという暴挙に近い術を使ったニア。
推しカプであるシルリンが無事結ばれたため、今は元の身体へと戻っている。
二人がくっつき、ニアが元の身体に戻り、役目を終えたあーしは元の世界へと戻るのかと思ってたんだけど……。
「ユイ様、お身体の調子はいかがですか?」
「あのさ、リーン。毎日来なくて大丈夫だよ」
「いけません。まだ身体がこちらの世界に慣れていないかもしれませんから」
「もうあれから1週間経ってるし」
「まだ1週間です!」
あーし、ことユイは何故かこっちの世界に残ることになった。
聖女であるリーンが禁術を使ったようで、身体ごとこっちの世界にいる。
……聖女が禁術って、大丈夫なんかこの国。
「リーン、ユイの調子はどうだい?」
「シルヴェスター様、聞いてください。ユイ様が、もう大丈夫だから毎日来なくていいと仰るのです!」
「ダメだよユイ。まだ本調子ではないのだから」
「いや本調子だよ。いつまで寝かされ続けんの?」
なんかこの二人過保護なんだよな。
もう大丈夫だって言ってんのにさ。
「そうかい? それなら話があるのだけれど」
「なに? あーし難しいことはわからんよ」
「それはわかっているよ」
なんだこの男、本当に失礼なやつだ。
「ユイは、今いくつなんだい?」
「は? なに急に」
「19? ぐらいかな?」
「失礼だな! まだ17だよ! あーし早生まれなの!!」
「ということは……」
「わたくしと同じですね」
リーンがにっこりと笑う。
……へぇ、同い年なんだ。もっと幼く見えるけど。
「僕は20さ」
「へぇ。で、なんで急に歳の話?」
「もう少し興味を持ってくれてもいいんじゃないかい……。まぁ、それは置いておいて、キミにも学園に通ってもらおうと思ってね」
「学園?」
「はい。わたくしたちが通っているところに、ユイ様もいかがかと」
……学校か。あんまり行きたくないんだよなぁ。
引っ越してからいい思い出ないし。
「……ユイ、向こうでなにがあったのかはわからない。でも学園には僕もいるし、それなら——」
「え!? ハタチになってんのに学校通ってんの!?」
「ハタチ……?」
「あ、えっと。20歳でも学校行くの?」
大学的な感じ? でもリーンもニアもいるんしょ?
こっちでは学校の年齢が違うんかな。
「当たり前だろう? まぁ、もうじき僕は卒業するんだけれど」
「シルヴェスター様が卒業しても、わたくしたちがいますから大丈夫ですよ!」
「でも、あーし勉強苦手だしさ……」
「大丈夫です! わたくしたちがサポートしますから!」
えぇ……。まじで?
あーし赤点常習犯ですよ? それで大丈夫なの……。
「と、いうことで。もう本調子なら明日から学園に通おうか」
「いや急展開過ぎん!?」
「もう手続きは済んでいますので大丈夫ですよ?」
「いやいや、そういう問題じゃなくてさ!」
「制服も用意してある。必要な教材も揃えてあるから安心してくれて構わない」
「いやだからさ……」
そういうことじゃないんだけど……。
「楽しみですね、ユイ様!」
「こっちでの学園生活を楽しんでくれると嬉しいよ」
善意の押し付けがすごい……。
*
「おはようございます、ユイ様!」
「ねぇ……これで行くの……?」
「はい! 危ないですからね」
「通学するだけじゃん……」
翌朝、リーンがあーしを迎えにきてくれた。
豪華な馬車で。
「さぁユイ様、どうぞ!」
「いや、あーしは歩いていくよ……」
「場所、ご存知ですか?」
「そんなのスマホで調べれば——」
あ、ないじゃん。スマホ……。
「はい! では乗ってくださいね!」
グイグイと押されて馬車に詰められる。
中は、移動する小さな部屋のように快適だ。
「すごい……ふかふかしてる」
「これで快適に学園までお送りいたします!」
「そんな遠いの?」
「申し訳ございません。5分ほどかかりますがご容赦ください」
「いや十分近いっしょ……」
金持ちの感覚ってわっかんないなぁ……。
「あ、そうです! クラスはわたくしと一緒ですのでご安心ください!」
「リーンと一緒か! ニアは?」
「ニア様はお隣のクラスなのです」
「そっか、みんな一緒ってわけじゃないんだね」
でも、リーンが一緒なら安心か……。
「学園生活楽しみましょうね!」
「うん、ありがとうリーン」
それから馬車に揺られ、学園には着いたんだけど――
「でっっっっか!! これ全部学校!?」
「はい。そんなに大きいでしょうか?」
「これあれだよ……夢の国だよ……」
真ん中に城建ってるじゃん……。
ガラスの靴履いたお姫様出てくる系じゃん……。
「大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫じゃないけど大丈夫……」
「では職員室に行きましょう! 初日なので、ご挨拶からのはずです!」
そのあたりは同じなのね、どの世界も。
リーンに腕を引っ張られながら、あーしはそんなことを考えていた。
*
「はい皆さん静かにしてくださいね」
担任が手を叩くと、騒がしかった生徒が静かになる。
手招きされて中に入ると、リーンと目が合った。
「ユイ・カテナさんです。自己紹介お願いね」
「ユイです。よろしくお願いします」
パチパチと、リーンが拍手をしてくれる。
それに続いてみんなも同じようにしてくれた。
「じゃあ席は……」
「先生、わたくしの隣でお願いします。ユイ様は大切な友人なのです」
「あら、そうなの? じゃあユイさんはリーンさんの隣に座ってね」
「はい」
友達……。そんな風に思ってくれてんだ。
正直、めっちゃ嬉しいんだが……。
「ユイ様、フォレストリア学園へようこそ! これから一緒に頑張りましょうね!」
「うん! 改めてよろしくね、リーン」
ここでなら、なんだか楽しく過ごせそうな気がする。
そう思えた。
*
「もう無理……。頭がおかしくなる……」
「ユイ様、しっかりしてください! あと二時間、授業がございます!」
「もう嫌だ……。あーしが特進クラスなんて無理に決まってるじゃん……」
授業は、まるで呪文のようだった。
いや、本当に呪文なんだけどさ。
「ユイ様なら大丈夫ですよ!」
「リーンも見てたっしょ? あーし、爆発させたんだよ?」
「初めてなのですから、気にしなくて良いのです!」
「リーンはそう言ってくれるけどさ……」
あのみんなの冷たい視線よ……。
そらそうよ、特進クラスにいるのに爆発させんだからさ。
リーンと話していると、クラスの女子たちが彼女を呼びにきた。
「リーン様! 先生がお呼びでしたわよ」
「あら。ではユイ様もご一緒に――」
「いいえ! ユイ様はここで待っていましょう? 私たちもお話ししたいですわ」
「わかりました! ではユイ様をよろしくお願いしますね!」
「あ、ちょっとリーン!」
ニコニコと手を振りながら、彼女は教室を出ていく。
……嫌な予感しかしない。
こういう時って大抵――。
「ねぇ、あなたなんで特進クラスにいるの?」
はいキターーー!! そうですよね。
あーしもそう思うもん。
てか知らなかったしね!? 特進クラスだったなんて!
「どうせカテナ家だからでしょう? シルヴェスター様と遠縁なんですってね」
「だからリーン様もあんなに面倒を見ていらっしゃったのね」
あー、なんかそんな設定になったって言ってたな。
えーと、王様の妹の旦那さんのお姉さんの旦那さんの実家なんだっけ? カテナ家って。
得体の知れないあーしを、よく受け入れてくれたもんだよなぁ。
「ちょっと、聞いてる!?」
「あ、うん。多分シルがリーンと一緒の方がいいだろうからってしてくれた――」
「あなた、シルヴェスター様のことをそんな呼び方しているの!?」
「不敬だわ! リーン様のことも呼び捨てにしているし」
「じゃああんたらもすればいいじゃん」
――バチン!!
「痛った……」
あーしの言葉が気に入らなかったのか、女子の一人にビンタされた。
……結局こうなるのかよ、めんどくさ。
だから来たくなかったんだ学校なんて。
「あなたが悪いんでしょう!? 身の程をわきまえなさいよ!」
「……弁えるべきなのは貴様らじゃないのか?」
……誰だ、こいつ。
つか、でかっ!! 身長いくつあんだよ!!
「タ、タイガ様! これはちょっと教えてあげていただけで……」
「教えてあげていた。なにを?」
「シルヴェスター様や、リーン様に失礼な態度を取るべきではないと……」
タイガ? なんかどっかで聞いたことある名前だな。
……誰だっけ?
フッ、とタイガと呼ばれた男は鼻で笑う。
「殿下もリーン様も、嫌がってなどいない。むしろ彼女をとても大切にされている。そんな相手を殴るなど、どんな処罰が下されるのか楽しみだ」
「そ、そんな……!! 私たちはそんなつもりでは——」
「『教えてあげていた』という言い方をする時点で、貴様らが彼女をよく思っていないことなど明らかだろう。この事はお二人に報告する」
「いや、ちょっと待って? あーしそんなこと頼んでなくない?」
「お前、自分が何されたのかわかっているのか?」
「ビンタされたけど? でもあーしのことムカつくのは仕方なくない?」
シルは将来王様になる人で、リーンはその奥さんになる人。
そんな人たちのことを気安く呼んでたら、イラッとする人もいるよそりゃあ。
しかも二人、人気者なんだろうし。
「はぁ……。なんでこんな奴をリーン様は……」
「てかあんた誰? どっかで名前聞いたことある気すんだけど、思い出せなくてさ!」
「……タイガ・グラディウス。リーン様の護衛騎士だ。今朝会っただろう」
「朝……?」
「お前が朝乗ってきた馬車を走らせていたのは俺だ」
「ごめん、全く記憶にないわ。馬車しか見てなかった」
呆れたように、タイガがため息をついた。
「ユイ様、お待たせいたしました! ……って、みなさんどうなさいましたか?」
立ち尽くす女子たち、呆れるタイガ。
なんだかよくわかってないあーし。
それらを見て、リーンが不思議そうな顔をする。
「リーン様が戻っていらっしゃったわ! では私たちはこれで!」
「ごきげんよう!」
いそいそとバツが悪そうに去っていく女子たち。
それを見ていたリーンが口を開いた。
「タイガ、何かあったのですか?」
「彼女が絡まれていました。リーン様や殿下を親しげに呼んでいたのが気に入らなかったようです」
「まぁ……! ユイ様、大丈夫でしたか!?」
「うん、別に大丈夫だよ」
心配そうに顔を覗き込んでくる。
本当に心配性な聖女様だ。
「殴られていただろう、お前」
「あんなの殴られたに入らないし」
「すごい音がしていたぞ」
「まぁビンタだからね」
「もう少し気にしたらどうだ……」
「済んだ事だし〜」
嫌なこと覚えてたっていいことなんてない。
だったらさっさと忘れて、楽しいことだけ覚えてた方がハッピーだもんね〜。
「能天気な女だ」
「なんとでも言ってくださ〜い」
「ふふ、やっぱり正解でしたね」
リーンがクスクスと肩を揺らす。
「ん? なにが?」
「昨日、シルヴェスター様にお願いしたことがありまして」
「へぇ〜!! なに!? なにをお願いしたの!?」
てかわがまま言えるようになったんだ!!
よかった〜! まじ進展してんじゃん!!
シルもリーンにわがままなんて言われたら、まんざらでもないんだろうな。
「ユイ様の婚約者についてです」
「婚約者……?」
「はい。ユイ様も17歳ですので、必要かと思いました」
「いやいや、いらないよ!?」
「そこで、シルヴェスター様にお願いしたのです」
「ごめん、話聞いてくれるかな!?」
リーンのわがままって、あーしのこと!?
いやいや、自分のわがままを言って!?
しかもシルにそんなこと言ったらさ……
「リーンがそう言うなら」ってなるに決まってんじゃん!?
「わたくし、ユイ様の婚約者にタイガを推薦いたしました」
「……リーン様? 今、なんとおっしゃいました?」
「タイガはユイ様の婚約者になりました」
「はい?」
「え?」
「シルヴェスター様の許可も得て、タイガとユイ様は正式に婚約者になりました」
いやいや、何言ってんのこの聖女——。
こちらは先行配信でした!
後日、連載版スタートします⭐︎
また勝手に始まるスタイル(・8・)




