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転生先は婚約破棄の真っ最中!?

【先行配信】転生先は婚約破棄の真っ最中!?〜聖女は王子と結ばれて、今度はあーしが婚約するらしい?〜

掲載日:2026/09/15

 

『転生先は婚約破棄の真っ最中!?〜悪役令嬢は本当に悪役で、王子は彼女を心から愛してるらしい〜』

 全9話完結済み

 https://ncode.syosetu.com/n1531mq/


 前作の続編に当たりますが、

 こちらからでもお楽しみいただけます(・8・)



「リーン・カンパニュラ。キミとの婚約を破棄する!!」


 急に異世界転生したと思ったら、婚約破棄の真っ最中だったあの日。

 あれから聖女リーンと王太子シルヴェスターは、色々あったが再び結ばれた。


 あーしに身体を譲るため、自らは手鏡になるという暴挙に近い術を使ったニア。

 推しカプであるシルリンが無事結ばれたため、今は元の身体へと戻っている。


 二人がくっつき、ニアが元の身体に戻り、役目を終えたあーしは元の世界へと戻るのかと思ってたんだけど……。


「ユイ様、お身体の調子はいかがですか?」

「あのさ、リーン。毎日来なくて大丈夫だよ」

「いけません。まだ身体がこちらの世界に慣れていないかもしれませんから」

「もうあれから1週間経ってるし」

「まだ1週間です!」


 あーし、ことユイは何故かこっちの世界に残ることになった。

 聖女であるリーンが禁術を使ったようで、身体ごとこっちの世界にいる。


 ……聖女が禁術って、大丈夫なんかこの国。


「リーン、ユイの調子はどうだい?」

「シルヴェスター様、聞いてください。ユイ様が、もう大丈夫だから毎日来なくていいと仰るのです!」

「ダメだよユイ。まだ本調子ではないのだから」

「いや本調子だよ。いつまで寝かされ続けんの?」


 なんかこの二人過保護なんだよな。

 もう大丈夫だって言ってんのにさ。


「そうかい? それなら話があるのだけれど」

「なに? あーし難しいことはわからんよ」

「それはわかっているよ」


 なんだこの男、本当に失礼なやつだ。


「ユイは、今いくつなんだい?」

「は? なに急に」

「19? ぐらいかな?」

「失礼だな! まだ17だよ! あーし早生まれなの!!」

「ということは……」

「わたくしと同じですね」


 リーンがにっこりと笑う。


 ……へぇ、同い年なんだ。もっと幼く見えるけど。


「僕は20さ」

「へぇ。で、なんで急に歳の話?」

「もう少し興味を持ってくれてもいいんじゃないかい……。まぁ、それは置いておいて、キミにも学園に通ってもらおうと思ってね」

「学園?」

「はい。わたくしたちが通っているところに、ユイ様もいかがかと」


 ……学校か。あんまり行きたくないんだよなぁ。

 引っ越してからいい思い出ないし。


「……ユイ、向こうでなにがあったのかはわからない。でも学園には僕もいるし、それなら——」

「え!? ハタチになってんのに学校通ってんの!?」

「ハタチ……?」

「あ、えっと。20歳でも学校行くの?」


 大学的な感じ? でもリーンもニアもいるんしょ?

 こっちでは学校の年齢が違うんかな。


「当たり前だろう? まぁ、もうじき僕は卒業するんだけれど」

「シルヴェスター様が卒業しても、わたくしたちがいますから大丈夫ですよ!」

「でも、あーし勉強苦手だしさ……」

「大丈夫です! わたくしたちがサポートしますから!」


 えぇ……。まじで?

 あーし赤点常習犯ですよ? それで大丈夫なの……。


「と、いうことで。もう本調子なら明日から学園に通おうか」

「いや急展開過ぎん!?」

「もう手続きは済んでいますので大丈夫ですよ?」

「いやいや、そういう問題じゃなくてさ!」

「制服も用意してある。必要な教材も揃えてあるから安心してくれて構わない」

「いやだからさ……」


 そういうことじゃないんだけど……。


「楽しみですね、ユイ様!」

「こっちでの学園生活を楽しんでくれると嬉しいよ」


 善意の押し付けがすごい……。


 


 *


「おはようございます、ユイ様!」

「ねぇ……これで行くの……?」

「はい! 危ないですからね」

「通学するだけじゃん……」


 翌朝、リーンがあーしを迎えにきてくれた。

 豪華な馬車で。


「さぁユイ様、どうぞ!」

「いや、あーしは歩いていくよ……」

「場所、ご存知ですか?」

「そんなのスマホで調べれば——」


 あ、ないじゃん。スマホ……。


「はい! では乗ってくださいね!」


 グイグイと押されて馬車に詰められる。

 中は、移動する小さな部屋のように快適だ。


「すごい……ふかふかしてる」

「これで快適に学園までお送りいたします!」

「そんな遠いの?」

「申し訳ございません。5分ほどかかりますがご容赦ください」

「いや十分近いっしょ……」


 金持ちの感覚ってわっかんないなぁ……。


「あ、そうです! クラスはわたくしと一緒ですのでご安心ください!」

「リーンと一緒か! ニアは?」

「ニア様はお隣のクラスなのです」

「そっか、みんな一緒ってわけじゃないんだね」


 でも、リーンが一緒なら安心か……。

 

「学園生活楽しみましょうね!」

「うん、ありがとうリーン」


 それから馬車に揺られ、学園には着いたんだけど――


「でっっっっか!! これ全部学校!?」

「はい。そんなに大きいでしょうか?」

「これあれだよ……夢の国だよ……」


 真ん中に城建ってるじゃん……。

 ガラスの靴履いたお姫様出てくる系じゃん……。


「大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫じゃないけど大丈夫……」

「では職員室に行きましょう! 初日なので、ご挨拶からのはずです!」


 そのあたりは同じなのね、どの世界も。


 リーンに腕を引っ張られながら、あーしはそんなことを考えていた。




 *


「はい皆さん静かにしてくださいね」


 担任が手を叩くと、騒がしかった生徒が静かになる。

 手招きされて中に入ると、リーンと目が合った。


「ユイ・カテナさんです。自己紹介お願いね」

「ユイです。よろしくお願いします」


 パチパチと、リーンが拍手をしてくれる。

 それに続いてみんなも同じようにしてくれた。


「じゃあ席は……」

「先生、わたくしの隣でお願いします。ユイ様は大切な友人なのです」

「あら、そうなの? じゃあユイさんはリーンさんの隣に座ってね」

「はい」

 

 友達……。そんな風に思ってくれてんだ。

 正直、めっちゃ嬉しいんだが……。


「ユイ様、フォレストリア学園へようこそ! これから一緒に頑張りましょうね!」

「うん! 改めてよろしくね、リーン」


 ここでなら、なんだか楽しく過ごせそうな気がする。

 そう思えた。


 


 *


「もう無理……。頭がおかしくなる……」

「ユイ様、しっかりしてください! あと二時間、授業がございます!」

「もう嫌だ……。あーしが特進クラスなんて無理に決まってるじゃん……」


 授業は、まるで呪文のようだった。

 いや、本当に呪文なんだけどさ。


「ユイ様なら大丈夫ですよ!」

「リーンも見てたっしょ? あーし、爆発させたんだよ?」

「初めてなのですから、気にしなくて良いのです!」

「リーンはそう言ってくれるけどさ……」


 あのみんなの冷たい視線よ……。

 そらそうよ、特進クラスにいるのに爆発させんだからさ。


 リーンと話していると、クラスの女子たちが彼女を呼びにきた。

 

「リーン様! 先生がお呼びでしたわよ」

「あら。ではユイ様もご一緒に――」

「いいえ! ユイ様はここで待っていましょう? 私たちもお話ししたいですわ」

「わかりました! ではユイ様をよろしくお願いしますね!」

「あ、ちょっとリーン!」


 ニコニコと手を振りながら、彼女は教室を出ていく。


 ……嫌な予感しかしない。

 こういう時って大抵――。


「ねぇ、あなたなんで特進クラスにいるの?」


 はいキターーー!! そうですよね。

 あーしもそう思うもん。

 てか知らなかったしね!? 特進クラスだったなんて!

 

「どうせカテナ家だからでしょう? シルヴェスター様と遠縁なんですってね」

「だからリーン様もあんなに面倒を見ていらっしゃったのね」


 あー、なんかそんな設定になったって言ってたな。

 えーと、王様の妹の旦那さんのお姉さんの旦那さんの実家なんだっけ? カテナ家って。

 得体の知れないあーしを、よく受け入れてくれたもんだよなぁ。


「ちょっと、聞いてる!?」

「あ、うん。多分シルがリーンと一緒の方がいいだろうからってしてくれた――」

「あなた、シルヴェスター様のことをそんな呼び方しているの!?」

「不敬だわ! リーン様のことも呼び捨てにしているし」

「じゃああんたらもすればいいじゃん」


 ――バチン!!


「痛った……」

 

 あーしの言葉が気に入らなかったのか、女子の一人にビンタされた。


 ……結局こうなるのかよ、めんどくさ。

 だから来たくなかったんだ学校なんて。


「あなたが悪いんでしょう!? 身の程をわきまえなさいよ!」

「……弁えるべきなのは貴様らじゃないのか?」


 ……誰だ、こいつ。

 つか、でかっ!! 身長いくつあんだよ!!


「タ、タイガ様! これはちょっと教えてあげていただけで……」

「教えてあげていた。なにを?」

「シルヴェスター様や、リーン様に失礼な態度を取るべきではないと……」


 タイガ? なんかどっかで聞いたことある名前だな。

 ……誰だっけ?


 フッ、とタイガと呼ばれた男は鼻で笑う。


「殿下もリーン様も、嫌がってなどいない。むしろ彼女をとても大切にされている。そんな相手を殴るなど、どんな処罰が下されるのか楽しみだ」

「そ、そんな……!! 私たちはそんなつもりでは——」

「『教えてあげていた』という言い方をする時点で、貴様らが彼女をよく思っていないことなど明らかだろう。この事はお二人に報告する」

「いや、ちょっと待って? あーしそんなこと頼んでなくない?」

「お前、自分が何されたのかわかっているのか?」

「ビンタされたけど? でもあーしのことムカつくのは仕方なくない?」


 シルは将来王様になる人で、リーンはその奥さんになる人。

 そんな人たちのことを気安く呼んでたら、イラッとする人もいるよそりゃあ。

 しかも二人、人気者なんだろうし。


「はぁ……。なんでこんな奴をリーン様は……」

「てかあんた誰? どっかで名前聞いたことある気すんだけど、思い出せなくてさ!」

「……タイガ・グラディウス。リーン様の護衛騎士だ。今朝会っただろう」

「朝……?」

「お前が朝乗ってきた馬車を走らせていたのは俺だ」

「ごめん、全く記憶にないわ。馬車しか見てなかった」


 呆れたように、タイガがため息をついた。


「ユイ様、お待たせいたしました! ……って、みなさんどうなさいましたか?」


 立ち尽くす女子たち、呆れるタイガ。

 なんだかよくわかってないあーし。

 それらを見て、リーンが不思議そうな顔をする。


「リーン様が戻っていらっしゃったわ! では私たちはこれで!」

「ごきげんよう!」


 いそいそとバツが悪そうに去っていく女子たち。

 それを見ていたリーンが口を開いた。


「タイガ、何かあったのですか?」

「彼女が絡まれていました。リーン様や殿下を親しげに呼んでいたのが気に入らなかったようです」

「まぁ……! ユイ様、大丈夫でしたか!?」

「うん、別に大丈夫だよ」


 心配そうに顔を覗き込んでくる。

 本当に心配性な聖女様だ。

 

「殴られていただろう、お前」

「あんなの殴られたに入らないし」

「すごい音がしていたぞ」

「まぁビンタだからね」

「もう少し気にしたらどうだ……」

「済んだ事だし〜」


 嫌なこと覚えてたっていいことなんてない。

 だったらさっさと忘れて、楽しいことだけ覚えてた方がハッピーだもんね〜。


「能天気な女だ」

「なんとでも言ってくださ〜い」

「ふふ、やっぱり正解でしたね」


 リーンがクスクスと肩を揺らす。


「ん? なにが?」

「昨日、シルヴェスター様にお願いしたことがありまして」

「へぇ〜!! なに!? なにをお願いしたの!?」


 てかわがまま言えるようになったんだ!!

 よかった〜! まじ進展してんじゃん!!

 シルもリーンにわがままなんて言われたら、まんざらでもないんだろうな。


「ユイ様の婚約者についてです」

「婚約者……?」

「はい。ユイ様も17歳ですので、必要かと思いました」

「いやいや、いらないよ!?」

「そこで、シルヴェスター様にお願いしたのです」

「ごめん、話聞いてくれるかな!?」


 リーンのわがままって、あーしのこと!?

 いやいや、自分のわがままを言って!?

 しかもシルにそんなこと言ったらさ……

「リーンがそう言うなら」ってなるに決まってんじゃん!?


「わたくし、ユイ様の婚約者にタイガを推薦いたしました」

「……リーン様? 今、なんとおっしゃいました?」

「タイガはユイ様の婚約者になりました」

「はい?」

「え?」

「シルヴェスター様の許可も得て、タイガとユイ様は正式に婚約者になりました」


 いやいや、何言ってんのこの聖女——。


 

 


 こちらは先行配信でした!

 後日、連載版スタートします⭐︎


 また勝手に始まるスタイル(・8・)



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