表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
憧れの乙女ゲームのヒロインに転生した私 ~コミュ障に社交界(キラキラ)は無理でした……何をしても詰んでます~  作者: モブ介/灰原数馬


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/12

#2 演じられない聖女

 公爵家のお茶会は、予想通り地獄だった。

 華やかなドレスに身を包んだ令嬢たち。

 優雅に紅茶を傾け、笑い声を響かせる。

 そして――その中心に座らされた、私。

「リリア様、王都の社交界デビュー、楽しみですわね」

 公爵令嬢のアメリアが、にこやかに話しかけてくる。

「……は、ぃ」

 声が、小さい。

 震えている。

 でも、それが逆に――。

「まあ、なんて慎ましい……」

 周囲が、感嘆の声を上げる。

「さすが、聖女様……」

 違う。

 ただ、緊張してるだけ。

 幸か不幸か、リリアの体には「伯爵家の作法」が叩き込まれていた。

 幼い頃からの厳格な教育。

 体が勝手に、完璧な令嬢の仕草をしてしまう。

 緊張で顔が強張る → 「凛とした佇まい」

 パニックで声が小さくなる → 「慎ましい声」

 逃げたくて俯く → 「可憐な仕草」

 本人の意図と、周囲の解釈が、完全にズレている。

(え……これ、詰んでない?)

 私が黙っていればいるほど、周囲の期待値が上がる。

 ハードルが、天井知らずに上がっていく。

 そして――その期待に、私は絶対に応えられない。

「リリア様は、聖女としての自覚を、すでにお持ちなのでしょうね」

 アメリアの言葉に、私は息を呑んだ。

 聖女。

 ゲームの知識が、脳裏を過る。

 リリアは、数百年に一人現れる聖女。

 王国を蝕む魔族領の瘴気を浄化できる唯一の存在。

 国のために、命を懸ける覚悟を持つ。

 それが、本来のリリアの役割。

 でも――私には、その覚悟なんて、ない。

 ただ、静かに生きたいだけ。

 人前に出たくない。

 注目されたくない。

 役割なんて、背負いたくない。

「……ぃえ、私なんて……」

 小さく首を振る。

 でも、それすらも――。

「謙虚な方……!」

 称賛に変わる。

(ひぃぃぃぃっっ)

 お茶会が終わり、帰りの馬車の中。

 私は、ぐったりと座席に沈み込んだ。

「リリア様、素晴らしかったですわ」

 エマが、嬉しそうに言う。

(なにが⁉)

「皆様、あなたの気品に魅了されていましたわ」

 (え……違う...)

 私、ほとんど喋ってない。

「それに、明日は王立学園の入学式ですね」

 ――ぁあ

 入学式。

 そして、ゲームの最初の重要イベント。

 第一王子、ヴィクトールとの出会い。

(あぁ……無理だ)

 イケメン王子と会話なんて、私には絶対に無理。

明日...どうしよう...早く帰りたい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ