第21話 敵の攻勢
『サンダー』作戦部隊が新潟湾に向かっていた頃、突如として敵の攻勢が強まった。
いったいどういう意図があってか――おそらく『サンダー』作戦発動と、人類軍側にはわからなかったが、陸と空、そして海で敵の攻撃が強くなった。
愛知県小牧基地から航空宇宙自衛隊の戦闘機部隊が上がる。
石川県小松基地の生き残りであり、東海上空の空の英雄、今谷二等空佐は指揮下の航空隊20機とともに、長野から東海地方に向かう敵飛行集団に向かう。
彼が乗るF15J戦闘機の尾翼の星のマークは敵の撃墜数を表しており、その数が50を超えているということは、彼は撃墜王であることを証明していた。
「こちらキングジョー01、一斉にミサイル発射後、散開するぞ」
了解、と各機より返答。
(敵の動きが若干鈍っているか……?)
今谷は思った。
速度も開戦時と比べ、低速になっている。
また機動力も衰えたとみた。
しかし、やつらの戦力を甘く見てはいけない。
何せ大多数でいつも飛んでくるやつだ。
今回の敵機数は150。他の部隊も早く到着して、参戦してくれるといいが……
全機、ミサイルの射程に入る。
「全機、発射せよ」
全機からAIM120 AMRAAM中距離ミサイルが発射される。その後、編隊飛行から散開する。
敵集団もミサイルを撃ってから回避行動に入る。
しかし遅かった。20以上の敵が撃墜される。
その後、敵集団に空自戦闘機部隊が突入、混戦となる。
今谷、前方にいた敵機を機関砲で撃墜。
その後後方につこうとした敵機からアフターバーナーをかけて距離を置き、旋回。
短距離ミサイルで仕留めた。
その時、後方で爆発。
何事か後方を見る。敵ミサイルか? いや、レーダーにミサイルは映らなかったし、そもそもそれにしては大きな爆発だった。
しかし、それどころではない。F15の2つある尾翼、そのひとつが剥がれ落ちているのだった。
『こちらキングジョー08、キングジョー01へ。敵がキングジョー01の後方で自爆しました』
「なんだって」
敵の野郎自爆しやがったのか。今谷二佐は舌打ちをした。
「キングジョー01、キングジョー02に指揮権を委譲し、帰投する」
『キングジョー02、了解……お気をつけて!』
ありがとう、そう呟くと今谷は機体を基地の方向に向けた。
このまま基地に飛べるのか、いや、市街地で堕ちたら余計悲惨だ。
郊外で機体を捨てたほうがいいかもしれない。
今谷は生存のためにあらゆる考えを瞬時に巡らす。
小松基地の生き残りがここで死んでたまるものか、今谷はそう思いながら操縦桿をしっかり握った。




