第19話 松本連隊の攻勢
長野県岡谷市で敵の進撃を食い止めていた、第13普通科連隊は、とうとう反撃に転じようとしていた。
砲撃と爆撃によって、敵が一掃された土地を第13普連が前進していく。
塩尻峠を越え、塩尻市内に入り、そのまま彼らの駐屯地があった松本市へ突入していく。もちろん、彼らの進撃はそれ以降も続く。
数人の隊員によって20式小銃が連射される。
前方にいた敵たちが嘘のように機能を停止していく。
数も目に見えて減っている。
空自がやってとかいう、エネルギー源やその輸送物体への集中攻撃も効いているようだ。
市内には自衛隊や海外軍の装甲車両やトラックが前進し、北へと向かって行く。
「撃てぇ!!」
特科隊員が受話器に絶叫する。
低く、大きな音が響く。
陸上自衛隊がもはや無人どころか、建物しかなくなり、敵の勢力下となった松本市市街地に砲撃を開始していく。
吹き飛ぶ敵。
前進した普通科隊員及び海外軍歩兵が対戦車兵器で敵を吹き飛ばす。
まだ生き残る敵を小火器で掃討していく。
その中には松本連隊で歴戦を経験してきた久間三佐がいた。
かつては二尉だったが、戦闘を積み上げていくうちに階級を上げ、中隊を指揮するようになった。
「久間三佐」
横を歩いていた二曹-――かつては一士で、今は分隊を指揮している‐――が久間に声をかける。
「なんだ?」
空地に指して言った。
「松本駐屯地です……」
思わず久間は歩みを止めた。
それに合わせて、二曹も歩みを止める。
「なんてことだ……」
久間は松本駐屯地の思い出を思い出しながら、思わず涙を流した。
「三佐……?」
同じく涙を流していた二曹が声をかけた。
久間は涙をぬぐった。
目元を赤くしながら、いつもの表情で言った。
「前進するぞ」
「了解」
二曹も涙をぬぐって前進を再開した。




