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第17話 反撃作戦開始


 横須賀港では、海上自衛隊第1護衛隊群が出撃準備にかかっていた。


 第1護衛隊群司令官、原田海将補は旗艦『いずも』の艦橋から甲板を見ていた。


 整備員たちによって、空母のような形をしたヘリコプター搭載護衛艦『いずも』の飛行甲板には、即席の装置が取り付けられている。


 艦中央部から艦尾までつながるカタパルトが付け加えられ、中央部にはヘリコプターよりも少し小さい程度の、大きな球体が置かれている。

 この球体こそ作戦の要、海底核爆弾だ。


 新潟沖の海底に着底しても、水圧に耐えられるように設計されており、中には米軍の1メガトンの水爆が設置されている。


 この爆弾が6個、新潟沖の海に投げられる。米軍が4個、海自が2個投下する予定だ。


 時限式で、人の手によって起動後6分間に爆発する仕掛けになっている。

 これは着底までの時間を考慮に入れて、艦隊退避の時間を稼ぐためでもあった。


(しかし……)

 と原田は思う。


(まさか自衛隊に入って、核兵器を使用する身になるとは思わなんだな)


 核兵器はアメリカのものであるが、核兵器の使用に関しては海上自衛隊も一部関わってくる。

 海自が新潟沖の海に詳しく、自国防衛という立場から、作戦の中核である核兵器投下にも関わっている。

 原田は核兵器の使用は米軍の役割だと思っていたが、自分たちがその使命を帯びるとは思っていなかった。


(これで、倒せるのだろうか)


 原田は漠然と思う。


 敵は正体不明の、謎多き存在である。

 原田はそんな物体に効果があるのだろうか、とふと思った。


(まあ、いいか)


 原田は自分の立場を考えた。

 一自衛官の立場としては、命令とあらば聞かねばならない。

 効こうが効きまいが、作戦は実行しなければならない。


 それに、やってみないとわからないしな、と原田は思った。





 その後、第1護衛隊群は米海軍第7艦隊とともに出航し、日本海に向かった。


 また、海上輸送や空輸されてきた海外の軍隊のほとんどが最前線に到達。

 

 反撃作戦の配置についた。



 そして時刻は午前4時。横田基地におかれた多国籍軍統合作戦本部で、司令官である米軍中将は作戦開始の命令を下した。




 午前4時。

 まだ暗いこの時間に、富山、長野から群馬、山形、福島の各前線、その後方で野砲の射撃があった。


 野砲は敵前線一帯を吹き飛ばし、あの奇妙な兵士たちを同時に破壊、戦闘不能にさせた。


 その後、航空機による空爆。交通の要所と、新潟にある、彼らのエネルギープラントと思われる謎の構造物を吹き飛ばした。


 多国籍軍統合作戦司令部の司令官は命じた。


「全部隊、射撃やめ。航空部隊も攻撃やめ。地上部隊前進せよ」


 後方にいた自衛隊や各国の部隊が、戦線を死守していた部隊を追い越し、先ほどまで敵がいたところを、戦車、装甲車、トラック、あるいは徒歩で進んでいく。


 敵に攻勢をかけるのははじめてあったため、未知の物体との交戦や罠などに警戒して、前進速度はあまり早くはなかった。


 しかし作戦初頭は空爆や砲撃で前線の多くで敵がやられていたため、比較的前進しやすかった。


 だが、敵はまだいる。未知の物体に関する恐怖が兵士たちをより緊張した。



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