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石造りの教会

 メリッサはダークにお姫様抱っこをされたまま、教会に辿り着いた。

 石造りの三角屋根の教会で、至る所が蔦に覆われている。蔦は開かれた門にも蔓延っており、メリッサたちが近づくと淡く光る。

「蔦が光るなんて、不思議ですね」

「ボスコ様の話だと、音に反応しているらしいぜ。さて、教会の奥まで歩けるか?」

「大丈夫です!」

 メリッサは力強く返事をした。

 ダークはメリッサをゆっくりと地面に降ろす。メリッサは一瞬ふらつくが、転ばないように踏ん張った。

 メリッサは、教会の内部に視線を移す。意外と広い。幾つもの長椅子と長机が並べられ、奥には教壇が置いてある。教壇のさらに奥に、暖炉があった。両側の壁に窓が一つずつある。

 教壇の右側には、オルガンが置いてある。聖歌が歌われる光景が目に浮かぶ。

 光る蔦は、教会の内部の壁にも蔓延り、辺りを静かに照らしていた。


 メリッサは言葉が見つからないほど、神聖な心持ちになっていた。


「綺麗です」


 率直な感想を述べると、ダークは両目を白黒させた。

「暗いと言われると思っていたぜ」

「暗さには慣れました。ここはなんとなく落ち着きます」

「口数が増えたな。体力が回復したのか。俺はルドルフ皇帝に報告に行くぜ。ここで暖を取っていろ」

 メリッサは深々と一礼をした。


「何から何までありがとうございました。今後は少しでもお役に立てるように頑張ります」


「無茶はやめろよ。余計な事をやられたら困るからな。リトス、そこにいるだろ! 暖炉に火を入れておけ!」


 ダークはぶっきらぼうな口調で言い捨てて、足早に去っていった。

 メリッサは首を傾げる。


「リトスさんとは、どういう人でしょうか?」


「あたしだよ!」


 突然に背中を押されて、メリッサは前のめりになった。慌ててバランスを取って振り向くと、門の陰から少女が出てきていた。黒髪をポニーテールでまとめた快活な少女だ。黒い修道服を着ている。あどけない黒い瞳で、メリッサをじーっと見つめていた。

「あの天然女たらし、今度は聖女様を引っかけたのか」

「天然女たらしとは?」

「ダークの事だよ! あいつに自覚がないけど、いろんな女が引っかかっているよ。男だって引っかかるみたいだし」

 ポニーテールの少女、リトスの話はメリッサによく分からない。

 しかし、明確に違うと判断できる部分はある。


「残念ながら私は聖女ではありません。ただの修道女です」


「ええ!? すごく神々しいのに!」


 リトスは両目をまん丸にした。

 メリッサは肩をすくめる。

「訳あって聖女の服装をしていますが、偽りの聖女です」

「そっかー、なんか深い事情がありそうだね。無理には聞かないよ。相談役になんかなれないしさ」

 リトスはメリッサの右腕を強引に引いて、教会の内部に連れ込む。

「あたしの話はどんどん聞いていいよ。同じ修道女として仲良くしてよ」

 メリッサは思わず笑った。

「明るい人ですね」

「ダークからは少しは元気を捨ててこいと言われるけどね」

 リトスはケラケラ笑う。

 教会の内部は外に比べると、寒風が通らない分温かい。

 ふと、コツコツと何かがぶつかる音がした。見ると、小鳥が右側の窓を小突いている。小鳥の足には紙が結わえられている。

 メリッサは不思議に思いながら窓を開けようとする。

 しかし、リトスにがっしりと両腕を押さえ込まれた。


「ここに来る小鳥は、重要な情報を運んでいるんだ。勝手に見たらダークに半殺しにされるよ! 例えばワールド・スピリットの恐ろしさが書いてあったんだ!」


「ええ!?」


 メリッサは慌てて両手を引っ込めた。

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