表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/76

リベリオン帝国の西部地方

 リベリオン帝国の西部地方の大部分は荒れ地になっている。人が住んでいないわけではないが、戦が頻繁に行われるせいで、まともに土地活用ができないでいた。


 住居も食料も搾取された人々が反乱を起こすのだ。


 黒い軍服を着たリベリオン帝国北西軍が鎮圧しようとするが、苦戦していた。

 規模が大きすぎるのに加えて、反乱軍にワールド・スピリットの使い手がいる。

 晴れ間から突然に雷が降ってくるのだ。避けれるものではない。早々に雷の使い手を仕留めたいが、誰を倒せばいいのか分からない。


 リベリオン帝国北西軍は次々と倒される。徐々に絶望が広がっていた。


 そんな彼らの前に、唐突に四つの人影が現れた。虚空から突然に出現したのだ。空間転移で来たのだ。


 黒い神官服の男性が切れ長の瞳をぎらつかせる。

「コズミック・ディール、ヘル・コラプサー」

 上空に黒い球体が出現する。光さえ逃さない漆黒の地獄だ。晴れ間からいくつもの雷が出現するが、地面に届かず、放射線を描き、轟音を立てて漆黒の地獄に吸収される。

 リベリオン帝国中央部担当者ダーク・スカイの得意技であった。

 北西軍は大歓声を上げた。


「ローズ・マリオネットだ!」

「守り神がいらしたぞ!」


 形勢の逆転を確信していた。

 しかし、ダークの表情は浮かない。


「思った以上に大軍だぜ」

「グレゴリーさんとその取り巻きたちが、随分と住民をイジメましたからね。その反動でしょう」


 ダークの隣に立つ白い貴公子姿の少年がほくそ笑む。リベリオン帝国北西部担当者グレイ・ウィンドだ。

「反動が強い分、戦いは面白くなります」

「笑えない。けど、グレイに一生ついていく。グレイに手出しはさせない」

 青いドレスを身に着けた少女が、青と黒のオッドアイに決意を宿す。グレイと同じくリベリオン帝国北西部担当者ナイト・ブルーだ。グレイの左腕を抱きしめる手を強める。

「雷の使い手を探す。ソウル・ドミネーション、リーディング」

「それが良いですね。フリーダム・トワイン、コンフュージョン」

 二人でワールド・スピリットを繰り出す。


 ナイトが相手の精神を操るもの、グレイが無数の糸を操るものだ。

 ナイトは触れたもの全ての精神を操る事ができる。グレイの糸を介しても有効だ。グレイが右手に持つ白いステッキから、細く白い糸が一斉に広がる。糸は反乱軍を絡めとり、身体の自由を奪う。


 身体の自由を奪われた人間は、グレイの意のままに動かされる。


 反乱軍同士で斬り合いや殴り合いが始まった。彼らは困惑し、悲鳴をあげていた。

「なんだ!? 身体が言う事をきかない!」

「なんで味方なのに攻撃してくるんだ!?」

 グレイは、反乱軍の混乱を愉快そうに見ていた。


「僕たちに逆らおうとした事は、万死に値しますからね。せいぜい苦しんでもらいましょう」

「雷の使い手を探すのが先のはず」

「そうですね、さすがはナイトさんです!」

「グレイに褒められて悪い気はしない」


 グレイとナイトのやり取りを聞いて、ダークは呆れ顔を浮かべていた。


「てめぇらに人の心はあるのか? 反乱軍が少し気の毒になるぜ」

「ローズ・マリオネットに人の心を求めるのはどうかと思いますよ。僕たちの責務は、敵に恐れられ、従わせる事でしょう?」

「そりゃそうだが、敵を倒すだけじゃなく、リベリオン帝国の安定を考えてもいいと思うぜ。老害が逃げようとしているしな」


 ダークの視線の先に、こっそり離れようとしているグレゴリーがいる。

 グレイは微笑んだ。

「そうですね、捕まえておきます」

「あいつも働くべき」

 ナイトが抑揚のない声で肯定を示した。

 ふと、ダークの襟元のブローチが小刻みに震える。黒い薔薇のブローチだ。

 ダークが触れると、メリッサのか細い声がした。


「あの……ダーク? 聞こえていますか?」

「聞こえているぜ。敵がいるのか?」

「はい。地面から透明な青い刃がいくつも生えてきて、軍人さんが何人も倒れています。その……助けていただけますか?」


 メリッサは今にも泣きそうな声をしていた。

 ダークは舌打ちをした。

「ワールド・スピリットの使い手で間違いねぇな。すぐに行くぜ。グレナイは、俺がいなくても大丈夫だよな?」

「こちらはどうとでもなりますよ。どうぞごゆっくり」

 グレイは怪しく笑っていた。

 ダークの脳裏に、グレイとナイトが制御不能になる恐れがよぎったが、メリッサたちを救う事を優先するべきだろう。

 漆黒の地獄を爆発させて、思わぬ被害が生じないようにしておく。


「互いにうまくやろうぜ。コズミック・ディール、テレポート」


 ダークは空間転移で姿を消した。

 あとには爆発の余波と数多くの人々の悲鳴、そして微笑むグレイと無表情のナイトが残っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ