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魔王の偽物

 リベリオン帝国の東部地方のオアシス付近には、日干しレンガで造られた白い街並みが広がる。

 太陽が登りきっていないにも関わらず、人々は物や情報を交換している。

 砂と熱気のこもった風を感じながら、メリッサは感心していた。

「仕事熱心なのですね」

「仕事は早めに片づけておかないと、シルバーが怒るらしいぜ」

 ダークが片手で自らをあおぎながら、投げやりな口調で答えた。

「自分は朝に起き上がれないとかほざくのにな」

「誰にだって苦手な事はあるのでしょう。今日は起きてくれると良いですね」

「無理やりにでも起きてもらうぜ」

 ダークは歩き出す。目線の先には大きな屋敷がある。シルバーが住んでいるのだろう。

 メリッサも続く。

 そんな時に、呼び止められた。


「へいへい! そこの若いにーちゃんとねーちゃん! ちょっと俺様と遊んでいかないか!?」


 振り向くと、奇抜な服装の男性が道端に立っていた。

 通気性の良い白い長そで長ズボンにジャラジャラと鎖を付けて、リュートをめちゃくちゃに鳴らしている。

 金髪のアフロヘアーと、顔をはみ出したV字のサングラスが印象的であった。

「時は金、世の中は金! この俺様と付き合ってがっぽり儲けようぜ!」

「えっと……間に合っています」

 メリッサがやんわりと断ると、金髪アフロの男性はいやらしい笑みを浮かべて近づいてくる。

「おいおい、この俺様のお誘いを断るなんざ人生損してるぜ。この俺様が誰だか知っているか?」

 男性はリュートをかき鳴らす手を止めて、絶叫する。


「リベリオン帝国の英雄、魔王ダーク・スカイ様だ! ミラクル・スカイと呼んでくれてもいいんだぜ」


「え、あ、はぁ……」


 明らかに偽物である。

 メリッサが曖昧に頷くと、ダークが露骨に不愉快そうに表情を歪めた。

「そんな奴に構ってないで、とっとと行こうぜ」

「つれないじゃねぇか。俺様のカッコよさに嫉妬しただろ? ちなみに本名はグランディールだ。よろしくな!」

 グランディールは片手を上げて笑っている。

 ダークは口元を引きつかせる。


「何をよろしくしたいんだか」


「大変だ、襲撃だ!」


 突然に悲鳴があがる。人々が物や情報の交換をやめて逃げ出す。

 遠方から、武器を持った白い集団が猛進してきていた。

 グランディールは鼻水を垂らして腰を抜かしていた。

「ひいぃい、お助けを!」

「おい、てめぇリベリオン帝国の英雄なんだろ? なんとかしないのか?」


 ダークが呆れ顔になると、グランディールは首をぶんぶんと横に振った。


「あんな恐ろしい集団を何とかできるわけがないだろ! 金ならやる! 俺様を安全な場所まで運べ!」

「てめぇを担ぐ義理なんてねぇよ。メリッサはここにいろ。ちょっと片づけてくるぜ」

 ダークは溜め息を吐いて、白い集団へ向き直る。

 グランディールは騒ぎ立てる。

「あ、あんなの相手になるはずがない! さっさと俺を担いで逃げろ!」

「コズミック・ディール、グラビティ」

 グランディールを無視して、ダークはワールド・スピリットを放つ。

 重力を凶悪に強めるものだ。白い集団が次々と乾いた地面に沈む。

 グランディールは満面の笑顔を浮かべて立ち上がり、何故か得意げにリュートをかき鳴らす。

「さすがは俺様が見込んだだけの事はある! そのままやっちまえ!」

「てめぇに指す図されるいわれはねぇよ」

 ダークは舌打ちをする。

「集中したいから黙ってろ」

「うぇいうぇいイケメン、頑張れ頑張れイケメン!」

「人の話を聞けよ! 物理的に黙らせるぜ!?」

 ダークが怒鳴りつけると、グランディールはしゅんとなった。

「応援ぐらい自由にやらせろよぉ……」

「強敵がいそうなんだ、とにかく黙れ」

 ダークの口調は冷たかった。

 ダークの視線の先には、赤い瞳の女性がいる。今は地面に沈んでいるが、闘志を失っていない。

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