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幕間〜白い集団〜

 リベリオン帝国の東部地方は砂漠で覆われ、水源が限られている。そのため、人間が住める地域も限られている。

 数年前はクレシェンド王国の住民が王家を中心に、水源をうまく活用して暮らしていた。

 しかし、リベリオン帝国が建国されてから間もなく、クレシェンド王国は闇の眷属に攻め込まれた。当時はエリック・バイオレットもシルバー・レインもワールド・スピリットを操る事ができず、ダーク・スカイのみが異能の使い手であった。


 ダークさえ倒せば勝てる。そんな部隊であった。


 それにも関わらず、クレシェンド王国は敗北したのだ。ダークのワールド・スピリットが凶悪だったせいもあるが、それ以上に闇の眷属が執念深かった。

 かつてはクレシェンド王国が奴隷にしていた人間たちの反逆は、想像以上であった。結束も強固なものだった。

 王家は全滅し、住民は散り散りに逃げるしかなかった。

 逃げた住民たちの大半が、水源を確保できずに死に絶えた。


 そんな現状を、クレシェンド王国最後の貴族となったミネルバは何もせずに見ていたわけではなかった。


 ミネルバは顔からくるぶしまで覆った通気性の良い白い服をたなびかせる女性だ。赤い瞳はいつも決意と悲壮感に満ちていた。

「時は来た」

 明け方の蒸し暑い風に吹かれながら、呟いた。右手で握りこぶしを作り、祖国のあった方向を見つめる。

 その呟きを隣で聞く男性が苦笑する。くたびれた金髪を生やす、ひょろ長い男性だ。日頃は前を閉じている茶色いオーバーコートを開けて、少しでも風を入れるようにパタパタと前後に振っている。名前をカインという。


「僕はもう少し作戦を練った方がいいと思うよ。ダークに関する噂も検討した方がいいだろう」


「金髪アフロで男女問わずハーレムにしているなど、どうでもいい。私はワールド・スピリットを使いこなせるようになった。それに奴らの動向はだいたい掴めた。シルバーは朝は戦わない。これを利用しない手はない」


 ミネルバは、自分と同じ白い服の集団に向かって叫ぶ。

「昼までに決着させ、残虐なシルバー・レインを仕留める! 耐え難い屈辱は今日までだ!」

 雄たけびがあがる。彼らは闘志を失っていなかった。

「ミネルバ様、万歳!」

「今こそクレシェンド王国を取り戻す時!」

 ミネルバは右の拳を振り上げて、歩き出す。


「進め! 私たちの輝かしい未来のために!」


 白い集団は雄々しく続く。闘志に満ちた行進だ。

 カインは冷ややかな眼差しを送っていた。

「ミネルバさんは強いけど、もっと冷静になった方がいいと思うなぁ」

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