表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

82/147

捕縛作戦

 前回との話の繋がりが弱かったので、冒頭に数行ほど追加しました。

 下着泥棒はなかなか捕まらず、このままではその犯行がエスカレートする可能性もある。

 しかし学校側の対策では何の効果も上がっていないので、俺の方で動くことにした。

 犯人を放置した結果、身内に取り返しのつかない被害が出たら嫌だしな。


 そんな訳で、下着泥棒捕縛作戦の開始である。


 下着の盗難事件が起こるのは、生徒が授業中の為に寮内の人口が減る昼間が殆どだが、夜に取り込み忘れた洗濯物を狙われたケースもあったらしい。

 ただ、夜のはレアケースのようだし、生徒達も寮内に戻ってきているから、その時間帯に捕縛作戦を行うと彼女達を不測の事態に巻き込んでしまう可能性がある。


 だから作戦を行うのなら、昼間だな。


 俺はこの学校で学ぶことは殆ど無くなってしまったから、授業をサボって作戦を指揮することにしよう。


「それでは皆さん。

 大変な仕事ですが、協力お願いします」


「「はい!」」


 他の作戦従事者は、アンシーとミミ。

 俺と彼女達は、俺が作った光学迷彩のローブを(まと)っている。

 未来技術によってローブの表面に背後の風景を映し出して、透明人間のようになれるという物だ。

 これならばかなり接近しなければ、そこに人がいるとは気づけないだろう。


 これで透明人間なって、各自狙撃ポイントで待機してその時を待つ。

 俺は犯人をおびき寄せる「餌」──そのすぐ側で待機だ。


 餌は……俺のパンツ。

 本当は嫌だったけど、みんなから「1番効果がある」と力説されたので……。

 何故だ……誰のでも同じ布じゃん……。


 ともかくこの餌を、1階にある使っていない部屋のベランダに干して、犯人をおびき寄せる訳だ。

 犯人が来たらベランダの物陰に隠れていた俺が、テーザー銃によって犯人を捕らえるという算段となっている。

 万が一仕留めそこなっても、アンシー達が催涙弾やゴム弾で無力化するという二段構えの作戦だ。


 そんな訳で、現場に潜伏していたのだが、犯人は現れなかった。

 まあ、事件は毎日起こっていた訳ではないので、たまたま不発だったのだろう。

 釣りでもしているつもりで、ゆっくり待とうか……。



 しかしそれが3日続くと、犯人に俺達の狙いが見抜かれているのではないか……と、不安になる。

 これは別の方法を考えるべきだろうか……と、考え始めた4日目。

 ついに動きがあった。


 ベランダの上部から、何者かが姿を現した。

 上からくるの!?


 わざわざ狙いやすい1階のベランダを選んだのに、何故か寮の外壁をつたって降りてきただと……!?

 スパイ●ーマンか何かかよ……。

 めっちゃ身軽だぞ、こいつ……!


 そしてそいつの格好は、全身を黒いタイツのようなもので(おお)った、筋肉質の男だった。

 体型がはっきり分かる、薄い布地のようだ。

 あと、マスクを被っている。

 ちなみにマスクとは言っても、風邪とかを予防するのアレではない。

 プロレスラーが被っているような、目と口だけが露出しているような感じだった。


 それを一言で言うのならば──、


「変態だ────っ!!!!!?」


「っ!?」


 俺は思わず叫んでしまった。

 いや、下着泥の時点で変態なのは分かりきっていたが、ビジュアルから受けるインパクトが予想以上だったのだ。

 やはり生の迫力は違う……!!


 だが、何も無いはずの場所から声が上がったことで、男は逆に意表を突かれたのか、動きが止まった。

 俺はそこを狙ってテーザー銃を撃ち込む。


「ぐあっ!?」


 普通ならこれで無力化できるはずなのだが──、


「ちっ!」


 しかし男は逃げる。

 まだ動けるのか!?


 だけどこういう時の為に、アンシー達を待機させていたのだ。

 すぐにゴム弾や催涙弾による狙撃が行われる。

 ミミのヘッドショットが決まり、アンシーが撃った催涙弾の煙に包まれるが、男はすぐに飛び出してきた。

 く……変態のくせにしぶとい……!!


 俺は男の後を追い、そしてアンシーとミミも姿を現して、男の行く手を阻む。

 そこでようやく男の動きは止まるが、戦闘不能になっている訳ではない。

 動きは多少鈍っているようだが、逃走や戦闘はまだ可能な状態だ。


 しかし電気ショックやゴム弾によるヘッドショットを耐えるだけなら、身体(からだ)が極端に頑丈だということで説明が付くけど、催涙ガスの効果が殆ど無いように見えるのはどういうことだ……?

 その危険性を一瞬で悟って、目を閉じて息を止めたのか……!?


 これは結構な手練(てだ)れかもしれない。

 だとすると、接近戦を挑むのは危険か?

 しかし飛び道具だと、これまでの攻撃が通用しなかった以上、更に強力な銃器が必要になるだろう。

 そうなると殺傷力が高くて、殺してしまう可能性が出てくる。

 さすがに下着泥程度で射殺というのはなぁ……。

 それに幼い少女達が生活する寮の敷地内で死人を出して、事故物件にするのはちょっと避けたい。


 そんな風に俺が逡巡していると──、


「なんの音~?」


「何かが破裂したの?」


「お姉様、今行きますわ!」


 複数の人の声と気配が近づいてくる。

 げっ、もう授業を終えた生徒が帰ってきたのか!?

 銃声を聞きつけてきたようだ。


 というか、明らかにセリエルのものと思われる声が聞こえたぞ!?

 危ないから作戦をしている場所には近寄るな……って、言っておいたのによー!!

 近づいてくる子達を止めろよ!! 

 いつも応援ありがとうございます。励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ