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とんでもないな物を盗まれました

 ……は?

 俺の下着が盗まれたの?

 前世の世界にあったセクシー下着ならまだ分かるが、子供用のカボチャパンツだよ?


 俺だって男の子だったから、パンチラとかも嫌いじゃないけど、それは誰かが穿()いているからこそで、パンツだけ見せられてもなんとも思わない。

 布じゃん。

 実際前世では、ショッピングモールの下着売り場だって平気で横切ることができたぞ。


「そんなものの、何処に需要が……」


「え、姉様のはあるでしょ?」


「あるよね」


「お嬢様のは至宝だと思います」


「アッ、ハイ。

 ……というか、あなた達のも盗まれたのですよね……?」


 何故みんなから「何をおかしなことを言っているだ、こいつ?」みたいな目で見られるんだ……?

 それに被害が俺だけじゃないのなら、俺のだけが特別な物でもないだろうし……。

 あ、ミミだけが俺以外に対して、「ちょっと意味が分からないです」っていう目で見ていた。

 俺とミミだけが正常だよな……?


 そもそも下着だけとか、何が楽しいんだ?

 洗う前なら香りを(たの)しむとか、共感はできないがそういう変態がいるという事実は理解はできる。

 でも、洗濯物として干していたものだし、匂いなんて無いはず……。

 改めて言うが、布じゃん。


 大体、元男の物だと思うと……。

 真実を知った犯人の反応がどうなるのかちょっと興味はあるが、「それでも構わん」とか言われたらドン引きすることになりそうなので、黙っておく。


 それはともかく──、


「申し訳ありません。

 私が洗濯物を干しっぱなしにして、外出したばかりに……。

 いつもは乾くまで鑑賞……いえ、見張っているのですが……」


 アンシーが頭を下げる。

 つか、洗濯物を監視し続けるって、暇なのか……?


「でも、洗濯物を干していたのは、この部屋のベランダですよね……?

 ここ、3階なのですが……」


 普通、こんな所まで盗みに来るとは思わねーよ……。


「お姉様、ご無事ですか!!」


 その時、セリエルが部屋に飛び込んできた。

 ノックはしようか?


「下着は、無事ではありませんねぇ……」


「そんな……お姉様の玉体(ぎょくたい)を包む、聖なる布が……!!

 許すまじですわっ!!」


 おいおい、ただのパンツだぞ?

 

「というか、あなたのも盗まれたのではないですか?

 そちらの方を、問題視した方が……」


 俺のよりも、自身の被害を(なげ)きなよ。


「私のことなぞどうでもいいのです!!

 下着が無ければ、穿かなければよいだけのこと」


 そっちの扉を開けちゃいかん!!

 というか、まさか明日穿く分も盗まれたの!?

 洗濯物をためて、一気に干した結果か……。

 まずはお前の所で働いているメイドのサボり癖について、怒った方がいいと思うよ?


「それよりもお姉様の至宝が、(よこしま)なる者の手に渡ったことの方が問題ですわ!」


 ……何故みんな、俺のパンツを貴金属のように言うのだ……。

 確かに「変換」の材料としてはレートは高かったが、他の子のも同じかもししたないし……。

 さすがに試してはいないが……。


「こうなったら自警団を組織して、犯人を捕らえますわよ!!」


 セリエルは義憤に駆られているようだが、むしろ以前から容疑者っぽい言動をしていたのは、お前だからな?

 まあ、俺との和解前と後では、その方向性は違うが。

 あと、クレアもアリサの私物を隠した前科がある……が、この2人を疑うのはさすがにやめておこう。

 ただ、学園関係者による、内部犯の可能性も否定はできないのだろうな……。


 ともかく、以前のセリエルには取り巻きがいたし、その組織力を使えば、下着泥くらいは捕まえてくれるかもしれない。

 そもそも、教師達が動いて警備員を増やしてくれるかもしれないし。


 この事件はすぐに解決する──。


 そう思っていたのだが、犯人はなかなか捕まらず、その後も被害が続いた。

 まあ、俺とアリサのところはアンシーとミミが見張っているので盗まれることはなかったが、クレアは被害にあったので、それ以後は彼女の分もアンシーにお願いして洗濯してもらっている。


 しかしこれは問題だぞ……。

 今は下着だけで済んでいるが、犯人が洗濯物を干しているベランダに登ることができるということは、そのまま部屋に侵入することも不可能ではないということだ。

 もっと重大な事件に発展する可能性もある。

 窃盗とかならまだしも、婦女暴行や殺人なんて事件に発展したらシャレにならないからな……。


 しかし現実は、そんな予想すらも超えていく。

 まさかこんな下着泥騒動から、あんな事態に発展するなんて……。

 この時の俺は、想像だにしていなかった。

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