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駆 除

「みなさん、こちらへ下がってください!」


 ゴブリンが出たので、道を切り開く作業は中断だ。

 まあ、作業をしていたのは冒険者達なのだから、彼らに戦わせてもいいんだけど、それでは時間がかかる。


 そんな訳で、(あらかじ)め設置しておいたガトリング砲の出番だ。


「アンシー!」


(かしこ)まりました、坊ちゃま」


 冒険者達がガトリング砲の射線から外れたのを確認して、撃ち方ー始め!


「「「「ギャアァァァ!?」」」」


 無数の弾丸がゴブリン達をなぎ倒す。

 うん、ゴブリン程度なら、旧式の重火器でも過剰なくらいだな。


「いやはや、本当に凄いもんじゃな。

 次はワシに撃たせて欲しい」


「私もー」


 ドンガトさんとエカリナさんも、すっかり俺の兵器に魅せられているなぁ。


「いいですけど……。

 次があったら……ですね。


 さて……ゴブリンの死体を片付けて、作業を再開しましょうか……。

 あれ、魔石とかもあったんでしたっけ?」


 魔物を解体したら、その体内から石が手に入るんじゃなかったかな?

 それは「魔石」と呼ばれ、魔力が含まれているから、魔道具の燃料になるはずだ。


「ああ、ゴブリンのは高額では売れないから、労力に見合わないよ」


「そうそう」


 アルクとリーリアは肩を(すく)めた。


「そうですか」


 そういえば、旅の途中で倒したゴブリンも放置だったな……。

 まあ、グロい光景を見なくて済むのなら、その方がいい。

 森の伐採作業もまだあるしね。


 しかし襲撃は、ゴブリンだけでは終わらなかった。

 

「お……おお?」


 木々が折れて、倒れる音が聞こえる。

 そして森の奥から現れたのは──、


「オーガだ!!」


 それは身長が3~4mはあろうかという、巨人だった。

 ただ、全身の皮膚の色が青色で、(ひたい)には一(つい)(つの)がある。

 体型も何処となく(いびつ)で、人型ではあるけど人間には似ても似つかない印象だ。


 ……あれがオーガか。

 凄い迫力だけど、巨大イノシシよりは小さく感じる。

 その巨大イノシシが出現した時に備えてアームストロング砲を用意していたのだから、問題は無いだろう。

 いざとなれば俺の「遠隔変換」で、地雷でも設置すれば済むはずだ。


「ドンガトさん、手伝って!

 照準を合わせます!!」


「おう!」


 アームストロング砲の欠点は、人力で動かさないと狙いをつけられないところだな。

 一応車輪はついているけど、重いので俺やアンシーだけでは動かすことが難しい。

 そこで力自慢であるドワーフの力が必要だ。


「狙い良しじゃ!」


 アームストロング砲は、俺が「「変換」」で作り上げた時点で砲弾が装填されており、既に発射できる状態になっている。

 あとは発車スイッチとも言える紐を引けば、砲弾は発射される訳だが……。

 

「これ、引きます?

 引けば発射されます」


 ドンガトさんにそう問うと、


「やる!」


 と、彼は嬉しそうに答えた。

 なんだか可愛い人だ。


 直後、轟音が鳴り響く。

 発射された砲弾はオーガの腹に直撃し、内臓をぶちまけた。

 うわ~グロい……。


「オーガが一撃とは……」


「本当に凄い威力ねぇ……。

 それなのに、相変わらず魔力を感じないのだから、意味が分からないわ」


 エカリナさんは俺が作った火器のことを、まだ魔法の産物と思っているらしく、首を捻っている。

 一方のドンガトさんは、科学技術……という概念は持っていないだろうけど、魔法とは別の技術によるものだということをなんとなく理解しているようだ。

 だからいつか彼は、自力で同じような物を作り上げるかもしれない。


 ……それが量産されたら戦争の在り方が変わるだろうし、犠牲者が増えそうだから、俺から兵器の現物の提供は無しかな。

 取りあえず優先して提供するのは、自転車や車など、生活の役に立つものだけだな。


「……これでひとまずは終わりですかね?

 オーガの魔石の価値はどうなんです?」


「結構高額で売れると思うけど、魔石は無事なのかしら?」


 と、エカリナさん。

 ああ、オーガの腹に大穴が空いてるしなぁ……。


「取りあえず、魔石が回収できるのなら回収してください。

 それが終わったら、私が片付けます」


「お嬢ちゃんが?」


 まあ、オーガの巨体を片付けるのは、人力だとちょっと大変だろう。

 俺が「空間収納」に入れてもいいんだけど、適当な武具に「変換」してからの方がいいかな。

 ついでに伐採が終わった木も。

 それでみんなの装備も調(ととの)えるか。


 そんな感じでたまに魔物の襲撃はあったものの、道を切り開く作業は順調に進んでいった。

 そして──、


「ダンジョンの入り口だ!」


 約2日で、そこへと至る道は完成した。

 勿論、舗装はしていないし、精々馬車一台が通れる程度の狭い道だけどな。

 それでも現状では十分だろう。


 さあ、ダンジョンの探索に挑戦しますか。

 やっぱり異世界に来たら、1度は体験してみたいしな。

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