表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/147

夜の来訪者

 ブックマーク・☆での評価・誤字報告・いいねをありがとうございました!

 ……なにかが外にいるな?

 そんな風に何者かの気配を感じて、俺は目覚めた。

 アンシーに抱きしめられ、柔らかいものが顔に当たっていたので、その感触をこのまま楽しみたい気持ちがあったが、そうも言ってられない。


 ただ、気配からはそんなに嫌な感じがしないってことは、(けもの)や魔物ではなく、人間かな……?

 通りかかった旅人が、この車が何なのか分からなくて、調べている?


「アンシー、起きろ。

 誰か来た」


「ふぇ……坊ちゃま?」


 俺は窓から外を(うかが)う。

 暗くてよく分からないけど、何人かいるようだ。

 聞き取れないけど話し声も聞こえる。


「どうするのですか、坊ちゃま?」


「一応、銃の用意を」


 と、俺はアンシーに銃を渡す。

 盗賊の(たぐ)いなら、銃器での撃退は難しくないだろう。

 ただ、現状では一般の旅人との区別がつかない。


 仮に相手が盗賊だとしても、窓を開ける為にはエンジンをかけないと駄目だから、不意打ちができないんだよなぁ……。

 相手の正体が分からない内は、ドアを開けるのも危険だし……。

 だからロックはしてある。

 

「仕方がない。

 エンジンをかけてライトをつければ、相手の姿も見えるだろうし、その反応を見て対応を考えよう」


(かしこ)まりました、坊ちゃま」


 エンジンをかけてハイビーム照射。

 更に車内のライトをつけて、周囲を照らす。

 

 お、武装した男女が驚いている。

 これは盗賊と言うよりは、冒険者っぽい格好だな。 


 俺はちょっとだけ窓を開け、念の為に銃をいつでも撃てるようにしつつ、外へと呼びかけた。


「何をやっているんです?」


「うおっ!?」


 外の冒険者らしき者達が驚いている。

 車の中に人がいるとは思っていなかったのか、人がいるとは思っていても、子供がいるとは思っていなかったのか……。


「冒険者ですか?

 まさか盗賊?」


「え……あ!

 盗賊じゃない!

 俺達は冒険者だ。

 変な物があったから、調べていた」


 ふむ……嘘を言っている感じじゃないな。


「ちょっと待っていてください」


 俺は外に断りを入れてから、アンシーに呼びかける。

 

「アンシー、服を着ろ。

 ちょっと話してみよう」


「あっ、はい」


 睡眠中だったから、下着姿だしね……。


「あ、悪いが急いでくれないか?

 魔物が出たんだ」


 なんだと!?

 こんな夜中に冒険者が歩き回っているのは変だと思ったけど、こいつらは野営地を魔物に襲撃されて、逃げてきたってことか?

 こいつらは逃げ込む場所を求めて、この車に目をつけたのかもしれない。

 明らかに人工物だもんな……。


 で、急いで準備をして、慎重に外へと出る。

 背後ではアンシーが銃を構えて警戒しているので、万が一の時にも対応できるぞ。


「おお……」


 冒険者達は俺の姿を見て、小さく感嘆の声を上げた。

 そんなに驚くほど、俺は美少女かね?


 一方、冒険者達だが、約一名を除いて若く見える

 駆け出しといった感じだろうか?


 1人は剣士風の男。

 赤毛の熱血少年って感じで、リーダっぽい。

 さっきから代表して喋っているのもこいつだ。

 

 1人は大きな盾を持った髭面の男。

 背が低くて、樽のような体型をしているから、もしかしてドワーフなのかな?

 ただの太った人の可能性も、捨て切れないが……。


 1人は魔法使い風の女。

 ちょっと気が強そうで明るい茶髪をツインテールにしている娘で、リーダーの幼馴染みっぽい雰囲気がある。

 たぶんツンデレだな。


 1人は冒険者職としての盗賊……所謂(いわゆる)シーフっぽい男。

 何処となく内向的……というか、陰鬱な雰囲気をしている。

 

 そして──、


「さて……詳しい話を聞きたい……ところですが、そちらで隠れている人も出てきてくれなければ、襲撃の意思が有りと見なしますが?

 2人いますよね?」


「!!」


 図星を指されたのか、冒険者達が動揺している。

 左手のおかげが、感覚が鋭敏になっている今の俺には、隠蔽術は効かないぞ。


「す、済まない。

 依頼人である護衛対象は安全が確認できるまで、隠れてもらっている」


 ふうん……?

 隠れているのは、その護衛対象と護衛役か。

 まあ、確かに殺気のような物は感じないけど。


「そういうことなら……」


 俺が納得しようとしたその時──、


「いや、出て行くよ」


 隠れていた気配の方から、声が上がる。


「これから助けを求めるのに、姿を隠したままでは失礼だ」


 と、隠れていた2人が出てきた。

 礼儀云々以前に、相手が女子供で油断したというのもあるんじゃないかな?


 って、1人はエルフの女性か!?

 初めて見た!!

 しかも銀髪碧眼の美女!!

 弓を持っているからたぶん弓使いだろうけど、おそらくエルフ独自の特殊な魔法も使うのだろうな。

 機会があったら見せてもらおう。


 そしてもう1人の男は──、


「ルエザリクさん!?」


 俺が合流しようとしていた商人だった。

 来週はちょっと更新が滞るかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
「あ、悪いが急いでくれないか? 魔物が出たんだ」 失礼な言い分やね。ルエザリクさんがいなかったら、急いでいるのなら、さっさとお先に行ってくれと言ってあげるところだね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ