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国王、胃痛を感じる

「え、ここでも教国絡みの攻撃があったのですか?」


 王城でミーティア達に合流した俺は、そんな事実を聞かされた。

 各所で同時攻撃とは、教国も本気だな……。


「ああ、未然にシズヨニちゃんが防いでくれたがな。

 これから父上に報告しようと思っていたところに、エルネスタが帰ってきた」


「良いタイミングだったということでしょうかね」


 ミーティアの話だと、危うくクーデターが起こりかけたらしい。

 それを静代さんが止めてくれたのだとか。

 その静代さんは、褒めてとばかりに頭を向けてきたので撫でておく。


 しかしこうなると、他の地でも教国の暗躍がありそうだな。

 俺の公爵領は当然攻撃されていると思うが、アンシー達がいれば対応できるだろう。

 だが、他はどうなっている?

 さすがに王国全土を、俺が確認するのは手間だぞ……。


「早く国王陛下と話し合わなければなりませんね」


「ああ、父上の部屋へ直接乗り込もうか。

 もう謁見の為の予約とか言ってられないからな」


「こういう時は、実の娘という立場は便利ですね」


「いや、娘でも国王との謁見は、段階を踏まなければならないのだけどな。

 だが、もう待合室で暇潰しするのも飽きた」


 と、ミーティアは笑う。

 慣例無視の力技という訳ね。

 まあ、非常事態だから、ここは押し通させてもらおう。

 たとえ国王でも文句は言わせない。

 いざという時は、武力を背景にして言い聞かせるぞ。


 で、国王の部屋。


「父上、火急の要件があります!!」


 国王の部屋の扉をノックするなり、中からの返事を待たずに扉を開けるミーティア。

 普通なら国王への謀反を疑われて、斬り殺されても文句は言えない所業だ。


 ただ、王女と公爵と辺境伯が揃っての来訪とあっては、護衛の兵士も迂闊に動けないようだった。

 いや、動いても俺が止めるけど。


「な、何事だ、お前達!?」


「父上が遅いので、直接ここへ話をしに来ました」


 ……国王、この一大事に飯を食ってる……。

 そりゃ、そろそろ夕食時だけど、城に敵勢力が入り込んでいたんだから、毒殺されていてもおかしくない状況だったんだが……。


 その情報が上がっていなかったとはいえ、危機感が足りない。

 実際、国王がまだ生きているのは、たまたま運が良かっただけだ。

 俺が静代さんを連れてこなければ、今頃は……だったかもしれないんだよなぁ。


 つか、ヘリの音で俺が来たことは分かっていたはずだから、謁見の準備ぐらいしておけよ。

 どんだけ俺と会いたくないんだ。


「お久しぶりです陛下。

 マルドー辺境伯の砦を突破したカトリ教国軍を、討滅してきました」


「え!?

 なっ!?

 聞いてないぞっ!?」


「今報告しましたので……」


 教国の侵攻があまりにも早すぎたのと、タイミング良く俺の対処が間に合ったが故の現象だな。


「本当なのか、カルダンよ」


「は、我が辺境伯軍は教国の新兵器を前にして甚大な被害を受け、壊走するしかありませんでした。

 タカミ公爵の力添えが無ければ我々は全滅し、教国軍が王都まで攻め入ることを許していたかもしれません」


「な……なんと……!!」


 国王は愕然としているようだった。

 だが、更に追い打ちをかける情報がミーティアからもたらされる。


「父上、キンシーラ侯爵家のランラックが、教国の支援を受けてクーデターを画策しておりました。

 既に鎮圧されておりますが、他にも国内に多数の教国工作員が侵入しているものと思われます。

 早急な対策が必要な事態です」


「なん……だと?」


 国王は胃の辺りを手で押さえた。

 大変なストレスを感じている様子。

 まあ、下手をしたら、国が倒れかねない事態だった……というか、まだ進行形だからな。


「国内各地の領主に、伝書鳩を飛ばして、早急に対策をさせるべきです。

 軍隊規模の侵入は、国境への監視である程度は把握できると思いますが、数人単位の工作員の侵入は、さすがに完全に止めることはできませぬ」


 森とか海とか、どうしても人目が届かない侵入経路はあるからねぇ……。

 そういう意味では海沿いにある俺の領地が一番危ないのだが、海上からの攻撃なら我が空母の武装でどうにかなるだろうし、数人程度の侵入ならセリエルだけでも倒せるはずだ。

 何よりもアンシーがいるから問題ない。


 問題は他の領地だ。

 俺が航空機で各地に行って異常が無いか、それを確認するのが手っ取り早いのだが、それでも結構な時間がかかる。

 そもそも、何かしらの事件が起こっていればすぐに分かるが、工作員が攻撃の機会を狙って潜伏している状態なら、事前に危機を察知することは難しい。


 それなら現地の人間に警戒強化をさせるなどして、対応させた方がいいだろう。


 そして俺は──、


「陛下、最早教国の存在は看過できません。

 時間を与えれば、更に強力な兵器を用いて侵攻してくるでしょう。

 そうなる前に、どうかこの私へ教国の征伐をご下命ください!」


 命令があれば、ちょっと行って潰してくるからさ。

 いや、命令されなくても行くが、王命という大義名分があった方が後腐れが無いんでね。


「……っ!!」


 そんな俺の申し出を受けて、国王は再び胃の辺りに手を当てた。

 全面戦争を決断しろと、言っているようなもんだからなぁ……。

 ほぼ20年続けてきたブログのサービスが終了したので、今後はそちらで書いていたことを、この後書きで少しだけ書くこともあるかもしれません。

 最近あったことと言えば、本物の化石が当たるガシャポンで、レア物のアンモナイト(虹色の光沢がある)を当てて運を使い果たしたことですね。

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