表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/146

脱 出

 さて、倉庫の資材を勝手に使って、色々な武具を作ったが、すぐに行動すべきかどうか……。

 仮にここから脱出しても、それだけではまた捕まってしまうかもししれない。

 確実に逃げ切る為には、俺を攫った奴等を追跡できない状態にする必要がある。

 

 ……それには皆殺しにするのが一番手っ取り早いが、さすがにそれはなぁ……。

 殺人なんて縁の無い環境で育ってきた俺には、ちょっとハードルが高い。

 となると、選択肢はあれだな。


 俺はあるもの(・・・・)を装着して、暗い倉庫の隅に身を潜める。

 魔力もそこそこ使ってしまったから、このまま休んで少しでも回復させよう。


 ついでに防刃ベストも装備しておこうか……。

 念の為、念の為にね……。

 他にも色々と装備して身を守りたいけど、これ以上は重さで身動きがとれなくなりそうだから、やめておいた方がいいだろうな……。

 

 それから1時間程が経過すると──、


「なっ、荷物はどこへいった!?」


 男達が戻ってきた。

 彼等は空っぽになった倉庫の中を見て、混乱している。

 薄暗いので、俺の存在にはまだ気付いていない。


 よし、全員いるな。

 それを確認した俺は、彼等が倉庫の中にある程度踏み込んだところで、あるものを投げつけた。

 それは勢いよく煙を吐き出しながら、床に転がる。


「うわっ、なんだこれっ!?」

 

「目がっ!?」


「ゲホっ、ゲホっ!!」


 うん、効いている

 俺が投げつけたのは、催涙ガスを噴出させる手榴弾だ。

 これなら効率的に、男達を無力化することができる。

 勿論、俺は(あらかじ)めガスマスクを装着しているから、影響は受けない。

 何よりもこれは、確実に命を奪うものではないので、使用に対して精神的な抵抗感が少ないのがいい。


 最初は倉庫の入り口に地雷を仕掛けようかとも思ったが、これは踏まれなければ効果は無いし、倉庫に入ってくるのが1人だけということも有り得る為、他の連中が無傷で終わる可能性もあった。

 そもそも、俺自身が爆発に巻き込まれてしまう可能性が高い。


 他の手段も、クロスボウや銃を撃ち込むような攻撃は、致死率を考えると気楽に選択できるものではなかった。

 まあ、催涙ガスでも死ぬ時は死ぬけど、もうこれは気分の問題だ。

 殺すのと、結果的に死ぬのでは、大きく違うからな……。


 とにかく上手くいった!

 男達は涙を流しながら咳き込んで、床で悶え苦しんでいる。

 さあ、今の内に脱出だ!!


 俺が倉庫の外に出ると、そこには少し見覚えがあった。

 これ、最初に売り物を持ち込んだ武具店の裏だな。


 つまり俺の誘拐を企てたのは、ここの店主だということだ。

 ろくに話も聞かずに門前払いしておいて、今更俺の価値に気付いたか。

 しかし普通に商談を持ち込んでくるのならばともかく、俺を拉致して利益を独占しようとは、ろくでもない店だなぁ。


 こんな悪徳業者は、早々に潰すべきだ。

 だけど今はまず、逃げることを優先しよう。


 しかし俺が走り出すと、背後から足音が聞こえてきた。


 え、もう追っ手が来た!?

 振り向くとそこには、1人の男がいた。

 そいつも催涙ガスに、まかれていたはずだけど……。


 まさかガスに耐性とかあるのか!?

 これだから異世界人はよ~!


「舐めた真似しやがって!!」


 しかも酷く御立腹の様子。

 これは捕まったら何をされるのか、分かったものじゃない。

 実際、相手は剣を抜いている。


 それ、脅しの為に使うんじゃないんだよね?

 前世ではついぞ感じたことのない、殺気のようなものを感じるんだけど……。


 今度こそ覚悟を決めて戦うしかないな……。

 俺は「空間収納」から、クロスボウを出して構える。

 矢は作り出した時点で装填されていた。

 どうやらこのスキルは、すぐに使える状態で作ることが可能らしい。


 だから仮に戦車を作った場合は、砲弾の装填は勿論、燃料も満タンな上に、バッテリーだってフル充電されているだろう。

 これは俺がいなければ、弾薬や燃料が補充できず、使うことができないことを意味している。

 これって相当なアドバンテージだよな。

 仮に俺から武器を盗んでも、活用できないんだもの。


 しかし、まずはこの場を生き延びないと話にならない。

 男がこちらに向かって走り出した。

 俺は慌てて、クロスボウを発射する。

 しかしそれが、命中することは無かった。


 狙いは外していなかったはずなのに、なんだあの男は!?

 矢が(はじ)かれた!?

 次回分でストックが切れるので、その後は不定期更新になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ