かんぱちの兜焼きとミード(はちみつ酒)
このエッセイは、あとさん♪の個人的な食の記憶を残すための備忘録です。
六月某日。
千葉県某所へ、あとさんファミリーのぷち旅行。そうだな、チーバくんのお尻のあたりかな。
泊まったのは旅館。そこのお夕食の伊勢海老を目あてに出かけたのですが。
ここの魚料理が衝撃的だった。
なにがって、あぁた。
焼き魚。正しくは「かんぱちの兜焼き」
いえね、わたくしも日本人として生まれ育って幾星霜(長生き!)。
魚なんて食べ慣れて、なんなら飽きている状態なんですよ。いちいち覚えていない数の焼き魚を喰ってきましたからね。
ところが、そのわたくしを持ってしても「う……うまいっシェフを……板長を呼べ!(海原雄山っぽく)」みたいな気持ちにさせていただいたお魚だったのですよ!
それが『かんぱちの兜焼き』!
兜焼きっちゅーのはあれだ。お魚の頭部分を指しておりましてね。ぶっちゃければ、かんぱちの頭部を焼いたものです。
焼く。この基本中の基本な調理法!
ご家庭でもグリルがあればお手軽に調理できる焼き魚。
なのに、あのとき食したあのかんぱちはまさしく「生まれて初めて」食べた別物でありんした。
(味を思い出し興奮しているせいか、言語が落ち着かない状態であります)
口の中にいれるとふわりとした甘さが鼻を抜け、さらにしっとりと柔らかな魚の身がほろほろと崩れ、これはもう別格!
ファビュラスっっっっ!
頬肉あたりがトレビアーーン!
いや、額のあたりがボーーーノっ!
血合いの部分の滋味深さがエーーークセレントっ!
なんでこんなに絶品なんかな!
どうしてこんなに繊細で甘く上品なお味に仕上がったのだっ⁈
塩の振り方? それとも塩そのものが良いせい?
っていうか、塩気のある皮のパリパリ感までもがマラビジョーソ!!
……などと感動しつつ、今までの食が貧弱だったのだなと反省せざるを得ない心地に。
漁港近くで新鮮なお魚が手に入るだろうことと、板さんの腕。
それらが渾然一体となって食卓に上ると、一流の芸術品もかくやとばかりの存在になるのだっっっ!
ハラショーーーー!!!
たぶんあれ、炭火焼き。
ガスの火は当ててないとみた。たぶんだけど。
単純な焼き魚ではあったけれど、単純であり食べ慣れていたからこそ、違いがはっきりと分かったのだと思う。
いえね、お刺身の舟盛りも美味しかったですよ?
地場のお魚を使ったなめろうは絶品でしたよ?
お酒が進みましたよ?
そもそものお目当てだった伊勢海老さまだって美味しゅうございました。
とはいえこれらは「想定内」の美味しさでした。
キンメダイ姿の煮つけもよいお味だったし、カサゴのから揚げだって……から揚げは量が多かったなぁ。残しちゃった。半分くらいは息子が食べてくれました。
最後に出たあら汁のお味噌汁ってば、すんげー上品な香りで美味しかった!
いやいや、あら汁って下ごしらえを手抜きしたりすると、途端に生臭い出来になるじゃないですか。その臭味が一切ない。素晴らしいっ! マーベラスっ!
惜しむらくは。
自分の胃の容量不足のせいで食べきれなかったことだ!
悔やんだっ! 激しく悔やみましたともっ!!
食事を残すなんてっっ!
このわたくしがっっ!!
不覚を取った!
でもね、ごはんと一緒に煮つけを食べたかったの。
だからさきにごはんを出してもらったのね。ごはんの上に煮つけをワンバウンドさせて食べるのなんて、そのタレの乗ったごはんが美味しいことなんて、太陽が東から上るくらい自明の理でありましょう?(白飯は白のままが至上主義のかたはスルーしてください)
そのごはんもね、ひょいっと気軽に口に入れて「なにこれやだ美味しいっ……!」と地味に衝撃を受けましたけどね!
あれも「竈焼き」だったんじゃないのかしら……知らんけど。
つまるとこ、ごはん(お米)を食べなかったら、その分までお魚食べられたかもしれないなぁと。
とはいえ、もともとそのお宿の夕食は量が多いと評判のお宿なのです。
量も多く、お味の方も善きものでしたっっっ!
あ、お風呂も善き。小さめだけど温めで長風呂できる感じが好みでした。
小さめのお風呂なので、他のお客さまとかち合ったら気まずいかも。(わたくしは貸し切り状態でしたが)(時間制の貸し切り(別料金)の露天風呂もあり)
壁に埋め込まれた水槽の中で鯵さまと石鯛さまが優雅に泳いでいらっしゃいました……。明日のお夕食用かしら……じゅるり。
浴場の外では、一個ずつ個包装されたピノが入った冷凍庫も用意されてて食べ放題状態。
でも夕食のことを考えたら食べ放題したらアカン(笑)
そして夕食後は別腹すら埋まっている状態という……。
さて。大満足した翌日。(朝食は適量だった。ごはんのおともがいっぱい(十八種類)あって楽しかった♪)
ヨソサマの家族旅行はどういった形なのかよくわからないけど、あとさんち一行は最初から綿密な計画を立てて動く人たちではない。
お宿だけ決めて行き当たりばったり。車中から目についた看板の場所へ向かったり、なんてこともよくする。
この日も同じように目について気になったからという理由ではちみつ工房へ寄ってみた。
ってゆーか、あちこちに看板があったのだけど「行ってみよう!」と思ったきっかけは旅館内に置いてあった県内の名所案内パンフレット。
そこに詳しく書いてあった文言に惹かれたのですよ。
「はちみつとミードのはちみつ工房」
ぶっちゃけ、はちみつはそんなに好きじゃない。だってはちみつの甘さって、口のなかで自己主張し過ぎでくどいと思うのね。むしろメープルシロップのほうが好きなん。
でも今回惹かれたのは【ミード】という単語!
あれですよ、あれ!
【ミード】っちゅーのはつまり、はちみつ酒のこと!
【ミード】といえばファンタジー的に、主人公が勧められる飲み物の代表格ですよ!
1万4000年前に人類が初めて巡りあった最古のお酒という説もあり、ワインやビールより古くからあると言われているはちみつ酒の【ミード】。
クマなどに荒らされてひっくり返った蜂の巣に溜まっている雨水を偶然飲んだ狩人が最初で、古代ギリシャでは神々のお酒(ネクター、アンブロシア)として崇められ、ローマの英雄ジュリアス・シーザーもミードを愛飲したとも。
そんな歴史とロマンに溢れた飲み物をゲットできるチャンスなんですよ?
1万4000年前からこの世に存在しているのに、わたくし、まだ飲んだことないのですよっ!
途中で寄った道の駅にも地場産はちみつ酒ってのがあって、著しくわたくしの興味を惹いていたのですが、専門店があるのならそっちでちゃんと見たいと。あわよくば買いたいと思ってしまったのですよ。
えぇとねぇ。場所は……チーバくんのお腹中央あたり。
うちのカーナビは古い(2020年サービス終了)ので適応されてなかったわぁ(;・∀・)
っちゅーわけで、ここ最近移転され新しくなった工房は、ショップが併設され、はちみつ試食コーナーがあったり見学ツアーができたりとなかなか楽しい。
ソフトクリームも販売されてて、店内ではちみつかけ放題(笑)
はちみつと一口にいってもそれぞれの花の種類によって味が違ったのがびっくり。
「アカシア」がいい感じだったけど、「そば」と「シナ」も甲乙つけがたい良さがあった。
個人的にたいへん気に入ったのが「白薔薇のはちみつ」。
薫り高く、あっさりとした甘み。ぜんぜんくどくない。
目の前で瓶づめしてくれてて、思わず購入してしまった。
わたしが今まで思っていたところのはちみつは「百花」と呼ばれていたやつだと思う。たぶん、名前のとおりいろんな花の蜜を集めたやつなんだろうなぁと推測。
そしてミード試飲。
……うん、甘いお酒。ワインよりも軽くて甘い。うん、甘い。デザートワイン的なかんじ。はちみつはビタミンやミネラルが豊富だっていうから身体にいいのか?
ジュリアス・シーザーは甘党だったのかなぁ……。
クレオパトラといちゃいちゃする前に呑んだりしたのかなぁ……。
なんせ「蜜月」の語源になったお酒やもんなぁ……。気になった人は各自ggr推奨。
っていうか、この工房で作られ「ピュアミード」っていう名前で売られているのは飲みやすくされたものだと思う。
さらりとしててジュースみたい。カパカパいけそう。女子ウケすると思う。
「ピュアミード」も「プレーン」味のほかに「オレンジ」「りんご」「桜」とフレーバー違いのも売ってましたが、「りんご」を購入。
私的には「クラフトミード」の方が気に入ったので、こっちも購入。
道の駅に置いてあったモノよりも、品数も種類も豊富(マヌカハニーとか、はちみつ使ったお菓子とか化粧品とか)で見ているだけでも楽しかった。
ここの【ミード】は飲みやすく改良されたものだけど、本来はビールのご先祖のようなものと称されるのだとか。もっと苦みもあってアルコール度数も高いのかな。
調べてみたら、10%程度のものが主流らしいけれど、70%なんてものもあるのだとか(アブサンか(笑))
なんせ1万4000年前からこの世に存在し世界各地で作られている。
外国産【ミード】、ドワーフみたいなおっさんに勧められて飲んでみたい。
ちな、これを書いているのは七月。
旅行時に購入したミードもはちみつも海苔の佃煮も美味しくいただき、すでに無い。
今回の宿泊旅館『こみなと漁師料理 海の庭』
全六室の小さな旅館。ここに泊まると「しばらく魚は食べなくてもいいな」という気になる。現在は、十二歳以下のお客様はご遠慮ください、というスタンスらしい。
『はちみつとミードのはちみつ工房』
白薔薇のはちみつは季節限定品のため、通販の定番品にはありません。
ところで、千葉って養蜂業が盛んだって今回初めて知りました。