第4話 格闘術2(キャラ名版)
エシュリオス「こんにちは、お兄さん。」
本店レミセンに戻ると、珍しい人物がいた。今ではトップクラスアイドルと言われている、エシュリオスとエフィーシュだ。2人とも見違えるほどに美しくなっている。
ミスターT「久し振りだな。また一段と可愛くなって、小父さんは嬉しいよ。」
エフィーシュ「もうっ・・・からかわないで下さい・・・。」
大人になっても仕草は以前と変わらない。冗談を言った事に対して、頬を染めて俯く双子。何だかエシェラが2人いるような気がしてならない。
ミスターT「あれ、シンシアはいないのか?」
メルデュラ「駅ビル内部の店舗に応援に行っていますよ。何でも団体さんが訪れたそうで。」
カウンターに座り一服する。普段は厨房はシンシアが切り盛りしているのだが、今は弟子たるメルデュラしかいない。そして彼女の背中にはヴェアデュラを負ぶさっており、安堵し切った表情で静かに眠っている。
ミスターT「ここにもお客さんが来ているというのにな。」
エシュリオス「あ、お気になさらないで下さい。」
エフィーシュ「今週は仕事がないので、息抜きしています。偶々来訪しただけなので。」
普段からアイドルとして活躍する双子。休む日はないのだろうか。これではアイドルという枠に縛られてしまう。何か考えないといけないな・・・。
リュエラ「こんにちは~。」
不意の来訪者が訪れた。秋葉原で偶然であったリュエラである。今度は2人の女性を連れている。出で立ちから彼女が話していた妹のリュミスとリュヴスだろう。
ミスターT「よう、来てくれたのか。」
リュエラ「丁度学校帰りです。」
リュミス「あっ!」
リュヴス「うそっ・・・。」
リュミスとリュヴスが驚愕の声を挙げる。その目線の先にはエシュリオスとエフィーシュが。そう言えば3人とも双子の追っ掛けをしていると言ってたな。
リュエラ「うわっ、エシュリオスさんとエフィーシュさんじゃないですかっ!」
いてもたってもいられないといった雰囲気の3人。双子に掛けより握手やらサインやらを求めだした。何事かと驚いた表情の双子だが、俺は3人の経緯を詳しく語った。
エシュリオス「なるほど、秋葉原で。」
エフィーシュ「コンサートに来て頂いていたのですね。」
3人の胸中が分かった双子。だが今は非番なため、普段見せるアイドルの顔はない。本当にどこでもいる女の子としての接し方だ。
リュヴス「何だか新鮮です・・・。何時もとは違ったお2人の姿は・・・。」
エフィーシュ「そうでもありませんよ。自分なりに自然体にしていますが、どうしても愛想を振り撒いてしまって。」
リュミス「でも普段の方が可愛らしく見えますよ。」
エシュリオス「ありがとう。」
流石は女の子同士だ。相手がアイドルであろうが直ぐに打ち解けた。それに3人も極端すぎる追っ掛けではなく、双子の生き様に共感を受けたというのが本音だったようだ。
リュエラ「お2人と知り合いだったなんて知りませんでしたよ。」
ミスターT「2人の従姉妹と恋仲でね。その関係からよく会ってるよ。」
エシュリオス「え・・・恋仲って、まさかっ!」
エフィーシュ「もしかして・・・受けられたのですねっ!」
ミスターT「あ、ああ・・・。」
俺がエシェラを恋人と認めた事に、まるで自分の事のように大喜びする双子。その度合いは尋常じゃないほどだ。幼子のように喜ぶその姿に、リュエラ達は呆気に取られている。
エシュリオス「よかったぁ~・・・。」
エフィーシュ「これで安心できます・・・。」
ミスターT「そうか、心配掛けさせていたのか。」
従姉妹として、姉を心から心配していたようだ。先程の大喜びする仕草も、その心の内が爆発したと言っていい。
エシュリオス「でも・・ちょっと悔しいな。」
エフィーシュ「私達も・・その、ね。」
なるほど、双子の心境はこれか。俺に対する一念なのが直ぐに分かった。最近大人びいたのも全てはこれなのだろう。
ミスターT「本命としては無理だが、そうでないのなら応じるよ。」
エフィーシュ「えっ・・・。」
エシュリオス「ほ・・本当ですか?」
ミスターT「今更形作ったってどうなるんだ。お前達の本心は事実だろうに。その思いの丈を相手に当てなければ、アイドルとしても女性としても一人前にはなれないぞ。」
心の内を全て曝け出し、それに応じる。それができたのがエシェラ達だ。俺も彼女達に応じる事で、普段見えなかった事が見えるようになった。これは間違いなく成長の証だ。
エフィーシュ「嬉しい・・・。」
エシュリオス「本気にしていいのですね?」
ミスターT「お前達が構わないのなら。」
エシュリオス&エフィーシュ「ありがとうございますっ!」
感極まって抱き付いてくる。まるで駄々っ子のようだ。だが双子の心境は痛いほど分かる。今は静かに抱きしめてあげる方がいいな。
その後奥のテーブルを囲み、雑談をしだす双子と三つ子。両者とも髪の色から異なるが、雰囲気は全く同じである。俺はカウンターでウェイター役をしながら見守る。
メルデュラ「本当に不思議な方ですね。」
ミスターT「双子でアイドル、それがエシェラの妹だよ。」
エシェラの従姉妹は有名人、俺も不思議で仕方がない。出会いは不思議なものだな。
メルデュラ「あ・・いえ、貴方の事ですよ。」
ミスターT「あら、彼女達の事じゃないのか。」
メルデュラ「はい。よく考えると、全て貴方を中心に回っています。貴方が切っ掛けで皆さん集まり今に至る。これほど大きな存在は他にありません。」
ミスターT「言われてみれば確かになぁ・・・。」
俺が全員の橋渡しになっているのは事実だ。無意識に動いていても、そこから新たな突破口が拓けてくる。俺という存在が間違いではなかったと言える瞬間でもある。
メルデュラ「私の人生観も大きく変わりました。貴方と出会えてよかった。」
ミスターT「ありがとう。でも本当はお前の変わりたいという一念次第だよ。俺は切っ掛けに過ぎない。メルデュラが強いから、ここまで変われたのだから。」
メルデュラ「ですね。」
切っ掛けとは些細な事が起源となる。俺も今に至るまで何度体感した事か。今があるのも、それらの縁が切っ掛けでも。だから大切にしなければいけない、今この瞬間と場所を・・・。
メルデュラ「あの・・・、私は何時でもいいですよ。」
ミスターT「ああ、デートの件か。」
携帯にメールが着信する。内容を窺っていると、メルデュラが語り掛けてくる。以前冗談も踏まえて語ったデートの件だ。
メルデュラ「私も・・・貴方に惹かれましたから・・・。」
ミスターT「何だかなぁ・・・。」
メルデュラの意思の強さはシンシアに匹敵する。つまり俺に対する思いも比例しているとも。これは紛れもない、本当の思いだ。嬉しいには嬉しいが・・・。
メルデュラ「ところで、内容は何でしたか?」
ミスターT「ああ、例の格闘術大会の日時と場所が決まったらしい。来週日曜午前10時開始、場所は女子高の体育館。」
メルデュラ「いいですね。お弁当を持って見に行きますよ。」
女子高の体育館というのが気になる。場所がなかったと言えばそれまでだが・・・。何だか胸騒ぎがする・・・。
シューム「お~し、今日は打ち合わせだ!」
ナツミYU「面白くなりそうね。」
予てから募っていた参加者を招集した。今回の大会は参加者の数から、かなり大掛かりなものとなる。本店レミセンに集合したメンバー、野郎が1人もいないのがご愛嬌か・・・。大張り切りのシュームを始め、会場を取ってくれたナツミYUも凄まじい意気込みだ。
ミスターT「今回の参加者はこれだけか?」
リストを作りながら集った面々を見渡す。シューム・ナツミYUは無論だが、他にエシェラ・ラフィナ・エリシェ・シンシア・ウインド・ダークH・リデュアス・リューア・テューム。俺も観戦側に回りたいのだがエシェラの事だ、無理矢理にでも戦わせようとするだろうな。
ナツミYU「女子高のチアリーダーチームが応援したいそうよ。」
シューム「リュリアもチアリーダーの衣装で応援するとか言ってたし。」
胸騒ぎはこれか・・・、嬉しいには嬉しいが・・・。これでは野郎がいては気が殺がれると言える・・・。
ミスターT「俺は応援側で・・・。」
エシェラ「ダメっ!」
小さく小声で語ったのだが、大声で却下された。他の面々も威圧的な目線で俺を見つめる。俺は格闘術には精通していないというのに・・・。
シューム「フフフッ、骨抜きにしてあげるから・・・。」
不気味に微笑むシューム。そのニヤついた表情には恐怖を感じずにはいられない。怖すぎる。だが逃げる事はできないだろう。受けて立つしか進む道はなさそうだ・・・。
それから数日後、格闘術大会。表は見事に快晴だ、日曜日としては非常に珍しい。既に7月に入っているのだが、まだ梅雨晴れはしていない。今日だけは梅雨晴れのような雰囲気だ。
女子高では大変なお祭り騒ぎとなった。エシュリオスとエフィーシュも来るとあってか、ファンの女性陣が大勢押し掛けてくる。男性陣も多くいるのだが、女性の方が圧倒的に多い。
ミスターT「お祭り騒ぎにしやがって・・・。」
開始時刻10分前。体育館では柔道用のマットが大規模に引かれ、そこでの試合となる。端の方は動かないようにと女子生徒が取り囲んでいる。実に怖ろしい・・・。
シューム「そうボヤかないの。」
普段の衣服から着替えたシューム。その出で立ちはプロレスで使うようなコスチュームだ。それだけ本気という現れだろう。
エリシェ「優勝者には記念品が出ますよ。」
ミスターT「正規の大会じゃあるまいし・・・。」
ニコニコしながら語るエリシェ。出で立ちは普段と変わらないが、普段と気迫が段違いだ。これが覆面暴漢を撃退した時の雰囲気なのか、怖ろしいほどのものである。
ウインド「マスターはその格好ででられるのですか?」
ミスターT「出なきゃダメなのかね・・・。」
エシェラ「ダメですよ。」
エリシェ「私を助けてくれた時の実力を出して下さい。」
ダメだ、逃げられそうにない。俺の本当の実力を見たいという雰囲気が切々と伝わってくる。腹を括るしかないか・・・。
ナツミYU「そろそろ始めるわよ。」
ナツミYUが話し掛けてくる。彼女も準備万全だと言わんばかりの気迫だ。その声を聞いた他の女性陣も一気に戦闘モードへと変わった。ええぃ、成るがままだ・・・。
熱気を帯びた体育館こと試合会場。開会式はナツミYU自らが取り仕切り、内容を正確に伝えていった。丁度12人いる事からトーナメントとして戦う事になるようだ。
マットが引かれた外ではチアリーダーチームが応援している。端の方にはリュリアが衣装を身に纏い踊っている。案外似合うわ・・・。
俺はというと、猛者と謳われるナツミYUとだ。瞬殺されるのは言うまでもないだろう。恥じない戦いをするために、全力でぶつかった方がいいだろう。通用すればの話だが・・・。
第4話・3へ続く。
格闘術大会の開始。そして、着々と進むハーレム化@@; 風来坊の方は、こちらを前面に出した形になりますし><; 派生の警護者と探索者は、それらしい雰囲気を出すものの、そこまでは発展しませんので@@;
まあ、風来坊側はヒューマンドラマになるので、致し方がないと思いますが・・・。ファンタジー物ではないので><; 悩ましいです(-∞-)




