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覆面の風来坊 ~不二の盟友に捧げる者~  作者: バガボンド
第3部・慈愛
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第9話 永遠のパートナー1 28年越しの結婚式(通常版)

 ジェリヴァ・アビゲイル一味は呆気なく逮捕に至った。そもそも後半は追い詰められての、殆ど破れかぶれな状態であった。


 あのインフルエンザ企業間抗争の時のような勢いは既になく、衰退の一途を辿っていたと言えるだろう。


 それでも彼らがいたからこそ得られたものも数多い。不思議な事にあれだけの出来事を引き起こしていながら、死亡者は全くいないというのも驚きである。まあ被害者は数多くいるのが実状だが・・・。


 俺達が陰ながら尽力し続けたのも1つの要因だが、それは一切踏まえないでおこう。この一件の勝利は日本中の、いや世界中の人々の勝利とも言えるのだから。



 それと娘達が旅立つ前に大きなイベントが残されている。アマギHとユリコYの挙式だ。今回の一件が終わったら式を挙げると言っていただけに、周りは大張り切りで手伝っている。


 彼らと知り合って約28年、我が弟妹のように接してきた。その2人が結婚するとあって、最大限の祝福をしてあげたい。




「学園の体育館を使うとはな・・・。」

「お2人とも目立つ事はしたくないとあって、態々こちらを貸し切りたいと願い出てきたのですよ。」


 式典の運営はナツミYUが取り仕切っている。総合校長を引退したとはいえ、その手腕はまだまだ健在である。そして傍らで一緒に動いているアサミとアユミも見違えるように美しく成長したわな・・・。


「あの大人しい姉妹が美人姉妹に変貌か・・・。」

「そう言うマスターは全くお変わりないじゃないですか。」

「私達が段々母の全盛期の姿に似てきだしたと、周りからはよく間違わられます。」

「ナツミYUに似てナイスバディだしなぁ・・・。」


 何時もの癖の口説き文句に顔を真っ赤にして俯くアサミとアユミ。しかしその頬を染める姿すら美しく見える。月日が過ぎ去るのは早いものだわ・・・。


「む・・娘を口説かないで下さい・・・。」

「ならお前さんならいいのかい?」

「そ・・それはそれで・・・困りますけど・・・。」


 娘達を口説くなとヤジを飛ばすナツミYU。今度は彼女にターゲットを向けると、案の定双子と同じように赤面して俯いている。本当にソックリである。


「母には何度か再婚をと語っているのですが、今のままで十分幸せだとの一点張りで。」

「そろそろ自分自身の事を労わって欲しいものです。」

「いいのよ、貴方達が幸せなら何もいらないわ。」


 一瞬にして母親の姿に戻る。ナツミYUの心情は、己を犠牲にしてでもアサミとアユミを幸せにしたいという一念が強い。だからこそ、今もパワフルワイルドウーマンを貫けるのだろう。



「ここだけの話だが、お前が心寂しい時は何時でも応じるよ。ただしシューム達には呉々も内緒にしてくれ。何を言われるか分かったもんじゃないから。」

「は・・はい・・・。」


 既に何度か彼女の要望で一夜を共にした事がある。純粋に癒しを求めているだけに、彼女の場合はエシュリオス・エフィーシュ姉妹やヴァルシェヴラームと同じだろう。


「マスターにはご迷惑をお掛けします。」

「母をよろしくお願いします。」


 アサミとアユミも、ナツミYUと俺との関係を知っている。それすらも受け入れられるという部分では、それだけ彼女が苦労の連続であった事が十分理解できた。


「何かなぁ・・・俺も気苦労が絶えないわ・・・。」

「フフッ、それだけ皆さんは貴方を心から慕っていらっしゃるのです。」

「私達がマスターと初めてお会いした時。丁度母との食事がキャンセルになった時ですね。貴方は自分が代わりに応じると気さくに仰ってくれました。」

「あの時の嬉しさは今も忘れていません。マスターのような心の広い人物になりたいと、常々思い続けてきましたので。」

「・・・流石はナツミYUの愛娘達だわ。」


 エシェラと同年代なのだが、この2人の方が遥かに大人びいている。というかエシェラ自体も十分大人びいているが、それを超越する形なのがアサミとアユミだろう。


「マスター、これからもよろしくお願いします。」

「大丈夫よ、心配しなさんな。」


 ナツミYUが深々と頭を下げてくる。その彼女の前に跪き、右手を優しく掴む。そして手の甲に口づけをしてあげた。


「シュームも言っている、分け隔てない愛情をと。それを俺は一生涯貫き通していく。お前さんの一時の癒しも心から応じるよ。だから心配するな。」

「あ・・・ありがとう・・ございます・・・。」


 滅多な事では泣かないナツミYUが、涙を流しながら嬉しがっている。その母を優しく気遣うアサミとアユミ。この母ありてこの双子あり、これからも彼女達を支えていかねば・・・。




「よう。」

「あ、お兄さん。」

「お久し振りです。」


 スペシャルゲストとしてエシュリオスとエフィーシュも登場するようだ。今ではテレビ番組にライブに引っ張りだこの美人双子歌手である。また最近では女優にも挑戦しており、日々の研鑚は目覚ましいものだ。この美丈夫がエシェラの従姉妹なのだから驚きであろうな。


「一段と美しくなってまぁ・・・。」

「お・・煽てたって何もしませんよ・・・。」

「気を許すと何時もそれなのですから・・・。」


 言葉では難癖を付けているが、俺の口説き文句に嬉しい表情を浮かべている。ラフィナが途中で歌手道を断念したため、その分も2人が受け継いで戦ってくれていた。


「ラフィナが何度も言ってたよ。自分の代わりに戦ってくれていると。自分も同じ道を進みたかったと口癖のように言っている。」

「ご存じです。エリシェ様もバイオリニストの道を断念して、今の福祉業や財閥の運営に携わっていらっしゃいます。」

「お2人の分も頑張らないといけません。デビュー自体はお2人より早いですが、私達はラフィナ様とエリシェ様の名代ですから。」

「ありがとう。」


 今では肝っ玉がエラい程に据わっているエシュリオスとエフィーシュ。初めて会った時のオドオド感は一切ない。こと双子の場合はお互いに協力し合うためか、成長速度は尋常ではないぐらいに早いようだ。



「それと・・・機会があれば・・・。」

「また・・・お願いできますか?」

「・・・シューム達には内緒な。」


 彼女達の陰の原動力は、こういった俺とのスキンシップである。ナツミYUと同じく自分に自信が持てなくなった時に、必ず俺に慰めてくれと語ってきている。


 芸能界で強者と知れる美人姉妹とも関係を持つ、か・・・。本当に熱心なファンが知ったら殺されるわな・・・。


    第9話・2へ続く。

 創生者(管理者=執筆者の意)はこんなものまで描いていたのか! と、某ネタを捩って挙げてみましたが、見ていて気恥ずかしいったらありゃしないという><; もう15年以上前の代物なので、当時はまあ若かったと言うしかないのかと@@; これ、詳細描写も取り入れたら凄い話になってきますね(-∞-)


 それでも、風来坊は亡き盟友達に捧げる作品の1つ。大事なのは絆の力と。あの時の彼らを鼓舞激励するために描いた作品でしたので。当時の彼らに思いが伝わっていたかは、今となっては知る術はありません。ですが、少しでも伝わってたのだとは思いたいです。今後も彼らの分まで頑張らねば。

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