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覆面の風来坊 ~不二の盟友に捧げる者~  作者: バガボンド
第3部・慈愛
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第8話 決着と決意と1 絶対悪(通常版)

 ナツミA達との出会いこそが、俺自身の生涯の師弟の巡り合わせとも言えた。彼らもそれを理解しているようで、己自身の見定めた生き様を曲げずに突き進んでいる。


 その彼らのサポートに27人の娘達が役立っていく事に、俺自身が行ってきた行動自体に対しての罪悪感が薄らいでいく。下はまだ0歳ではあるが、20歳頃になれば十分な戦力となるだろう。


 その時ヴェアデュラは45歳か・・・。ヴァルシェヴラームから育ての親になって欲しいと告げられてから45年か・・・。俺も歳を取る訳だな・・・、何とも・・・。



 まあ身内の話はこれぐらいにして、いよいよ流れは終盤に入りそうだ。ウインドとダークHから直に連絡があり、ジェリヴァ・アビゲイル一味の潜伏場所が把握できたとの事だ。


 そして噂の域で巡らせていた考えも当たってしまう。奴らは闇商人から多額の資金を使い、核弾頭を1基入手していたのだという。


 こうなると奴らの行動を阻止する事が、彼らを救う事にもなるだろう。それだけ核という力は絶対悪である。


(用は使い方わぅよ。)


 核の話になると、決まってミツキの名言が脳裏に過ぎる。確かに原子力発電などにも核は使われている。間違った使い方さえしなければいいのだから。


 問題は絶対的に近い力を持った彼らを、どうやって阻止するかだ。世界規模で大蔓延したインフルエンザすら助長させたのだから。


 俺の対話の手腕・・・否、俺達の生き様そのものが問われる事になりそうだ。




「潜伏先が判明したそうです。東京都心に近い場所に、要人を保護するシェルターが建設されていたそうで。そこを何時の間にか乗っ取っていたそうです。」

「自分達と警察官僚トップ、そして自衛隊の精鋭だけの情報です。一般に情報がリークされると大混乱を巻き起こしますから。」


 本店レミセンのカウンターに座り、紅茶を飲みながら語るリュリアとディルヴェズLK。今ではウインドとダークHの右腕にも左腕にも至る存在で、こういった極秘情報はすんなり入ってくるのだと言う。


「核弾頭は1基だと言っていたが、それは確実な情報なのか?」

「間違いありません。核弾頭自体そう簡単に入手できるものではありませんので。奴らが全資産に近い金額を投じて、やっと1基だという事ですから。」

「エリシェなら数百万発買えそうだな・・・。」


 俺の言葉に苦笑いを浮かべるリュリアとディルヴェズLK。しかしそれが事実だとしても、彼らがたった1基の核弾頭だけで済ませるかという問題も出てくる。


「実際は複数基を入手できるだけの資金はあったそうです。ですが奴らは複数基ではなく、一番規模が大きい1基に絞ったとの事で。」

「その1基で全てを覆すようにするため、か・・・。」

「軍事部門に関しては全く無知ですが、威力の部分では大まかに把握はできます。奴らが保有する核弾頭は、世界にある弾頭の一番威力があるものと判断して問題ありません。」


 う~む・・・そうなるとその1基だけで東京はおろか、日本すらも壊滅させるに至る脅威の弾頭と言えるか・・・。確かに複数所有するのも脅威だが、こっちも脅威と言えるだろうな。


「乗り込む時は俺も呼んでくれ。多分力になれると思う。」

「“悪人心折”ですね、大いに期待しています。」

「まあ程々にね・・・。」


 ゼラエル・ベロガヅィーブ・スカーレットといった悪党を一瞬で黙らせるに至った殺気と闘気当て。それをウインドやダークHは勿論、リュリア達からも悪人心折と呼ばれ恐れつつ讃えてもいるようだ。こちらとしては遣る瀬無いものだが、それで事件が解決するのなら安いものだろうな。



 軽食を終えたリュリアとディルヴェズLKは再び飛び出していく。また今は躯屡聖堕チームからアマギHとユリコYも召集され、この一件を解決させるために動いているとの事だ。


 そのメンバーの中にヴェアデュラやウエスト達も含まれているのだから、俺としては気が気ではない。ヴェアデュラはまだしもウエスト達に何かあったらナツミA達に何を言われるか分かったものじゃないわ・・・。


 それでも今回の一件は水面下での攻防戦に至っている。実際に水面上に出れば、一瞬にして東京近郊は大混乱を引き起こすだろう。何事もなかったかのように事が運べばいいのだが。




 それから数週間後。事態は思いもよらぬ方向へ進んでいった。何と奴等が核弾頭を所持している事を大々的に報道したのだ。これに大混乱を引き起こした東京、いや世界中と言える。


 特に核を持たないとされていた日本が核弾頭を入手したとあり、それが一企業であっても海外からは批難の声が挙がりだしていた。



 しかしそこは三島ジェネカン・シェヴィーナ財団・躯屡聖堕チームの連携である。実際に日本が非核三原則を今も貫いている事を述べ、それにジェリヴァ・アビゲイル達が強行して入手したと付け加えた。


 本来ならこの程度の補足では事態は収束しないのだが、ジェリヴァ・アビゲイルが助長した通称“インフルエンザ企業間抗争”事変を世界中は痛烈なほど知っている。つまり奴らなら十分やりそうだと肯定しだしたのだ。


 恐らく、この流れは奴らにとってマイナスだっただろう。十分に騒ぎ立てる事を目的としていたのだろうから、当初の目的とは全く異なった展開に焦りもしている筈だ。



 だがこれで解決したとは言えない。実際に東京近郊は戒厳令が引かれ、北は北海道近辺から南は沖縄・鹿児島近辺まで住人を避難させている。


 ここでも三島ジェネカンと躯屡聖堕チームが対応しており、簡易住居などの手配などで走り回っていた。この点でどちらが善か悪か、ハッキリと分かれているだろう。


    第8話・2へ続く。

 数ヶ月振りとなります><; 色々とすみませんm(_ _)m 同話に挙げた絶対悪のそれは、風来坊を執筆しだした15年前にもあった様相と。今は更に燻っている感じですがね・・・。これ絡みの部分で出たのが、後の宇宙種族による核物質の完全無力化でしたので。まあネタですが・・・。


 それでも、話の本質は家族愛の部分になるので、諸々の事変は一種のスパイスでしかありません。この後の大きな流れとなる展開で、覆面の風来坊の本質へと至っていきますので。もう暫くは、愚物抗争にお付き合い下さい><;

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