第5話 共にある4 孤児院の魔王(キャラ名版)
シューム「まあ・・・この場合は文句は言えないわねぇ・・・。」
シンシア「そうですねぇ・・・。」
長い口づけをしていると、背後からシュームとシンシアの声が聞こえてきた。しかし今も貪るように俺との口づけを止めようとしないセルディムカルダート。ただその瞬間を心に焼き付けているかのようであった。
ようやく唇を解放される俺。たった一回の口づけで、凄まじいほどの落ち着きを取り戻す彼女。その不動たる心構えはこちらにも痛烈に伝わってくるほどだ。
セルディムカルダート「邪魔をしようものなら、どうなるか分かってるでしょうね?」
シューム「そ・・それはもちろん・・・。」
シンシア「母さんには敵いません・・・。」
うわ・・・怖すぎる・・・。自分の言動には一切介入するなという雰囲気が、彼女の身体から滲み出てきた。これに娘のシュームとシンシアは青褪めて怯えている。
ミスターT「まあそこは俺に免じて。それに本当は我が娘が可愛くて仕方がないのでしょう?」
セルディムカルダート「そ・・それはそうですけど・・・。」
俺の言葉に恐縮気味になるセルディムカルダート。その姿にシュームとシンシアは呆気に取られている。絶対に弱味を見せない事で有名な彼女なだけに、その畏まる姿に娘達は驚いているようだ。
そんな彼女をもう一度抱きしめる。それに恥らう事なく甘えだすセルディムカルダート。この場面を見てシュームとシンシアは呆然としていた。
いくら偉大なる母でも、女性としての一面は必ず存在する。それはヴァルシェヴラームやナツミYUもそうであった。
セルディムカルダートも女性としての一面を曝け出し、俺に心から甘えてきている。それに心から応じねば失礼だろう。
この部分はシュームもシンシアも同調しているようだ。彼女達も女性として戻る時もあり、その時は俺に思いっ切り甘えてくる。それを両手を広げて心から迎えてあげるのが、俺の役目であろう。
ミスターT「では任せてもよろしいので?」
セルディムカルダート「そのつもりで伺いました。私の存在は公には知られていませんし。それに姉さんから何かあった場合は全力で戦ってくれとも言われています。」
2階へと戻った俺達。そこではメルデュラとリヴュアスがコンピューターを操作して戦っている。その傍らでゆっくり寛いでいるのがメアディルであった。
セルディムカルダート「姉さんが陰から貴方を見守り続けたように、今後は姉と共々に見守る事にします。もちろん夜の営みまでは邪魔はしませんけど・・・。」
彼女の言葉に周りの女性陣が赤面しだす。セルディムカルダートの茶化しの言葉は、流石はヴァルシェヴラームの妹と言えるだろう。
セルディムカルダート「出産と異性との関係は全くありませんが、女としての戦い方はそれなりに熟知していると自負できます。孤児院の魔王として恥じる事のない戦いを貫きますから。」
そうなのだ。姉のヴァルシェヴラームが孤児院の覇者と言われているのに対し、妹の彼女は孤児院の魔王と言われている。それは無論いい意味でなのだが、泣く子も黙るという事から付いた徒名らしい。
ミスターT「う~ん・・・孤児院の魔女の方が響きはいいような・・・。」
冗談半分で語ると、エラい形相で睨み付けてくるセルディムカルダート。それに一瞬にして青褪めてしまった。この度合いは完全に姉を超えている。俺が知る女性陣の中で最強の恐さを持っていると言えた。
ミスターT「・・・孤児院の王者でいいか。」
俺の言葉にまだ言うかという形相で睨み付けてくるが、ヴァルシェヴラームの息子という事で諦めたようである。しかし魔王よりは王者の方が遥かに響きはいい。
ミスターT「改名で孤児院の王者、これで貫いて下さい。嫌とは言わせませんよ・・・。」
対して俺の方も十八番の殺気と闘気が織り交ざった発言をする。するとどうだろう、あの堅物な彼女が驚愕し青褪めだしたのだ。そう言えばセルディムカルダートだけには、この十八番を見せた事がなかった。だから過剰反応を示したのだろう。
ミスターT「まあ・・・後はディムに任せます。自分自身の異名でもありますし。」
セルディムカルダート「・・・では今のままで・・・。」
ミスターT「フフッ、思った通りですね。」
一度決めた事は天地が引っ繰り返っても変えない、それがセルディムカルダートの性格だ。その意固地なまでに貫き通す一念は、ヴァルシェヴラームも呆れ返っているとか。
シューム「母さんの無理無茶は身に染みる思いですよ。」
シンシア「その部分はマスターとソックリですから。」
ミスターT「そ・・そうなのか・・・。」
2人の言葉に苦笑いを浮かべるセルディムカルダート。反論しない所を窺えば、これが事実だという事がよく分かった。それにしてもヴァルシェヴラームとは正反対の性格だわ。
ミスターT「それでも俺が敬愛して止まないもう1人の恩師ですから。呉々も無理無茶だけはしないようにして下さい。」
セルディムカルダート「大丈夫よ。姉さんも私も、それに君も悪運だけは強いじゃない。どの様な生き様であろうとも、回帰する先はみんな同じよ。だから胸を張って進めるのよ。恐れるものなど何もないわ。」
ミスターT「フフッ、そうですね。」
改めて自分達の原点を振り返る。セルディムカルダートもヴァルシェヴラームと同じく、不動たる原点回帰が存在している。だからこそ、どの様な事があっても前に進めるのだから。俺達の生き様を通して、周りの人達に幸せを分けていく。それが俺の生涯に渡って貫き続ける戦いだ。
セルディムカルダートの参戦は、周りを大いに鼓舞した。特に相手の心情を把握できる能力を最大限生かし、プラス要素での激励をし続けている。
地元面でのキーパーソンはセルディムカルダートが、企業面でのキーパーソンはウエストとサイバーが。この3人が縁の下の力持ちとなり、周りに不動の原点回帰を抱かせるに至っていた。
セルディムカルダートの活躍で更に奮起しだしたのがシュームとシンシアだ。恩師の台頭とあって、師匠に応えようとする行動をしだしたのである。
まあでも2人は今まで通りの普通の行動がメインであり、理を定めて師匠と呼吸を合わせるというものになっている。
今では一騎当千のシュームとシンシアだ。師匠の後押しがあれば、正に鬼に金棒だろう。
第5話・5へ続く。
孤児院の魔王は伊達じゃない(何 何事もタッグで進んでこそ真価を発揮する、でしょうか。まあ劇中はフィクションなので、実際にそうとは限りませんが><; 何とも(-∞-)
しかし、本当にネタが浮かばないこの頃><; 探索者・警護者・苦労人が顕著で、全く執筆が捗りません><; 特に探索者は毎週事にカキカキしているので、何処かで停滞したらアップすらできませんし@@; 本当に悩ましい限りです(>∞<)
それでも、最後まで突き進まなければね。拙い作品群ですが、今後もお付き合い下されれば幸いですm(_ _)m