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覆面の風来坊 ~不二の盟友に捧げる者~  作者: バガボンド
第3部・慈愛
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第5話 共にある3 恩師の妹(通常版)

 相変わらず非番が多いこの頃。それに子供達の面倒はリュアとリュオが見てくれており、メアディルはメルデュラとシュームが交互に気遣いをしてくれていた。俺は屋上ハウスでの行動が多く、最近は就寝以外は必ずここにいる。


「こんにちは。」

「ん・・・あら、叔母さん。」


 小さな庭園にある草花の世話をしながら午後を迎える。ヴァルシェヴラームの情報は、現地で潜入護衛をしているユリコYから聞かされていた。今は待つしかない。


 そこに不意の来訪者が訪れた。ヴァルシェヴラームの妹分であるセルディムカルダートだ。


「あらって・・・暢気ですねぇ。」

「ジタバタしても、奴等の思う壺ですし。ここは普段通りの生活で、活路を見出すのが得策ですよ。それにシェヴもそう願っていますし。」

「それはそうですが・・・。」


 ヴァルシェヴラームとは異なり、セルディムカルダートは超が付くほどの熱血漢だ。今の現状に一番苛立ちを抱いている人物であろう。それに彼女は実際の血の繋がりがある姉妹同士なのだから。



「何か・・・姉さんの孤児院にいる気がします。」

「シェヴとナツミYUの影響ですよ。」


 セルディムカルダートが屋上庭園を見て回る。その雰囲気はヴァルシェヴラームの孤児院と殆ど同じである。それに俺自身彼女の直系の弟子という事もあり、こういった部分が似偏っているのだろう。


「フフッ、流石姉さんの愛弟子です。それにありがとう、何時も姉さんを心から慕ってくれて。」

「彼女がいなければ俺はいません。いたとしても別の道を歩んでいるでしょう。全てはシェヴがいたからこそ今がある。俺の心から敬愛する恩師ですよ。」


 姉を褒められ感無量のセルディムカルダート。この部分は流石姉妹であろう。それに年齢も5歳しか違わない。彼女も外見の老化が30代で停止する特異体質で、この姿で91歳と高齢なのだから。


「私がもっと強ければ、このような事にはならなかったのだけど・・・。」

「大丈夫ですよ。ディムはディムで自分の生き様を精一杯貫いています。それがシェヴにとって何よりの活力であり希望ですから。」


 珍しく弱音を吐く彼女。シュームやシンシアから聞かされるセルディムカルダート像は、絶対に屈しない阿修羅のような戦女というもの。しかし今の彼女はエリシェが本音を漏らした時と同じ雰囲気である。


「それに貴方には言い表せられない思いがあります。シュームやシンシアを幼少の頃から面倒を見てくれていた。彼女達の夫としては、本当に感謝の思いで一杯です。貴方は俺のもう1人の大切な母ですから。」

「そう言ってくれると嬉しい・・・。」


 その場で泣きだすセルディムカルダート。本当は姉が不当に逮捕され、居ても経ってもいられない思いだろう。



 彼女と初めて会ったのは5年前のウイルス事変だが、それからまるで親子のように接してきている。それ以前にも何度か会っていたが、実際に親しくなったのは5年前からだ。


 流石のシュームやシンシアも、セルディムカルダートの前では赤子同然だ。2人の乳母でもあり、育ての親なのだから。



 それに最近窺えたのが、ヴァルシェヴラームと一緒にいる時の明るさである。実際に血の繋がりがあるからか、2人が揃うと非常に明るくなる。お互い心から信頼し切っているというのが窺えた。


 ヴァルシェヴラームもそうだが、セルディムカルダートも大切な恩師であり母親である。彼女も支えていかねば失礼極まりないだろう。




「・・・姉さんが言ってた事が分かりました。貴方といると心が安らぎます。それは貴方に内在する深い慈愛の一念からなるものでしょう。」

「まあ・・・今は周りに引っ張りだこですがね・・・。」


 流石はもう1人の恩師である。泣く所は徹底的に泣き、立ち直る所は直ぐさま立ち直るのだから。この部分はヴァルシェヴラームにはない長所と言えるだろう。


「貴方が本気で相方さんを愛したら、相手は一生涯貴方の元から抜け出せなくなると思います。貴方が常日頃から自分の生き方を貪欲なまでに力強く貫き通しているからこそ、周りが愛して止まないのです。だからこそ貴方を心から慕っているのですから。」


 静かに立ち上がると、そのまま俺の胸に抱きついてくる。この一瞬の隙を見せる姿は、姉と全く同じであろう。その彼女を優しく抱きしめ返してあげた。


「シュームもシンシアも見違えるように強くなりました。それに玄関先で応対してくれたメルデュラさんやメアディルさんも、吸い込まれるかのような優しい雰囲気に満ち溢れています。それも全て貴方がいらしたからです。」

「ありがとう。」


 胸の中で甘えつつ、静かに語るセルディムカルダート。その甘える仕草はヴァルシェヴラームより強く、幼少の頃は甘えん坊だったのだろうと推測できた。それを面と向かって語ったら殺されそうで怖いが・・・。


「・・・私は甘えん坊ではありません・・・。」

「え・・・み・・見透かされましたか・・・。」


 突然の発言に驚愕した。今思っていた事を見事に見透かされたのだ。自分のマイナスになる事に対してエラい反応を示す女性陣を超越している。


「何時頃からでしたか、姉さんとは異なる能力が出始めたのは。姉さんとは異なり、私は超越した能力はありませんでした。姉さんは見たものを直ぐに学べる特質でして、スペースシャトル以外の免許取得も一発で合格を成しています。許可さえ下りればスペースシャトルも取れると思いますが。」

「なるほど、模写の強さはそこが起源でしたか。」


 俺もプロレスゲームから発端となり、それを見様見真似で繰り出せる力がある。また他の事も一度見れば出来るといった長所もあった。母親似という事が十分頷ける。


「ですが私は昔から相手が思っている事を把握する事ができます。それにより対人関係がギクシャクし、表立っての仕事に着けない状態でしたが。」

「でも赤ん坊や小さな子供達の考える事も理解できる。それを長所と取り、孤児院の運営をしだした。そうですよね?」


 俺の言葉に絶句するセルディムカルダート。こちらの言葉が的中した事を意味するだろう。この相手の考えや出方を読めるのは、ある意味彼女の能力も備わっていると言えるかな。


「確かシェヴから聞いた事があります。ディムから孤児院の運営をしないかと持ち掛けられたと。それに最初は難癖を付けていたという事でしたが、貴方の一度決めたら必ず成し遂げるという一念に同調したのだとも。」


 言葉を失うセルディムカルダートだが、その彼女の頭を優しく撫でると頬を赤くしだす。この仕草はヴァルシェヴラームと全く同じである。そう考えると自然と笑みがこぼれる。


「自分はシェヴがいたから存在しますが、ディムがいなかったら自分すら存在していないと思います。貴方の英断には心から感謝しています。」


 最大限の優しさと敬い、そして感謝を込めての抱擁をする。それに一気に心ここに非ずという状態に陥っていくセルディムカルダート。ヴァルシェヴラームでさえ簡単に同じ状態に陥るのだから、その妹の彼女なら尚更であろう。


「ディムはディムらしく、ありのままの姿で。そして誰彼がどうこうではなく、自分自身がどうあるべきか。それが本当の生き様なのですから。」

「はい・・・。」


 無意識にこちらに顔を向ける彼女。それは妻達との一時を過ごしてきた俺にとっては直ぐに理解できた。静かに唇を重ね合わせる。そこに最大限の労いを込めて・・・。


    第5話・4へ続く。

 セルディムカルダート嬢は警護者などでも名前だけの登場はしています。実際の活躍は風来坊側が強いですが@@; 一応、「魂の安息地」の統治者という肩書きがありますが、それが発揮されるのは「覆面の流浪人」側かと><;


 しかしまあ、ハーレム度が強い覆面シリーズ。まあそれを狙って構成していますが(-∞-) キャラが多過ぎて、シッチャカメッチャカ状態でもありますが><; 何とも@@;


 ともあれ、風来坊の本編は完成しているので、引き続き安定してアップさせて頂けるかと思いますm(_ _)m

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