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覆面の風来坊 ~不二の盟友に捧げる者~  作者: バガボンド
第3部・慈愛
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第4話 不意の逆襲3 “半”四天王の参戦(通常版)

「今後が本当の戦いです。私達が突破口となり、現状打開を図らなければなりません。シェヴ母さんが開拓していった道を、今度は私達が受け継ぎ維持しなければ。」

「そうだよな・・・。」

「ヴェアちゃんならできますよ。何たって貴方の本当の娘なのですから。」


 不思議な発言をしだすメルデュラ。俺とヴェアデュラとは実際の血の繋がりは一切ない。彼女は捨て子であったのを保護し、その後育てて今に至るのだから。そんな俺の心中と言いたい事を察知したのか、続けて語るメルデュラ。


「もちろん本当の血の繋がりはありません。シェヴ様も同じです。しかし私達とは全く異なるのが、その生き様をまるで貪欲の限りのように貫き通す姿勢です。その生き様は私達が演じようとしても、到底担えるものではありません。ヴェアちゃんの心に据わる一念は、私達を遥かに凌駕していますから。」

「なるほどな・・・。」

「その点では本当の親子ですよ。シェヴ様からの理をマスターが受け継ぎ、そして娘のヴェアちゃんが受け継ぎだした。この師弟不二の理は、むしろ家族より貴く強いものであると確信しています。」


 ヴァルシェヴラームの生き様の理を少しでも後世に継げればと思い、俺は自分なりに戦いを演じていた。その生き様を娘のヴェアデュラが受け継ぎ、今の波乱の今世を生き抜いている。それらを明確に見定めたメルデュラも、俺達と同じ十分強い存在だと確信できる。彼女も十分凄いわな・・・。


「メルデュラさんはリヴュアスさんと同じく、陰ながらも暖かい目線で私達を見守って下さっています。幼少の頃は大変お世話になりましたし。私の生き様は私達家族の総意を以て、名代として戦っているに過ぎません。メルデュラさんの方が遥かに偉大ですよ。」

「お褒めに預かり光栄です。」


 作業をしつつも、ヴェアデュラに感謝の念を示すメルデュラ。敬語になる部分から、彼女が本当に感謝しているという事が窺える。


「ヴェアは透明な覆面を被った風来坊だ。ポーカーフェイスの如く、一切の私情を表に出さずに演じ切れている。内外問わず最強の女傑だと思うよ。」

「ありがとです・・・。」


 幾分照れ臭そうにするヴェアデュラ。しかし今の彼女の行動を称えたため、物凄く嬉しそうな雰囲気である。


「私達は私達なりの生き様を、実証を示し続けましょう。」

「そうですね。」

「今後の俺達次第という事だの。」


 改めて己らの原点回帰を振り返った。こういった何げない会話でも、それぞれの原点回帰を振り返り定める。過去を振り返るようなマイナスに見えるものだが、心機一転スタートできるという部分は非常に大切であろう。


 ヴェアデュラを胸に抱きながら、メルデュラとの会話は続く。俺達の理の再確認をしつつ、不動たる生き様を貫いていけるように・・・。



 俺らの心機一転の原点回帰は、雰囲気にも表れていったようだ。それが他の妻達や娘達にも浸透していき、今まで以上の爆発的な闘志で戦いだした。


 突破口は些細な原点回帰から、それは昔も今もこれからも一切変わらないだろう。俺達なりの原点回帰をしつつ、俺達でしか刻めない生き様を貫き通していくのだから。


 う~む、タブーとされていた大家族からの原点回帰か。実に不思議な流れだよな・・・。




 家族内での原点回帰による闘志の高まりは、一番初めに躯屡聖堕チームに現れだした。元来熱血漢が集い合っているのだから当然だろう。そして三島ジェネカンにも浸透していく。


 別の場所ではシェヴィーナ財団が活発に動き出しているが、今は三島ジェネカンとの連携を示さない。先刻安堂不動産を統合してイザコザが起きているのだから、ここでシェヴィーナ財団と連携でもしたら火に油を注ぐようなものだ。


 それでもメアディル達は三島ジェネカンと裏からの連携はしっかり行っている。彼女達の据わった一念は三島ジェネカンと同じなのだから、自然と共闘しだすのは言うまでもない。



 フルプレとフルエンが水面下で悪巧みをしているように、俺達も水面下で不動の連帯を開始していると言っていい。目には目を、だな。


 今後の俺達次第ではどうにでもなる。そこまで大きな存在になりつつあるのだ。故に不動の原点回帰を見定めなければ、俺達も2社のように堕落していくのは言うまでもないだろう。


 心こそ大切なれ、正しくその通りだ。




 それから数週間後。久し振りにウエストとサイバーが日本に戻ってくる。他の面々はまだイギリスで戦いを続けていた。2人もナツミAが元気になっていく姿を見続けたためか、以前よりも活力溢れる存在へと成長していた。


「敷地内限定ですが、歩いたりストレッチをする事もできるようになりましたよ。」

「まだまだこれからの年代だからなぁ、据わりさえすれば恐れるものなど何もないよ。」


 久し振りの来訪とあり、公園を散策しながら会話をする。しかし・・・2人の巨体は怖ろしいものだ。全盛期のライディル達を彷彿とさせるような容姿をしている。


「ウエストとサイバーもプロレスが好きなんだっけ?」

「もちろんですよ。アメリカで展開しているアルエキファイタの大ファンですから。少なくとも今の性格に影響しています。」

「暇を見つけてはウエストと組み手をして技を磨き合っていますので。」

「う~む、いいねぇ・・・。」


 この巨体ならプロレスラーとしても活動できるかも知れない。体躯と技術力と話術が優れていれば、簡単なエンターテイメントは行えるのだから。


「しかし・・・日本の情勢には呆れ返ります。デマや虚像を真に受けて行動する。馬鹿げているとしか思えません。イギリスで介護に携わっている方達も、まるで自分事のように激怒していましたから。」

「今は我慢の時よ。既に水面下では色々な裏工作を行っているからね。相手がボロを出し始めた時が反転攻勢のチャンスさ。」


 これからの展望をウエストとサイバーに語る。徐々にだが変革をしていかねばならない。停滞は破滅を意味する。少しでも突破口となる戦いを続けていかなければ。


「ナツミAから直々に依頼されました。今後は自分達もマスターと共に戦います。」

「向こうは大丈夫なのか?」

「愚問ですよ。俺達より強いミツキさんやナッツ・エンルイが一緒なのです。それに貴方の娘さんのシュリムさん・シュリナさん、ラフィカさん・ラフィヌさんも一緒ですしね。恐れるものはありません。」

「今はこちらの方が情勢は厳しいでしょう。俺達の力が役立てれば幸いです。」

「分かった。お前さんの闘志、使わせて頂くよ。」


 ウエストとサイバーの2人とガッチリ握手を交わす。存在だけでも十分な程の熱血漢なのに、共に戦ってくれるのは非常に心強い。まあ・・・プロレス好きのリヴュアスとメアディルが一番喜びそうな感じがするが・・・。



 ウエストとサイバーの参戦は俺達に更なるパワーを与えてくれた。安堂不動産を陰ながら支え続けていたため、運営に関する知識は尋常じゃないほど強いものだ。


 特に新進気鋭の平西財閥は2人の助言を大いに取り入れ、自分達の力としていっている。シェヴィーナ財団を指揮するメアディルも同じだ。


 また2人ともコンピューターに関する知識が凄まじいまでに高く、プログラミングはお手のものだった。同じスキルを持つメルデュラといい勝負ができそうである。2人が持つ独自のヒューマンネットワークも心強いものである。



 俺達の生き様をしっかりと見定め評価してくれている。故に今後も原点を定め、突き進む必要がある。ウエストとサイバーの参戦はそれを改めて教えてくれたと言えるだろう。


 そろそろ2社側に何らかの反転攻勢を示す時が来たのかも知れないな・・・。


    第4話・4へ続く。

 風来坊の劇中は他の覆面シリーズとは異なり、ナツミツキ四天王の登場は遅い感じとなっていますね><; 他の作品では冒頭から登場しているのとは真逆ですし。


 風来坊の執筆当時は、最初は家族愛的な部分を前面に出して終わるつもりでした。しかし、後に一変する様相に至ったので、従来の盟友達との共闘に変わった次第で。この姿勢は今後も変わる事はありません。


 何にせよ、風来坊は今は亡き盟友達に捧げる作品の1つ。彼らの分まで頑張らねばと思う今日この頃ですわ。

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