第4話 不意の逆襲2 背中を支える存在(キャラ名版)
ミスターT「眠いわ・・・。」
メルデュラ「無理しなくていいですよ。」
パソコンと格闘する事数時間。途中で昼食を取ったり休憩を入れたが、それ以外はずっとモニターと睨めっこ状態が続いている。
流石に同じ作業を繰り返していると眠くなるのは言うまでもなく、欠伸しながら背伸びして身体を解した。彼女の方は慣れものなのか、平然としているのが何とも言えない。
ミスターT「ここで努力する存在がいるのに、俺だけ休めるかい?」
メルデュラ「フフッ、貴方らしい。」
一心不乱といった雰囲気で作業に没頭するメルデュラ。その彼女を尻目に長い休憩などできる筈がない。例え同じ作業ができなくても、傍らにいて話し相手にはなってあげたい。
メルデュラ「そういった無意識の労いが、今の世の中に必要な労わりの一念なのです。貴方が今まで周りを支え続けていた、それが開花したのが今ですよ。」
ミスターT「俺の存在も無駄ではなかったという訳だの・・・。」
火を付けない銜えタバコながらメルデュラの話に応じる。激励に次ぐ激励の連続。それが今の俺の布石である。誰彼がどうこうと言おうが、それでもお節介を続けてきた。その結果が今なのだ。紛れもない実証を刻んできた証の何ものでもない。
メルデュラ「無駄とかそういう次元を通り越していますよ。存在そのものが激励だと思いますから。それに新たに家族も増える事ですし。」
ミスターT「ハハッ・・・。」
メアディルという美女の合流に喜んではいるものの、同じ女として嫉妬感を抱かずにはいられないようだ。これから暫くの間愛されるのが彼女なだけに、羨ましいのだろうな。
メルデュラ「でも・・・メアディルさんも、私やリヴュアスさんと同じ苦悩を抱いています。体躯の問題で色々とあったようですよ。」
ミスターT「外見的偏見だよな、中身は全て一緒なのにね。」
このご時世だからか、虐めなどは過激さを増しているという。根底は人を愛せないという事に回帰するだろう。お互いに信頼できれば、こういったマイナス面の考えなど消え失せる。やはり地道な会話が物を言うのだろうな。
メルデュラ「ですが彼女はアメリカ人の血を引いています。日系二世という事ですが、殆どアメリカ人と言っていいでしょう。そのグローバルな心構えは、私達も大いに見習わなければなりませんからね。」
ミスターT「日本人の怨嫉的な一念は凄まじいよな。それに野郎の嫉妬心は女性のより非道いしね。女性の嫉妬心の方が強いと思っていたが、実の所は野郎の方が真っ黒焦げだし。」
メルデュラ「私達に嫉妬心を抱かせないで下さいね・・・。」
うわ・・・素っ気無い表情をしながらも、メルデュラの身体から殺気が放たれ出した。最近の彼女達も、こういった嫉妬をしょっちゅう抱いてくれている。逆に取れば、それだけ俺の事を気に掛けてくれているのだから。実に嬉しい限りだ。
ミスターT「かといって人一倍義理人情に溢れるのも日本人という話らしい。プラス面もマイナス面も両極端に存在している。」
メルデュラ「ここに良いお手本があるじゃないですか・・・。」
作業をしながら俺を見つめるメルデュラ。それに呆れ返るが、彼女の言っている事は正しい。嫉妬感はあまり出した事がないが、義理人情だけは自負できるほどばら撒いている。それが今の俺達なのだから。
ミスターT「・・・俺達は俺達の生き様を刻むだけ、か・・・。」
メルデュラ「愚問ですよ。そこは貴方の生き方に心から同調できれば、全て解決できます。と言うかシューム姉さんの意見にも従えばこそですが。」
ミスターT「ハハッ、彼女の意見に従えば完璧だよな。」
今の家庭を築き上げられたのは、紛れもないシュームの意見があったからこそだ。彼女のその場その場の適切なアドバイスは、今までどの様な難局も打破してきている。それ故に彼女の事を第2の偉大なる母と讃えているのだから。
その後も眠気と戦いながらメルデュラと会話を続けた。すると俺を抱き寄せ背中合わせに座らせてくる。俺より体格が優れているため、こういった事は簡単にできるのは羨ましい。彼女の背中の温かさに眠気が増し、そのまま夢の世界へと旅立っていった。
ちなみに普通ならオフィスチェアーを使ってコンピューターを操作するのが多いのだが、この場はフローリングの床に絨毯を引いてその上に軟らかい座布団を引いてある。そこに彼女が座る形にあり、その彼女の背中に寄り掛かる形になった。
またサーバー軍団とも言えるスーパーコンピューターは相当な重量だ。それを置けるように2階の一角を重装備に改良してある。数トンも置けるような規模にしたというから怖ろしい。
この改造費用はエリシェからの前払いで至り、以後はメルデュラが少しずつ返済していくとの事だ。まあ彼女のスキルからすれば、直ぐに返済可能だろうな。俺達家族の頭脳的存在なのだから。
どのぐらい眠っていただろうか。不意にメルデュラの背中から誰かの胸の中に抱かれる気分になるが、同じ心地良さに眠気が一層増していく。そのまま更に眠気に襲われ夢の中に入っていった。
この心地良さはヴァルシェヴラームの胸の中のと同じ感覚だ。大きく包み込まれるような安堵感は本当に心が安らぐ・・・。
ヴェアデュラ「お目覚めです?」
ふと目が覚める。すると俺の身体を背後から抱きしめている存在が分かった。偉大なる母ではなく、その娘たる存在のヴェアデュラだったのだ。これには驚いたわ。
ミスターT「・・・ヴェアだったのか、シェヴかと思ったよ・・・。」
ヴェアデュラ「フフッ、私にはまだまだ母には至れませんよ。」
かなり無理な姿勢ながらも、俺を胸に抱き続けてくれた彼女。しかしその表情は過去に見たヴァルシェヴラームと全く同じに見える。
お返しとして、徐に起き上がりヴェアデュラの背後に回る。そして彼女を優しく抱きしめた。直ぐに身を委ねだした彼女の仕草は、昔も今も俺に心から甘えてくれるヴェアデュラである。
ミスターT「本当に大きくなったよな・・・。」
ヴェアデュラ「まだまだですよ、もっと努力をして強くならないと。」
ミスターT「いや、既にシェヴに匹敵している。その優しさは間違いなく彼女譲りだよ。」
左手を彼女の腹に回し、右手でその頭を優しく撫でる。本当に大きくなったよな・・・。この美丈夫が今後の流れを担っていく存在になるのだから。
第4話・3へ続く。
背中を支えてくれる存在は、何時の時代も超絶的に有難いもの。その有り難みを当たり前と思ってしまったら、正に忘恩の輩になりかねません。常日頃から感謝の連続、そう有り続けたいものです。実際には難しいものですが・・・。
しかし、キャラ会話が多い風来坊の劇中。詳細描写が欠落しているため、本題的な様相がないのが何とも言い難いです><; それでも、原本をそのままアップさせて頂いているので、このままラストまで突き進みますですm(_ _)m