第14話 最終話・覆面の風来坊5 プロレスゲーム(通常版)
「リュアさんとリュオさんには感謝し切れません。」
「私達の背中を思いっ切り押して下さいましたし。」
「お2人がいなかったら、私達は今こうしてはいなかったでしょう。」
「娘当然の存在ですが、お2人は師匠そのものです。」
13人の娘達と一緒に楽しんでいるリュアとリュオを見つめ、5人の女傑が思いを馳せる。その言葉に無意識に涙が流れ出した。娘達を労われ、自然と涙が溢れてくる。
「・・・ありがとう・・・。」
「な・・泣かないで下さいよ・・・。」
心からの歓喜で涙を流す俺を見てアタフタする5人。そんな俺を背後から優しく抱き締めてくれるのはリュリア。俺の心中を察知したのか、直感的に行動をしてくれたようだ。
「今が一番幸せです。内外問わず娘達が役立ってくれた。貴方と一夜を共にし、愛しい子供を身篭ったのは正解でした。」
「・・・そうだな・・・。」
「ダークさん・ディルヴェズLKさん・ウィレナさん・トモミさん・リヴュアスさん、私の方からもお礼を言わせて下さい。娘達を心から慕って頂いて、本当に感謝しています。」
リュリアの心からの言葉に、今度は5人が涙を流しだす。彼女の姿がリュアとリュオの姿とダブったのだろう。母娘に心から労われ、歓喜に沸き上がったのだろうな。
声を押し殺して泣き続ける俺達。それに娘達の遊びが中断する。まるでその瞬間だけは心に刻むのだと語っているようである。
何から何まで子供に教わり続けている。愛しい7人へ覆面の風来坊の理が受け継がれたと思っていたが、次は自分の娘達にその理が受け継がれたのだ。
俺の行動は無駄でも無謀でもなかった。それを心から実感した瞬間であった。
暫く歓喜の余韻に浸る俺達。頃合いを見計らって娘達が再び動き出した。本当に心から感謝できる存在である。実に嬉しいものだ。
「貴方に何度も助けて頂いて、その娘さん達にまで助けて頂いたのです。私達に出来る事があれば何でも仰って下さい。」
5人を代表してディルヴェズLKが語り出す。それにうんうんと頷く他の4人。初めて知り合ってから19年経過している。5人もそれ相応の年代だが、今も未婚で独身だ。
「父ちゃんさ~、お姉ちゃん達も父ちゃんの奥さんになるの?」
「賑やかになるねぇ~。」
そんな俺の心中を見透かしてか、リュアとリュオがとんでもない発言をする。それに大赤面しだす5人。前なら俺も呆れ返るのだが、今となっては驚かない自分にも呆れるほどである。
「う~ん・・・それはないだろうな。」
「なんで~?」
「母ちゃん達だって、同じ経緯で一緒になったんでしょ?」
「まあなぁ・・・。」
数十年前のリュリアを見ているような気がしてならない。ストレートな発言は周りの度肝を抜き驚かせる。それがリュアとリュオにも受け継がれていた。
「私は構いませんよ。今更隠し立てしても仕方ありませんし。それに5人の方々が貴方を心から愛しているのは分かっていますから。」
暴走気味のリュアとリュオに便乗しだすリュリア。それに呆れ返る他の6人の妻達。しかし彼女の発言はシューム譲りのもの。シュームの思い切った行動がなければ、今こうしている事はないのだから。
「まあ・・・お前達が本当に願うのなら、俺も腹を括ろう。そうやって彼女達が生まれて来たのだから。」
「楽しみだねぇ~。」
「賑やかなのは大歓迎にゃ~。」
リュアとリュオの頭を撫でながら語る。そんな俺に満面の笑みを浮かべて語り返す双子。娘達の中でありとあらゆる部分が無敵と称される存在、それがリュアとリュオなのだから。
ダーク・ディルヴェズLK・ウィレナ・トモミ・リヴュアス。この5人も何れ愛しい人の中に加わるのは目に見えている。その背中押しを担うのは、間違いなくリュアとリュオだろう。
これは・・・避けられそうにないな・・・。何とも・・・。
再びゲームを再開しだした娘達。何とか回復した7人の妻達を含めてのゲーム大会に発展していた。学業や部活などに勤しみながらも、遊びも徹底していたヴェアデュラ。その腕前は凄まじいものである。
「ふっふっふ、向かう所敵なし。」
「姉ちゃん強いなぁ~・・・。」
「まだまだ若いモンには負けはせんよ。」
古臭い言葉が飛び出て驚いた。雰囲気から何からヴァルシェヴラームに似てきている彼女。まだ19歳だというのに、まるで老婆のような口調である。
「何のゲームをやってるんだ?」
「“アメリカ発祥の団体を題材”とするプロレスゲームの5作目です。倉庫にあったソフトとハードを引っ張り出してきました。」
その言葉を聞いた俺とリヴュアスの瞳が一瞬にして変わる。雰囲気からして別人になったと、周りの面々は直感したようだ。
「ヴェア、そのゲーム得意かい?」
「もちろんですよ、負ける事はありません。誰であろうと叩き潰します。」
「そうか・・・それは楽しみだ・・・。」
俺の言葉に驚きの表情を浮かべる彼女。そうである、次の対戦者に名乗りを挙げたからだ。またリヴュアスも同じく参戦に名乗りを挙げた。これには流石に連戦連勝する彼女も青褪めている。
「お前が負けたらアツいディープキッスをしちゃうから、覚悟してね。」
「私は強烈なベアハッグを致します。」
「え・・ええっ?!」
「あらあら、大変な事になっちゃったわねぇ~。」
「頑張ってね、ヴェアちゃん。」
格闘実戦がある7人の妻達は把握した。また偉大なる母のヴァルシェヴラームも同じである。俺がプロレスゲームの技を見様見真似で実戦に投入した事を思い出したようだ。
このプロレスゲームの5作目こそ、幼少の頃に没頭した格闘ゲームの1つ。オリジナルキャラクターを作成できたり、多岐多様の試合を行えるなど魅力的な要素がギッシリだ。
過去に格闘術大会などで見せた俺の強さ、そのウリはこのゲームにある。それだけ年紀が入っている。1人になった時などには、こればかりプレイしまくっていたわ・・・。
またリヴュアスも共に修行した仲であり、彼女の腕もかなりのものである。ヴェアデュラの何気ない言葉で火が着いた様子である。
俺との対戦に震え上がるヴェアデュラ。そんな彼女の額に、自分の額を当てる。すると一瞬にして震えが止まった。ヴァルシェヴラーム譲りの落ち着かせる厚意である。
少し不安そうな彼女だが、俺を見つめると小さく頷く。勝負は勝負と心に決めたようで、一呼吸入れるとテレビに向かっていった。
う~む、この肝っ玉の強さはヴァルシェヴラーム譲りなのか・・・。それとも周りの育ての親譲りなのか・・・。何とも・・・。
第14話・6へ続く。
プロレスゲームは、エキサイティングプロレス5ですね@@; 各キャラのベースを創生した作品が同作です。4425人までは作りましたが、残りの825人が手付かず状態で><; 最終的には5250人を目指してますが、停滞中で“手痛い”状態と(>∞<)
しかし、何度か挙げていますが、こうしたノホホンとした描写は、戦乱モノの一時が合う感じです><; やはり、警護者・探索者・苦労人の様な、半ファンタジーが入った作品が描き易いですね(-∞-)