第14話 最終話・覆面の風来坊3 未来への道(キャラ名版)
今日は午前中の授業だったという事で、他の15人も学業を終えている。昼飯を食べに本店レミセンに訪れたようだが、俺の事情を知って食べていないらしい。
俺が寝ていた最中、後から駆け付けたエシェラやラフィナが急拵えで作ったお弁当を食べる事にした。ちなみに寝ていた時間は僅か1時間程度らしい。
俺を含めて24人でピクニック気分を満喫する。一気に賑わいだした公園の一角は、間違いなく目立つ事この上ない・・・。
エシェア「姉さん、またラブレター貰ったって?」
ヴェアデュラ「そうなのよ。」
エシェナ「人気者だねぇ・・・。」
話題はヴェアデュラの人気度に移った。町内では右に出るものがいないとされる程の知的美人だ。またシュリムとシュリナも知的美人とされており、娘達は野郎達からは絶大な人気を誇っているらしい。
ヴァルシェヴラーム「まあヴェアちゃんは天性の美貌を持ち、他の子達は君の血を受け継いでいるのだからね。男女問わず惚れさせるのは一種の特異体質よ。」
ミスターT「う~ん・・・それは嬉しいと取るべきか・・・。」
ヴァルシェヴラーム譲りの外見の老化が止まるという特異体質。それは俺も同じ事である。問題はヴェアデュラを除く14人にも受け継がれているのだ。これはこれで怖ろしい存在になるだろう。
ヴァルシェヴラーム「それにヴェアちゃんの血液検査で分かったんだけど、ヴェアちゃんも君や私と同じ特異体質よ。」
ミスターT「マジか・・・。」
これには驚いた。つい最近分かった事だというのだが、ヴェアデュラも特異体質の血を受け継いでいるという。外見の老化が30歳前後で止まるという例の症状だ。
シューム「あら、そうだったらウハウハじゃない。何度もやりまくれるのよ。これほど嬉しい事はないわ。」
シュリム「か・・母さんっ!」
シュリナ「な・・何て事を言うのですかっ!」
小悪魔的性格は今も健在のシューム。娘達に特異体質が受け継がれている事が羨ましいようであり、意地悪っぽくその長所を誉めだした。これに大赤面する娘達。その中で平然としているのがリュアとリュオである。
リュア「う~ん、お父さんと一緒かぁ~。」
リュオ「いいねぇ~、楽しそう~。」
シュームが語った事を把握できる年代になりつつあるリュアとリュオ。しかしそれすらも平然と受け入れられる2人には天晴れとしか言いようがない。リュリアを超える肝っ玉の据わりは尋常じゃないぐらい強いだろう。
ミスターT「・・・お前達がヴェアぐらいになったら・・・ゾッとするわ・・・。」
俺の言葉に周りはうんうん頷く。それに不気味に微笑んで見せるリュアとリュオ。ある意味強者そのものだろう。
リュリア「でもヴェアちゃんはもっと綺麗になりますよ。」
ヴェアデュラ「買い被りですよ~。」
ミスターT「ヴェアの名前を命名した時、将来は女優などになって欲しいという願いを込めた。今のお前なら十分やっていけるさ。」
シューム「ディルちゃんやヴァルちゃんにお願いしてみようかしら。」
先駆者として芸能界を走っているディルヴェズとヴァルラーム。夫婦で役者を行っており、今ではかなりの人気である。裏の立役者としてエシュリオスやエフィーシュが手助けしたという事もあり、彼らは双子と物凄く仲がいい。
ミスターT「しかし・・・端から見れば物凄い光景だな・・・。」
紅茶を飲みながら周りを見渡す。7人の母親を筆頭にヴェアデュラも含めた15人の娘達。22人の女性陣が揃うこの場は異様としか思えない。
ミスターT「何れ15人とも巣立っていくのか。これが女の子を持つ父親の哀しさかな。」
エリシェ「それは仕方がない事ですよ。」
ラフィナ「私がマスターと一緒になると父に言った時、泣きながらも喜んでいましたし。」
ミスターT「う~む、15回以上は泣く事になりそうだな。」
15人の娘達全員が嫁ぐとなれば、かなり大変になりそうな気がする。しかし彼女達の思い人が現れるなら、それは運命の人であろう。優しく送り出してあげねば失礼だ。
リュリア「まだ32だから、産もうと思えば産めるよ。」
ヴァルシェヴラーム「若いっていいよねぇ・・・。」
ミスターT「この野郎・・・。」
また羽目を外した発言をしだすリュリア。確かに7人の中で一番年下なため、出産年齢は十分ある。シューム・メルデュラ・シンシアを除く3人もギリギリのラインで可能かとも。
リュリア「でも・・・今が一番幸せです。」
シンシア「今この瞬間を大切に、ですね。」
ミスターT「そうだな・・・。」
一服しながら物思いに耽る。今の瞬間がどれだけ幸せか。それをいかに大切にしていくかが、今後の焦点であろう。
ミスターT「シェヴが言っていたね。自分に正直に生きなさいと。周りがどうこうではなく、自分自身がどうあるべきか。そして人の為に役立てるか、これこそが己の原点回帰と。」
ヴァルシェヴラーム「そうね。」
傍らにいるヴァルシェヴラームを胸に抱く。丁度背後から抱く形なので、俺の胸にもたれ掛かるようになる。いきなりの行動に慌てる彼女だが、直ぐにその心地良さに酔い痴れているようだ。
ミスターT「・・・今後の俺達次第か、先へ進むしかないな。」
ヴェアデュラ「そうですよ、我武者羅に突き進みましょう。悩んだら悩み考え、そして再び動けば済む事です。」
ミスターT「・・・ヴェア、何だかシェヴに似てきたな。」
ヴェアデュラ「一応は私の母ですし・・・。」
血縁関係はないが、保護された時の事を踏まえるとヴェアデュラの母はヴァルシェヴラームになる。母を誉められて嬉しそうな仕草を見せる彼女。案外彼女も孤児院の母が似合うのかも知れないな。
ヴェアデュラ「決めた。お父さん、私も孤児院に就職します。」
突然張り切りだしたヴェアデュラ。進路をどうするかで悩んでいた彼女が、孤児院に就職すると豪語しだしたのだ。それに彼女が決めた事だ、俺の方は大いに喜ぶしかない。
ヴァルシェヴラーム「嬉しいわぁ~。ありがと、ヴェアちゃん。」
ミスターT「お前なら第2のヴァルシェヴラームとして君臨できるだろうな。エシェラとエリシェをサポートしてあげてくれ。」
ヴェアデュラ「私が受け続けた愛を、今度は孤児達に与えていきます。それが私の持って生まれた使命ですから。」
ミスターT「流石は第2の風来坊だ、恐れ入るよ。それに第2の躯屡聖堕のヘッド、泣く子も黙るとはこの事だな。」
ヴェアデュラ「楽しみですにゃ~。」
俄然やる気を出し始めたヴェアデュラ。一度火が着くとトコトン走り出すのが彼女の性格だ。女優業も確かに優れたるものだが、孤児院で動く方が遥かに貴き行いだと思う。
シュリム「私達も姉さんと同じく孤児院で働きます。」
シュリナ「お母さんが孤児院出身ですし、その受けた恩を返さなければ失礼です。」
シューム「嬉しい事言ってくれるわぁ~・・・。」
ヴェアデュラが先に進んでいる形だが、シュリムとシュリナも今年大学へと進学している。その2人が今後の進路を明確に語る。母親のシュームが孤児院出身なため、その恩を報いるために動くというのだ。これには感無量のシュームである。
ミスターT「進路に関しては何も言わないよ。お前達が望む道に進んでくれる事が、7人や俺が願うものだから。そんなお前達の父親になれて、俺は誇り高いよ。」
俺の言葉に15人の娘達は微笑んだ。自分らしく素直に進む、それが彼女達を育てる時に決意した心意気だ。既に彼女達の身に染みている事だろう。
第14話・4へ続く。
家族団欒と。シューム嬢が望んでいた未来像が、今正に誕生した感じでしょう。まあフィクション作品だから実現できる描写ですが@@; 何とも(-∞-)
しかし、戦乱モノを描いている自分からして、こうした日常的(非日常もあり)な様相は何か違和感がありまくりなのですが@@; 警護者・探索者・苦労人が非日常的ながらも、向こうの方が日常的な感じがしてなりません@@; 悩ましい(>∞<)