第14話 最終話・覆面の風来坊1 喫茶店での一時(キャラ名版)
リュリアの双子の娘、リュアとリュオが生まれて7年が経過した。ヴェアデュラは今年で19歳、シュームの双子の娘のシュリムとシュリナも18歳と更に問題多き年頃となった。エシェア・エシェナは17歳、シェラ・シェナは16歳。メルテュア・メルテュナは15歳、エリム・エリアは14歳。そして末っ子のラフィカ・ラフィヌは13歳だ。
俺の娘は15人に及ぶ。どの娘達も美しくも可愛いが、怖ろしいまでのじゃじゃ馬娘だ。間違いなく7人の母親を超えるだろう。
俺はと言うと今年で49歳、完全に中年を通り越した。来年で50歳、何とも早いものだ。しかし俺もヴァルシェヴラームと同じ肉体の老化が訪れない特異体質。49歳となった今でも現役同様に頑張れている。
というか時間が空けば7人から求められるのは日常茶飯事である。それでも素直に応じれる自分が幸せでもある。う~む・・・何とも・・・。
それでも自分が成すべき事は見定めているつもりだ。7人の妻達と15人の娘達を見守り、支えていくのが俺の最後の勤めである。
ヴェアデュラ「またラブレター貰いましたよ・・・。」
シューム「あらあら、羨ましい事。」
ヴェアデュラ「私は彼氏作らないって豪語してるのにねぇ・・・。」
早い学業を終えて帰宅するヴェアデュラ。本店レミセンへ入ってくるなり複数のラブレターを見せてきた。12歳時の彼女とは異なり、今の彼女はロングヘアーが印象的な知的美人へと変貌している。
ミスターT「でも相手の男性はそれ相応の思いを込めて綴った手紙だ。人として女として必ず目を通す事。見ずに破棄しようものなら・・・その時は覚悟してくれよ。」
俺の言葉に青褪めるヴェアデュラ。今は外見がのほほんとするのが当たり前の俺だが、殺気と闘気が混ざった気迫は自由自在に操れるようになった。これには母親のヴァルシェヴラームすらも畏怖しているぐらいだ。
ちなみに俺が父親として接しだしてからは、15人の娘達には今まで以上に厳しくも優しく育ててきた。特に生まれてから今まで本当の娘として接しているリュアとリュオには、姉達以上に厳しく接している。
この時だけはリュアとリュオを可哀想だと語る姉達。一時期他の娘達から引っ切り無しに可哀想だから優しくしてあげてくれと言われた事がある。しかしリュアとリュオの方からは構わないと言いだした事もあった。
俺がリュアとリュオに手厳しく接するのは、彼女達の事を思っているからこそだ。それを本人達が一番理解してくれていた。決して憎んで接してはいない。2人の未来を見据えての、今からの厳しい育児なのだから。
故にまだ7歳という年齢なのに、肝っ玉の据わりは13人を遥かに超えている。リュリアを母に持つ彼女達だが、その性格はシュームに近いものだろう。
13人の娘達もお転婆でじゃじゃ馬で手が付けられない程の勇猛振り。だがリュアとリュオには頭が上がらないと口を揃えて語っている。何とも不思議なものだ・・・。
ミスターT「しかし・・・髪の色さえ違ければ、21年前のエシェラにそっくりだよ。」
ヴェアデュラ「え・・・そ・・そうですか?」
カウンターに座り、競馬新聞を嗜むスタイルが今の俺。実際に賭ける事はないが、これも一種の楽しみの1つである。それに今も覆面は健在で、そこにヒゲも相まって浮浪者極まりない。
ミスターT「俺がヴェアと同じ年代ならアタックするんだけどなぁ~。」
ヴェアデュラ「そ・・そんな・・・お父さんが相手なら確実に落とされますっ!」
ミスターT「嬉しい事言ってくれるねぇ。」
顔を真っ赤にして反論するヴェアデュラ。今も彼女の思い人は俺のようで、故に恋人を作らないと決め込んでいるとか。まあ時が来れば彼女も運命の人と結ばれる、これは間違いない。
今の発言でシドロモドロになるヴェアデュラ。その彼女を抱き寄せ胸に抱く。より一層赤面していくが、俺のしたい事が理解したのか大人しくなった。
ミスターT「シェヴを母に持ち、シューム達を乳母とする。そのお前が内外問わず人気なのは嬉しい事だよ。」
ヴェアデュラ「は・・はい・・・。」
シューム「ヴェアちゃんがお母さんになったら、手が付けられなくなりそうで怖いわ。」
ミスターT「フフッ、言えてる。」
表向きの強さはシュームが群を抜いているが、ヴェアデュラの内面から湧き出る命の脈動は家族内の女性達を遥かに凌駕する。それでいて優しさも兼ね備えるのだから、その真の強さを察知した人物は虜になるだろう。
ミスターT「お前の父親になれて幸せだよ。ありがとう、ヴェア。」
ヴェアデュラ「お父さん・・・。」
俺の言葉に声を震わせるヴェアデュラ。感情の起伏が激しいのも彼女のウリである。これも彼女の強さの秘訣でもあろう。流石は14人の娘達の長女である。
ちなみにヴェアデュラは自前の肝っ玉の強さを見込まれて、何と躯屡聖堕のヘッドを担っている。もちろんアマギHとユリコYが総長を務めているが、カリスマ的な存在を欲していた事を2人から伺っている。
16から18に至る3年間、そして今も躯屡聖堕の一員としても活躍するヴェアデュラ。内外問わず人気は非常に高い。噂ではアマギHやユリコYを超える恐怖の暴君として君臨したとか。彼女ならやりかねない・・・、何とも・・・。
またヴェアデュラは部活にも勤しんでおり、何と柔道を極めるに至っている。ナツミYUの娘達のアサミとアユミ指導の下、その真価が開花されていると言えた。
今の学園総合校長はアサミとアユミ。ナツミYUは引退し、学園の庭師として余生を送っている。
ミスターT「シュームが今年で50か、早いものだね。」
シューム「そうですね、あっと言う間でしたよ。」
ヴェアデュラ「後継者育成も大変ですよね。」
ミスターT「殆どはエイラ達に任せているが、最終判断とかはこちらに来るからなぁ・・・。」
ヴェアデュラ「それだけお父さんを信頼している証拠です。」
21年前に雇った女性マスター達。今では右に出るものがいないと謳われるほどのマスターとして君臨している。彼女達も子持ちであり、その子供達もしっかり育っている。
それでもヴェアデュラ達の方が年上なのだ。最年少のリュアとリュオでさえ、子供達の完全な姉的存在である。周りは後継者を産むのが遅すぎる・・・。
シューム「これからも色々と大変になりますよ。」
ミスターT「お前には世話を掛けるよ。」
シューム「また仰ってる・・・、全て覚悟の上での行動ですよ。貴方と共に戦える事こそが何よりの幸せですから。」
ミスターT「ありがとな。」
最近の愛しい7人は俺の生き様を演じている。覆面こそ着けてはいないが、心構えは完全に風来坊そのものだ。俺の語った言葉や行ってきた行動などを実演しているのだ。7人こそ俺の風来坊の生き様を真に後継した者と言えるだろう。
暫く話し込んでいると、メルデュラが2階から降りてきた。丁度シュームと交代する時間だろう。しかし彼女自身はウェイトレス役をしながら休憩ではあるが、身体を動かさないとやってられないとも語っている。
ミスターT「メルデュラとヴェア、暫くここを任せてもいいか?」
メルデュラ「いいですよ。」
ミスターT「シューム、ちょっとご足労頼む。」
シューム「あ、はい。」
ヴェアデュラ「気を付けてね。」
本店レミセンをメルデュラとヴェアデュラに任せて、俺はシュームを連れて表へと出た。向かう先は中央公園だ。5月下旬なため、そろそろ梅雨入りになるだろうな。
第14話・2へ続く。
再び年代が7年ほどジャンプという@@; 風来坊の劇中では、とにかく月日の過ぎ去りが速いです><; 後続の警護者などは、最大でも1部で1年程度の経過ですが、ここまでぶっ飛んだ仕様なのは何とも言い難いものです(>∞<)
それでも、風来坊の本質を現したのは、次の第3部から。ここに帰結して初めて、警護者や探索者・苦労人(流浪人や墓堀人も)に帰結していったのですからね。風来坊を描かなかったら、他の覆面シリーズの礎は定まらなかったかも知れません。