表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
覆面の風来坊 ~不二の盟友に捧げる者~  作者: バガボンド
第2部・純愛
102/280

第7話 巡る盆踊り1 一時の癒し(キャラ名版)

 翌日。表は快晴、盆踊りには打って付けの天候だ。シュームとヴァルシェヴラームお手製の朝食を満喫すると、複数によるトランプゲームに花を咲かせ大賑わいになる女性陣。


 俺は朝食を取ると、ヴェアデュラを胸に抱き一寝入りする。あれからエシェラが寝た後にヴェアデュラが泣き出し、あやす事を数回行った。つまり物凄く眠い・・・。やはり慣れない環境が落ち着かせないのだろうな。



ヴァルシェヴラーム「膝枕でもする?」


 一瞬眠ってはヴェアデュラを確認し、再び寝るの繰り返しだ。周りの五月蝿さは気になっていないが、寝付けないのは言うまでもない。


ミスターT「ああ・・・お願いします・・・。」


 ソファーの端に座るヴァルシェヴラーム。胸にいたヴェアデュラを託すと、俺は頭を彼女の膝に乗せた。ソッと左手が俺の頬を撫でる。その心地よさに急激に眠気が襲ってきた。


ミスターT「流石シェヴさん・・・落ち着きます・・・。」

ヴァルシェヴラーム「貴方が幼い頃にも同じ事をしてあげたわね。」


 俺の胸を優しく叩きだした。以前シンシアにもしてあげた、子供を寝付かせる時の行為だ。凄まじいまでの心地よさと安堵感に包まれ、直ぐに夢の中へと旅立っていった・・・。




 それから数時間後の正午、俺は完全に目を覚ました。僅か数時間の仮眠だったが、その睡眠は心から安らいで休めた。



 俺はヴェアデュラを胸に抱き、本店レミセンの二階・三階・四階を見て回る。表から見る限りは存在はしているとしか把握しておらず、内部を見て驚いてしまった。


 本店レミセンの間取りは、他のレミセンでもトップクラス。つまりそのままの大きさが上部へと繋がる。二階の休憩室とされる部屋はエリシェの自室並で、十分に住めるぐらいだった。



 三階と四階は更に凄まじい。間取りがエリシェの事実と殆ど変わらない。周辺住宅に気を配って日光の差し日を配慮した大きさだが、それでも十分すぎるほどの広さを誇っている。


 二階・三階・四階もトイレ・風呂場・脱衣所・台所・リビング・寝室と、一級のマンションと同じ装備が揃っている。正に至れり尽せりだ。


 また屋根部分がそのまま屋上にもなっており、ここは五階とも言えるだろう。エリシェの自室には敵わないが、花火大会などはここからも一望できる。




シューム「レイアウトはエリシェちゃんの部屋を参考に、不自由ない配置にしたのよ。結構手間が掛かったって言ってたわ。」


 空気の入れ替えで窓を全て開け放つ。網戸にしているので、羽虫は入ってこないだろう。新築してから一度も使われていないためか、新しい匂いが立ち込めている。


ミスターT「これだけ広ければ、ヴェアが成人になるまでは十分住めるね。」


 窓際にバスタオルを引いてから、ヴェアデュラを静かに横たえる。するとまるで気に入ったかのようにスヤスヤと眠りだす。この様子を見れば、間違いなく大丈夫だと言える。


シューム「そうそう、私達が住んでいる家を売りに出そうと思うの。」

ミスターT「また何で?」

シューム「君が住んでいたアパート、今度新しく建て替える事になったでしょ。あそこにアパート兼住宅を構えるようで、そこに引っ越そうかなと。」

ミスターT「ふむ・・・。でも今住んでいる家、エシェラやお前の思い出の場所じゃないのか?」


 俺の気掛かりはそれだった。今は亡きエシェラの両親が建てた家だ。思い出が一杯詰まっているだろう。それを売り払うとなると、相当の覚悟が必要になると思うが・・・。


シューム「ああ、大丈夫。実際にあそこに住みだしたのはご両親が亡くなった後。しかもあそこに引っ越してきただけで、思い出あるとまではいかないかな。」

ミスターT「そうか、分かった。」


 一家の大黒柱とも言えるシュームが語るのだ。既にエシェラとエシェツには相談済みだろう。ここは彼女に任せるべきだな。



 室内から表を見ていると、徐に背中に抱き付いてくる。眠るヴェアデュラをいい事に、過激極まりない行動に出始めたな・・・。でも何となくその理由は分かってしまう。


シューム「フフッ、相変わらずね。普通なら無関心な筈なのに、思い出の場所と言ってくれた。」

ミスターT「そりゃそうだろう。お前も俺も孤児だが、俺と違い過ごした家があるなら尚更だ。」

シューム「思い出は心に残せるじゃない。その場の環境変化に順応してこそ人は生きていけるのよ。住処が変わっても、心が変わらなければ十分よ。」

ミスターT「そうだな、すまない。」


 予測した通りのものだった。思い出は心の中に、そして心こそ大切に。それをしっかりと把握しているシューム。これは愚問というものだな。


 暫くそうしていると、今度は胸の中に抱き付いてくる。そしてそのまま唇を重ねてきた。彼女もまだまだ甘えたいのだろう。俺も彼女に心の篭った口づけをしてあげた。




シューム「ごめんね、勇気を貰ってばかり。」

ミスターT「気にしなさんな。」


 甘い一時を終えると、胸の中で余韻に浸るシューム。ソッと頭を撫でてあげて、優しく抱きしめてあげた。


ミスターT「お前には何度となく助けて貰ってる。俺と変わらない年頃なのに、皆の母親的存在で鼓舞し続けてくれる。心には大きな傷を持っているのに・・・。」

シューム「ううん・・・大丈夫、君に勇気を貰ってるから・・・。」

ミスターT「正直な話、罪悪感が一杯だ。エシェラは心に決めた人だから問題ないが、お前を含めた5人との関係には不安が募る。」

シューム「大丈夫よ、貴方から進んで抱こうとしなければ。もちろん本気で抱いてくれる事は嬉しいけど。表向きは私達から襲ってきたと思わせれば、ね。」


 この強かな戦略はヴァルシェヴラーム譲りとも言える。彼女も歳が離れていなければ、彼女達のように欲望に駆られて動くだろう。いや、彼女はそれを望んでいるのだろうな。偶に見せる俺に対しての愛情は、5人と全く変わらない凄まじいものだから。


シューム「・・・貴方を絶対に死なせたりはしない・・・。」

ミスターT「逆だな。俺がお前を死なせたりさせない。エシェラを銃弾から守ったように、俺が目に留まる時なら命懸けで守るよ。」

シューム「あぁ・・・ありがとう・・・。」


 泣きながら強く抱き付いてくる。その彼女を優しく抱き返した。俺にできる精一杯の労い、この際世間体など関係ない。彼女を癒せるのなら、心の底から応じるべきだ。


シューム「・・・愛してます。」

ミスターT「ああ、俺もだよ。」


 再び唇を重ね合う。流石にここでこれ以上の発展は無理だから、今は心の篭った口づけで勘弁してもらうしかない。お互いを確かめ合うような長い長い口づけは何時までも続いた・・・。




 駅ビル内部レミセンにエシュリオスとエフィーシュが訪れる。今では有名なアイドルへと進化した双子だけに、サプライズゲストとして大絶賛を浴びた。


 一応臨時の護衛役にリューアとテュームが着くが、双子の方も格闘術を身に着けている事から対して心配はしていないようだ。



メルデュラ「シンシアさんが漫画家になるために努力中ですよ。」

ミスターT「凄いな・・・。」


 今は駅前と駅ビル内部のレミセンを行ったり来たりを繰り返すシンシア。その合間に修行を積んでいる画力強化。その実力は目を見張るものだとメルデュラは語る。


シューム「以前絵をあげたそうじゃない。アレで感化されたようで、君がいない間ずっと練習を繰り返していたわ。」

ミスターT「漫画家か・・・。俺のもう1つの夢だったが、今は風来坊の方が定着してる。」

シューム「まさか・・・また旅に出るつもりなの?」

ミスターT「いやいや、それはない。ただ俺の存在としては、覆面の風来坊の方が合うかなって。」

メルデュラ「縁の下の力持ちですからね。」


 メルデュラが例えるのは、三島ジェネカン・躯屡聖堕・警察機構の例だろう。3つとも今の日本を支える重要な役割だ。特に躯屡聖堕の存在は、ここ3年間で爆発的に強くなった。


シューム「躯屡聖堕の総本山はアマギHちゃんとユリコYちゃんだからね。それに色々と都市伝説が存在して、ヤンキー・不良・ヤクザとかは関わりたくないそうよ。」

メルデュラ「犯罪も結構減ってるようです。極悪犯罪は相変わらずですが、万引や恐喝などの犯罪は減少にありますよ。」


 細かい犯罪が撲滅されるのはいい事だ。それが大きな火種になる前に消えるのだから。問題は極悪犯罪だろう。これは十分注意しないといけないな・・・。



シューム「君の殺気と闘気も話題になってるわよ。」

ミスターT「アレか・・・。」


 ゼラエル・ベロガヅィーブ・スカーレットといった犯罪者を徹底的に黙らせた、俺の十八番とも言える殺気と闘気の心当て。悪人ですら当てられて再起不能までに至っている事から、普通の人に行った場合は計り知れない。


メルデュラ「悪人を心の底から黙らせる、ドギツイ感情の塊。」

シューム「躯屡聖堕の中でも、君だけは絶対に怒らせないように心懸けているそうよ。」

メルデュラ「怒らせたら心を殺されるって大評判です。」


 何なんだその大評判ってのは、俺はそこまで危険人物じゃない・・・。何なんだか・・・。相手に対して心理戦を用いるタイプとなる俺の殺気と闘気。これは正しく悪人キラーと言えるだろう。


シューム「そのうちライディルさんから直に依頼が来るんじゃないかな。」

メルデュラ「そうですね、悪人の心を折ってくれと。」

ミスターT「過剰な期待は止めてくれ・・・。」


 まあこれらが犯罪撲滅に一役買えるのなら担うべきだろう。が、それ以前の問題だ・・・。まるで俺の方が危険人物になるじゃないか・・・。


シューム「でも・・・君になら心を折られてもいいなぁ・・・。」

メルデュラ「私も思います・・・。」

ミスターT「この野郎・・・。」


 変な解釈をしだしたよ・・・まったく・・・。俺の方こそ6人に心を折られたと言った方が正しい。でなければ心と身体を通じ合う事などできる筈がない・・・。


 まあそれでも彼女達の心の支えになれるのなら、誠心誠意応じるのが俺らしいわな・・・。




 やはり夏場だけあって来店するお客さんは多い。俺は臨時のウェイターを担うが、それ以外はシュームがウェイトレスを担っている。厨房はメルデュラが担当し、今ではシンシアと大差ない程の熟練者となっていた。


 殆どがカウンターの隅で新聞や店内に流れるFM音楽を聞き入るぐらいだ。一服しながらコーヒーを啜る一時が堪らなく落ち着く・・・。



リュリア「こんちゃ~。」

メルデュラ「いらっしゃい。」


 暫く落ち着いた一時を満喫していると、リュリアが入店してくる。タンクトップに短パンというボーイッシュな出で立ちは、何処にでもいるような女の子の色を見せている。


リュリア「お兄さん、デート行こっ!」


 そして間隔空けずに俺に対してデートをしてくれと言いだしている。最近俺に対してアタックが多い。まあ彼女も年頃だから仕方がないが・・・。


シューム「あまり引っ張りまわすんじゃないよ。」

リュリア「任せて~っ!」


 シュームの肝っ玉がそのまま受け継がれ、そしてじゃじゃ馬度が増した存在。ある意味親友の中で一番危険な存在なのかも知れない。


 ヴェアデュラをシュームに託し、リュリアに手を引かれて本店レミセンを後にした。


    第7話・2へ続く。

 臨時の子育てに、周りの女性陣からのアプローチと。風来坊は悩ましい感じです(何


 しかし、他の覆面シリーズとは異なり、戦闘シーンが少ないのが何とも><; ただ、現状は同シリーズ内で唯一完結しているので、優先的にアップさせて頂いている次第ですm(_ _)m 次第点で警護者でしょうが。ラストがまだ未完成ですが><;

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ