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⑤「お弁当 その2」

この時点では彼らの名前は決まっていませんでした。(⑥話執筆時に追記)

ですが、決まっても特に執筆に影響はありませんでした。

 おにぎりが、甘い。

 ……いや、米は噛んでいくと甘くはなる。

 しかし、この甘さは、あれだ、砂糖だ。

 おにぎりといえば、振りかけるのは塩……ふりかけも良いけど、ともかく。


 こいつは、「砂糖と塩を間違えちゃった! てへ!」をやってしまったのだ。


「お前……これ……」

「……ん?」

 こいつは二つのおにぎりのうち、一つはすでに食べ切ってしまっており、もう一つに口をつけている。

 小学生の時には甘いお菓子が好きだったはずだが、流石に砂糖を振ったおにぎりを好んで食べるようなヤツではないとは思う。

 つまり、こっちの弁当だけが砂糖ということだ。

「おにぎりが甘いんだけど……」

「あぁ……『あきたこまち』だから」

 だからそういう問題じゃねえよ。

「砂糖の味がするんだよ!」

「…………?」

「料理下手みたいなミスしてんじゃねえよ……」

「っ……! たっ、卵焼き食べてみてっ!」

 卵焼き? 見た目はとても旨そうだが……一切れをぱくり。

 …………こ、これはっ!


「塩味ッ!」


 卵焼きはほとんどの地域で、一般的に「砂糖」が味付けに使われるらしい。

 だが大阪を筆頭に、関西の一部の地域は「だし」が使われるそうだ。

 そして……塩を使う家庭が多い地域は統計ではただ一県、沖縄県。

「……あれ? お前ってうちなーだっけ……?」

「ちがうっ! きっ……緊ちょっ……い、嫌がらせよっ!」

 うっわぁ……最近多いなぁ……。

 ていうか何? 蚊取り線香でも練り込むつもりだったの? 「きんちょっ」って言ってたけど。

「ぜ、全部食べなさいよっ! というか、朝ごはんも全部たべたんでしょうね!?」

「ん、食べた。お前の分も作ったもんだと思っていたが……お前は自分ん家で食べたのか?」

「わ、私は食べたわよ。……最近量を減らしているけど」

 よかった、心配してたんだよな。

 ん~、量を減らすのは考え物だが……

 でも、まぁ……俺と違って普段食べているだけマシか。

「ねぇ……あんなこと言ったけど……全部食べてくれる? おにぎりと卵焼きは残していいから」

 ……それは、ありがたい申し入れだが――

「いや、全部食べるよ。嫌がらせとはいえ、折角作ってくれたからな」

「そ、そう……」

 まぁ余りものらしいけど、他はとても旨いのでノープロブレム。

「しかし……こんなに甘いおにぎり食ったら太っちまうな」

「わ……私の作った料理が……あなたの血肉に……っ!」

「そうそう、お前のせいで肉が付くんだよ……って、何で嬉しそうなんだよ。これも嫌がらせの内なのか?」

「いや、でも……魅力が下がっちゃうかも……」

「まぁ、確かに他のおかずが旨くても合計カロリーが高いからな」

「や、やっぱり食べるのダメ!」

 はぁ? 急に何言うんだよ。

「せめておかずは食わせてくれ。卵焼きも意外とイケるしな」

「そ、それならまぁ……って、ダメっ! 返して!」

「……いや、俺が太るのも含めて嫌がらせなんじゃなかったのか?」

 コイツのことだから、それも含めてなのかと……

「た、確かに太ったらモテなくなってライバルが減るんじゃ……」

「……さっきから何をぶつぶつ言ってんだよ、食べ進めていいか?」

 律儀に食べるのを止めているが、この肉団子食べていい? タレが市販のものより旨いんだけど。

「どうぞ、自由に食べ……やっぱり食べちゃ……あぁ、でも――」


「どっちだああああああああああああああああああああ!」


 結局、全部食べた。

 カロリーが心配だったが、とても旨かった。

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