同じでいいのが世の中!?
「このままではいけない!」
現代社会は腐りきっていた。親は、子供を塾に行かすお金も無く教育放棄。 教師は、生徒を殴ったり、生徒を盗撮した教育崩壊。子供は、スマートフォンとアニメばかりで他人とのコミュニケーションはゼロ。
「こんな世の中で、まともな人間が育つはずがない!」
30才の女教師(売れ残り)は、現代の日本社会を嘆き悲しんでいた。使い物にならない若者が大量生産されている昨今。若者が悪いのではなく、まともな人間に育てることができない社会を作ってきた、大人が悪いと言っている。
「私が生徒たちを自立した大人に教育してみせる!」
この物語は、一人の女教師が閉鎖的でコミュニケーション障害で、夢も希望も無い生徒たちを、少しはまともな人間に育つように、愛を持って教育する教師と生徒の感動物語である。
「ストップ!」
天が真面目なストーリーの創作に待ったをかける。
「こんな真面目なストーリー! ライト文芸部じゃない!」
「その通りだわ。天の言う通り。」
麗は、天の後押しをする。
「いいじゃないか!? 他作は放置して、私の作品にだけ進行中にするのだから!? 私は教育意識の高い女教師なのだ! さあ! ショートコントを始めるぞ!」
苺は、まともな教師役ができると喜んでいる。
「熱血教師の名前が苺でいいんですか?」
大蛇は、いつもふざけている苺先生に真面目なキャラは似合わないと言っている。
「なんなら私が教師をやりましょうか? 生徒だけど。」
カロヤカさんは、何気なく言っているが、生徒が教師というのも面白い。
「「最強の歯科助手みなみちゃん」と同じパターンだね。美代先生は、使えない女歯科医師だけど、歯科助手のみなみちゃんが虫歯を治療するというスーパーなお話。ちなみに私は食べる物を食べたら帰るからね。」
幽子は、試食大好きの幽霊部員である。
「今日のお取り寄せは、横浜のシュウマイ弁当です! どうだ? おいしそうだろう! ニコッ。」
笑は、そろそろ紹介する商品に困っている。
「負けませんよ! 今日の和菓子は、岐阜県の最中です! もちろんお茶もありますよ! エヘッ。」
本物の幽霊おみっちゃんは、元祖エヘッ幽霊である。
「ショートコント・スタート!」
「あなたたち! 私が若い女教師の設定を捨てて、30女教師に挑むんだから、真面目な教師役でもいいでしょ!?」
「ほれ、教師のパワハラだ。」
「苺ちゃんには、真面目な教師は無理。ニコッ。」
「私も1000年物の地縛霊ですから、AGE30の主役になる権利がありますよ。主役を変わりましょう。エヘッ。」
「完全にあんたたちは2人で1組ね。」
「黙れ! 私の言うことを聞かないと、宿題を100倍にするぞ!」
「真面目や熱血教師でなくて、冷酷教師だわ。」
「実は真面目ぶっていて、冷酷な生徒虐待教師だった。」
「それを生徒でありながら、先生の様に陰から助けるカロヤカさん。」
「完璧な裏ストーリーですよ。」
「私って、そんなに嫌われているのね。ショボ~ン。」
「嫌われているんじゃなくて、いじられキャラで愛されているんだよ。」
「ありがとう。」
「復活、早!?」
「お礼にグランドを100周してね。ニヤッ。」
「ええー!? 教師のいじめだ!?」
「おまえら! 教師様に歯向かったら、成績表に1を書くぞ! そうすれば、おまえたちの進学は諦めてもらうことになるな! ケッケッケ!」
「脅迫教師だ!?」
「苺ちゃん!? 半端ないって!?」
ここで間が空く。
「分かった!」
「何が分かったの?」
「ストーリーをどうしよう、キャラクター設定をどうしよう、と考えるのが間違いだったんだ!」
「じゃあ、どうすればいいのよ?」
「全て出す!」
「おお!?」
「全アイデアを出し惜しみせずに閃いたものを全部出す!」
「きっと面白い作品ができますね。」
「問題は、たぶん主人公よりも面白い、教師や生徒が出てくることが間違いない。」
「既に苺ちゃんより、本物の幽霊おみっちゃんの方が面白いもんね。」
「そうそう。」
「せっかく主役になれたと思ったのに!? どうしてみんなで私をいじめるの!? 30の三十路女も受け入れたのに!?」
「それは苺ちゃんの意見よ。」
「おみっちゃんは約1000年の地縛霊の幽霊なんだから、たかが30才で文句を言われたくないわよ。」
「私を幽霊と比べるな!」
「まあ、生きた人間と鎌倉時代の幽霊ではねえ。」
「例えば「最強の歯科助手みなみちゃん」の女歯科医師の美代先生なら、30才問題は、完全にOKで問題なしよ。苺ちゃん、諦める?」
「そ、そんな!? どうして次から次へとライバルが現れる!?」
「ポイントは、いきなり大人数のキャラクターを登場させずに、1人1人にピックアップして、ゆっくりと進めていくことね。」
「後は苺ちゃんが、どんな教師するかってとこね。」
「パワハラ教師。」
「宿題を100倍教師。」
「ショートコント教師。」
「おまえたち、顧問の私をどんな教師と思っていたんだ?」
「どれもいまいちね。」
「教師のくせに、生徒に助けてもらう教師。」
「似合うわ。苺ちゃんがバケツを持って、廊下に立たされている姿。」
「私は、いじめられっ子教師か!?」
「いいね。」
「え?」
「そのギャップ。」
「教師なのに、生徒に負けるとか、教師なのにいじめられるとか。」
「そこからの大逆転で正義の教師として、問題を解決する。」
「強さからの強さ、ではなく、弱さからの強さ。」
「それが一般大衆には1番ウケますよね。」
「これで苺ちゃんも人気の30才三十路女教師(売れ残り)です!」
「良かったね! 苺ちゃん!」
「私たちが、顧問の苺ちゃんを見捨てる訳ないじゃない!」
「みんな! 私のことを、そんなに考えてくれていたのね! ありがとう! うるうる。」
「ああ~泣かせちゃった。」
「教師のくせに泣いちゃった。」
「それもギャップだね。」
「いいね。ウケるわ。」
「ハッハハハー!」
「でも、私たち8人の中で、ここまでキャラクター創作をしたのは初めてよね?」
「え!? これが、あと7人つづくの!?」
「大丈夫ですよ。私は何度も主役や脇役で登場してますから、もうキャラクターとしては完全体です。エヘッ。」
「ただ者の幽霊じゃないとは思ったが、やっぱり、そうだったのね!?」
「ということは!? おみっちゃん先輩!?」
「あはは。私は1000年の地縛霊ですから、先輩といえば先輩ですね。エヘッ。」
「なんと恐ろしい!? 私は幽霊の先輩を相手に戦いを挑んでいたのか!? ニコッ。」
「疲れたな。カロヤカさん。よろしく。」
「カロヤカにお任せあれ。」
こうしてライト文芸部の平和な一日は終わった。
つづく。




