異世界ホテル5
ここは異世界ホテルの4階。
「ど、ど、どうしたんですか!? その武器は!? まさかゴブリンから奪ったんですか!? 酷い!? 宿泊者様!?」
宿泊者は、部屋の中にいたゴブリンから、コンシェルジュのアンコ椿の事前説明がなく、申し訳ないと謝罪の意味を込めて、宿泊者の初期装備として使えそうな、剣、こん棒、弓の武器をもらい装備したのだった。
「ついつい、うっかりしてまして。宿泊者様のクレジットカード情報の登録をフロントでするのを忘れまして。おまけに初期装備のアメニティーを渡すのも忘れてました。へっへっへ。」
異世界ホテル100ルームに宿泊するためには、クレジットカード情報の登録が必要である。その引き換えに初期装備をもらえるというシステムらしい。
「あ!? 職種を決めることも忘れてました!? そうですよね!? 職種を決めないと魔法使いが剣をもらっても、どうにもならないですもんね。へっへっへ。」
アンコ椿はいいとこを気がついた。武器は自分に合う武器を使う訳だから、宿泊者の職種を決めないことには、武器は選べない。フロントでチェックインする時に、宿泊者の名前、職種の決定。その職種の武器の提供をしなければ、宿泊者は進みたくても進めない。
「とりあえず宿泊者様は、剣とこん棒と弓をお持ちなので、兵士としておきましょう。さあ! 次の階へ参りましょう!」
より強い職種で挑みたい宿泊者は、より強い職種を買わなければいけない。初期は剣士とされた初期ジョブも、課金要素があるので、兵士に格下げされた。金で解決するか、修練を積んで、ジョブチェンジしなければならない。異世界ホテル100ルームは、恐ろしいホテルである。
「あ!? 宿泊者様!? 武器を強化するのも、宿泊者様のレベルアップも、お金の力で短縮できますよ! 夢と希望もお金で買って! それが異世界ホテル100ルームです! へっへっへ。」
階段の途中で止まって、宿泊者に振り向いたアンコ椿は不気味に笑う。
「あ!? もう1話で1階づつ進めて、早く帰ってお風呂でゆっくり読書しようと思ったのに、もう無理ですね。今日も残業が確定だ。悲しい。」
ホテルの仕事は、夜勤もあれば不規則である。アンコ椿のお肌も乾燥気味で、睡眠不足なので目の下にクマもある。異世界ホテル100ルームで働くことは過酷なのである。
つづく。




