私、過疎を救う10
「わ~い! お姉ちゃん! 私、空を飛んでいるよ!」
山深村のヘリポート。白猫大和の宅配屋さんと協力して、ドローン4機による人の宅配に挑戦している。人の宅配の実験体は、村長の妹の七緒。現在、上空に飛んでドローンをホバリングしている。
「ありがとう。七緒。協力してくれて。私も村長として、大切な村人で人間の宅配実験をする訳にはいかないのよ。」
「大丈夫だよ。お姉ちゃん。遊園地のアトラクションみたいで、超ヤバいよ! とても田舎とは思えない! 都会より興奮してきたよ! イエーイ!」
「これが成功すると、山深村から麓の駅まで5分で到着。将来的には都会の大きな病院まで30分で緊急搬送できるようにしたいの。」
「OK! 任せて! お姉ちゃん! 私が無事に麓の駅までたどり着いてあげよう! ワッハッハー!」
「七緒、気をつけて帰るのよ! お父さんとお母さんにもよろしくね!」
「は~い! 今度来るときは、着替えのパンツ持ってくね。」
「時間です。ドローンを発進します!」
妹の七緒を乗せたドローンが動き出した。
「行ってきます! 七瀬お姉ちゃん、またね!」
「七緒! 気をつけてね! いってらっしゃい!」
こうして高橋姉妹は別れを告げた。七緒を乗せたドローンは加速して、麓の駅を目指して飛んで行く。
「わ~い! スゴイ! 私、空を飛んでいるのね!」
七緒は、空を飛んでいた。浮力は4機のドローンだけ。不思議のような、魔法のような、確かに人間が空を飛んでいるのである。
「ヤバイ! ヤバイ! 超気持ちいい! 風をビュンビュン感じるわ! 鳥さんたち! こんにちわ!」
七緒は夢を見ているかのような世界を体験している。都会でゴーグルだけ装着したバーチャルリアリティーの疑似体験ではなく、本当に田舎で空を飛んでいるのである。
「不時着。お姉ちゃん、無事に麓の駅に着きました。キャハハハハ!」
七緒は無事に空をドローンだけで飛んで麓の駅に到着した。
「テレビ局ですが、空を飛んだ今の感想をお願いします。」
「気持ち良かったです。なんだろう。田舎って、マジ、ヤバい。都会よりも面白いかもしんない。キャハハハハ!」
七緒の初めての山深村旅行は終わった。
「お父さん!? 今度は七緒がテレビに出ていますよ!?」
「うわあ!? なんで七緒は空を飛んでいるんだ!?」
ニュースを見ていた高橋家の両親は次女の七緒が空を飛んでいる姿に驚いた。
「おまけ情報ですが、今回、ドローンで山深村から麓の駅まで飛んだカワイイお嬢さんは、山深村の村長の七瀬さんの妹さんの七緒さんだそうです。」
「いや~、カワイイですね。一度、村長姉妹に会いに山深村に行ってみたいですね。」
「いいですね。ですが、山深村の広報の田中さんに聞くと、現在、山深村にはホテルは無いので、野宿覚悟でお越しくださいとのことです。夜は野生の動物が出るので、かなり危険ですとのことです。それでは次のニュースです。」
こうしてニュースは終わった。
「私の娘が空を飛んだのよって自慢しなくっちゃ!」
「ただいま。」
「おっ、七緒が帰って来たぞ。」
いつも和気あいあいとした高橋家であった。
「そうか次はホテルか・・・。やらないといけないことが山積みね。これからも村長として、頑張らなくっちゃ。エヘッ。」
村長、七瀬の村づくりは、まだまだ続くのでした。
おしまい。




