私、過疎を救う9
「お父さん! お母さん! 七瀬お姉ちゃんがテレビに出てるよ!」
「また何か悪い事でもしたんじゃないでしょうね?」
「おお、ドローンじゃないか。」
またまた高橋家の長女の七瀬が都会のニュースに出ていた。
「日本最後の秘境、山深村で、ドローンを使った空輸の実験が開始されました。宅配トラックでの村までの宅配が、険しい山道で不可能。それならばと、若くてカワイイ高橋村長が、宅配大手の白猫大和の宅配屋さんと共同して、ドローンによる宅配物のお届けを行うことに合意しました。」
「これで少しでも村民の生活が良くなればいいと思います。」
「いや~、今まで誰も知らなかったような、山深村。新しい村長さんになってから、よくテレビやメディアで取り上げられるようになりましたね。」
「新しい事に挑戦したり、村長さんが、カワイイ女性になったから、各メディアが取材に行きたくて仕方がないんでしょうね。次のニュースです。」
こうして山深村のニュースは終わった。
「超カッコイイ! あれが私のお姉ちゃんに見えないんですけど!」
「山深村の村長は、私の産んだ娘だって自慢しましょう!」
「どうせ、そのうち逃げ出して帰って来るさ。」
「ワッハッハー!」
高橋家は平和な都会暮らしを送っていた。
「行ってみようかな、お姉ちゃんの山深村。」
妹の七緒は、無職で暇なので、姉のいる田舎に行ってみようと思いついてしまった。
「出陣じゃ!」
妹の七緒は、軽装で家を出発しようとする。
「七瀬に連絡はしたの?」
「サプライズよ! サプライズ! 連絡したら、おもしろくないじゃない。」
「迷子になるなよ。」
「迷子になんかなりませんよ~だ。じゃあ、行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
七緒は姉のいる山深村を目指して出発した。
「山深村行きのバスのバス停は、どこかな。あった。うわあ!? 1日朝と夕方の往復2本しか本数がない!? マジか!? よく七瀬お姉ちゃんは、こんな不便な田舎に住んでいられるな。」
妹の七緒は、新幹線で1時間。在来線で1時間。そして山深村の麓の駅にたどり着いた。度々出るのに駅に名前がない。それは困るので、山深村麓駅としておこう。
「次は最終の17時かよ。今夜はお姉ちゃんのとこに泊めてもらおう。」
七緒は田舎を、山深村をなめていた。
「お姉ちゃんー! どこにいるの!?」
山道をバスで揺られて吹き飛ばされながら、七緒は山深村にたどり着いた。時刻は18時。山深村のWifiのネット接続は、村役場の開いている17時まで。七緒が山深村にたどり着いた時は、ネットの使えない秘境、山深村だった。
「怖いよー! 誰かいないの!? コンビニはどこよ!? 七瀬お姉ちゃん! 助けてー! ウエエエ~ン!」
山深村の日が沈むのは早い。18時にもなれば、山深村は街灯の一つもない暗黒の世界が広がっていた。七緒は恐怖で泣き叫んでいた。
「ガサガサ。」
「キャア!? お化け!? 私なんか食べても美味しくありません!? 見逃してください!?」
「誰がお化けよ。」
「あ、お姉ちゃん。」
「あ、お姉ちゃんじゃないわよ。あんた、お父さんがメールくれたから良かったけど、もし私が知らなかったら、今頃、人食い狸に食われてるわよ。」
「人食い狸!? やつぱり私は食べられる運命なんだわ!? うわわわわー!?」
「黙れ、妹よ。お腹空いただろう。今夜は松茸ご飯だぞ。」
「やったー! 私、松茸大好き!」
「食べ終わったら、温泉に行こう。」
「五右衛門風呂じゃないの?」
「田舎をバカにするな。天然の温泉だぞ。きれいな星空が見えたり、狸や狐なんかと一緒に入れて楽しいぞ。」
「わ~い! 秘境って、おもしろそう! キャハハハハ!」
仲良しの七瀬と七緒の高橋姉妹であった。
つづく。




