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妄想中  作者: 渋谷奏
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私、過疎を救う7

「いいですか? 今年は2019年で、戦争は1945年に終わってますからね!」

「へえー!? そうなんだ!? てっきりアメリカ軍が、こんな山奥の村まで攻めてきたんだと思った。」

「欲しがりません! 勝つまでは!」

「日本帝国! 万歳! 万歳! 万歳!」

「ワッハッハー!」

「もうやだ! 都会も嫌だけど、田舎も嫌だ! 俺はどこに住めばいいんだ!?」

 この男は移住者の渡辺一郎。もちろん職業は、村役場に勤める正規公務員の職員さん。


「おまえ、おじいちゃんとおばあちゃんに、現代の世の中を教えろ。」

「え? なんで俺が?」

「村長命令。渡辺、嫌なら村を出て行け。」

「ええー!?」

「村長の命令は絶対だ。嫌なら、おまえが村長になっていれば良かったんだ。」

「そんな、理不尽な。」

 渋々だが渡辺は村人たちに現代社会を教えることになった。特に教員の資格は持っていない。


「いいですか? これはヘリコプター。病院にみなさんを運んでくれますよ。」

「なんだ。アメリカ軍ではないのか。つまらない。」

「地面のHマークは、ヘリポートといって、ヘリコプターが離着陸する場所です。」

「宇宙人と交信ができる聖なる場所でないのか? 面白くない。」

「あのね。宇宙人なんかいる訳ないでしょ。」

「ああ!? なんも楽しみのねえ村で、楽しく生きようと頑張っているの、この若僧が、じいさんやばあさんの楽しみを奪った!? 村長に言ってやる! 村長に言って、恐ろしい都会流しの刑にしてもらうんだ!」

「やめて下さい。村長は本当にする人だから。」

 既に村長から村から追放と脅されていた。必死に耐える移住者の渡辺であった。


「ここをクリックしてください。」

「こうですか?」

「それはダブルクリックです!?」

「栗を山で2個拾って来ればいいんですか?」

「ええー!? 違います!?」

 移住者職員の田中綾子は、おばあちゃんにパソコンの使い方を教えている。もちろん、これも村長命令である。

「秋には私の山は栗がたくさんなるから、私が生きていたら、おすそ分けしますね。」

「わ~い! 本当ですか? 長生きして下さいね! 肩でもおもみしますよ。」

 栗ご飯のために、おばあちゃんの肩を揉み始める田中。

「いや~、気持ちいい。都会に出兵した娘が帰って来たようだ。」

「娘さんは、都会にいるんですか?」

「はい。「なんもない田舎なんて大嫌いだー!」って、都会の歌舞伎町で女郎をやっています。」

「え・・・。」

 おばあちゃんの娘が売春婦と知って、思わず唖然とした田中の肩をもむ手が止まる。


「どう? 山深村の村民のレベルアップは進んでる?」

「そうですね。順調です。みなさん若々しくて元気ですよ。」

「はい。みなさん、パソコンも扱えるようになりました。」

「そうか。それは良かった。これで山深村も人が住みやすい環境になっていくぞ。やっぱり村民教室を開いたのは、正解だったな。ワッハッハー!」

「ガクッ。」

 自画自賛の高橋村長と、教室に疲れ切った田中と渡辺だった。

 つづく。

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