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妄想中  作者: 渋谷奏
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私、過疎を救う4

「お父さん! お母さん! 七瀬お姉ちゃんがテレビに映ってるよ!?」

「なに!? 悪い事したの!?」

「まさか!? 俺の娘に限って!?」

 私、七瀬はニュースに登場した。私が村長になった山深村を国のお金で支援してもらうためだ。

「日本、最後の秘境、山深村の新しい村長は、25才のカワイイ女性。今日は山深村にWifiスポットの設置費用の支援を要請に内閣府にやってきました。」

「よろしくお願いします。我が山深村には、スマホの電波が届きません。圏外です。唯一の電話とインターネットが使える場所が、村役場や公民館だけ。もし救急車を呼ぶことができれば、亡くなられた村長さんを助けることができたかもしれません。」

「内閣府は、村に数カ所のWifiスポットの設置と、緊急医療用のヘリコプターが離着できるヘリポートの設置を約束しました。」

「いや、スマホの電波の入らない圏外の村って、あるんですね。」

「可愛らしい村長さんでしたね。それでは次のニュースです。」

 こうして七瀬の登場したニュースは終わった。

「お姉ちゃん、カッコイイ! マジ! 村長している!」

「あの子、年収はいくらなのかしら? 村長なんだから、1000万くらいはもらっているわよね?」

「嫌らしい、お金の話はやめなさい。」

 娘がテレビに出ているということで、七瀬の実家も盛り上がった。


「仕事も終わったし、村に帰ろう。」

 午後3時。内閣府を後にした私は、今回の目的も果たしたので、山深村に帰ろうとする。現在、山深村の所在は、富士山周辺のサティアン、不死の樹海、群馬か栃木の山奥辺りが想定されている。

「まず新幹線に乗り約1時間。そして最寄りの駅に着き、在来線に乗り換える。駅からバスに乗り換える。村への最終のバスが午後5時。これに乗り遅れると、村まで歩いて6時間の山道。う~ん、私は震災難民か?」

 これが私の東京出張の最難関の問題である。村まで無事に帰れるのか? 私は村まで生きて帰れるのか? 

「ここからが絶対に負けられない戦いが始まる!」

 最終のバスに乗り遅れるということは、事実上の死を意味する。

「人身事故が発生しました。安全確認のため運行を一時見合わせております。お急ぎのお客様にはご迷惑をおかけします。」

「終わった。駅でキャンプセットを買わなくっちゃ。狸を狩るぞ!」

 駅のアナウンスに、私の野宿は確定した。


「行ってきます!」

「いってらっしゃい!」

 山に向かって朝の挨拶をする私。木霊が私に挨拶を返してくれる。これが秘境の村人の特権だ。

「やったー! 始発だ! 駅まで眠れる!」

 ちなみに山深村はバスの始発駅なので、朝は最寄りの電車の駅まで、約1時間眠ることができる。始発のバスの時間は遅めの午前7時。余裕の出勤時間だ。もちろんお客さんは、私しかいない。

「負けるもんか。zzz。」

 事実上の村長の東京出張用の貸し切りリムジンバスだった。

「うわわわわー!? 谷に降りる!? 急カーブはやめて!? 助けて!? お母さん!?」

 スリリングで命懸けの道中のボコボコのバスの山道は、私に眠ることを許さなかった。

「遊園地のアトラクションに乗ったと思えばいいのよ! ワッハッハー! 負けるもんか!」

 村長の私は、こんなことぐらいでは負けていられない。

「うわわわわー!? 肋骨が折れる!? ち、痴漢!? 私に触れるな!? やっぱり、都会は嫌だ!」

 電車の乗るとサラリーマンの出勤時間のピークだった。私は都会より、田舎の方が大好きだ。

 つづく。

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