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妄想中  作者: 渋谷奏
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私、過疎を救う3

「ただいま!」

「お、お姉ちゃん!?」

「な、七瀬!? あんた生きてたのかい!?」

「おかえり。早かったね。」

 私は都会に帰って来た。そして都会で暮らす家族の元に顔を出す。私の家族は父、母、妹の3人で都会で暮らしている。

「七緒、あなた就職はできたの?」

「お姉ちゃん、今の日本に就職できる会社があると思うの? 時給1000円のアルバイトなんかじゃ日本人は生きていけないのよ! ならキャバクラか風俗に体を売りましょうか? でもそんなのは嫌。私は無職なので、生活保護の申請に命をかけるわ!」

 妹の七緒。20才。高卒で、大学に行くお金も我が家にはないので、ブラブラ、引きこもり、フリーター、ニート、腐女子の都会なのに田舎みたいなスローライフを満喫している。

「私、就職できたわよ。ほれ。」

「うそだ。都会に疲れて、田舎に逃げたお姉ちゃんが就職なんかできるはずがないで!? ホンマや!?」

 私は、妹に社員証のようなものを手渡す。

「山深村、村長!? なんじゃこりゃ!?」

「エッヘッヘ。私、もう無職じゃないのよ。村長になったの。村長に。」

「どうやってなったの!? まさか!? ダメよ! お姉ちゃんお姉ちゃん!」

「どうしたの?」

「自首しましょう! 一緒に警察に行くわ!」

「はあ?」

「だって、村長さんを殺して奪い取ったんでしょ!?」

「誰が殺すか!? 姉を殺人犯にするな!」

「違うの?」

「あのね。私は村長さんに頼まれて村長になったのよ。」 

 実は田舎ならではの、いろいろあった。


「もう、わしはダメじゃ。後は都会から移住してきてくれた若い人に、この村のことを託したい。どうか、山深村を救ってください。」

「分かりました。私が山深村を地図から消えない立派な村にしてみせます。」

「ありがとう。これで思い残すことは無い。バタ。」

「村長!? 村長さん!? うう! ウエエーン!」

 こうして村長は、私に村の未来を託して、あの世に旅だった。

「村長さんは、寿命か、病気だったの?」

「いいえ、毒キノコを食べたのよ。」

「田舎、超怖い!? 私、田舎暮らし、マジ無理。」

 村長は加齢で視力が悪くなり、松茸と毒キノコの違いが分からなくて、毒キノコを食べてしまったのだった。

「村長、村のことは私に任せて、安らかにお休み下さい。」

 そして私は、次の村長に対抗馬がいなかったので、無投票で新しい村長に就任した。

「ごめん。父さん、母さん。いつまでも話していたいんだけど、私、今日は内閣府に村の支援をお願いに来たの。もう行かなくっちゃ。スマホの電波が圏外なので、村から連絡はできないの。」

「生きてるなら、それでいいんだよ。頑張りな。」

「今度は俺たちが遊びに行ってやろう。」

「田舎って、いい所だよ。」

「お姉ちゃん、カッコイイ。まるで社会人みたい。」

「だから村長だつの! またね。」

 七瀬は、今日も元気に生きています。

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