妄想中

帰ってきた！？ カロヤカさん

　目を覚ますと、朝だった。

「私をライト文芸甲子園に連れて行って！」

「私は、ライト文芸の甲子園で優勝する！」

　それは昨日の出来事だった。

　放課後の部室でライト文芸部の部長、春夏冬天（あきなしあまね）と同じく、ライト文芸部の副部長の宇賀神麗（うがじんうらら）は、愛を告白し合った。

　天と麗の二人は、ガールズ・ラブ。いわゆるレズだったのです。

「ギャア！？」

　天は、鬼の形相の麗に、いきなり殴られた。

「どうして私がレズビアンなのよ！？」

「冒頭に魅力的な読者を引きつける要素を書けって言ったじゃん！？」

「いいから！　私を出すなー！」

　ライト文芸部の部室に麗の叫び声が響き渡った。

「で、あなたたちは何をしているの？」

　麗は、何かを見つける。

「え？　小百合用のセクシーな下着を選んでいます。ニコッ。」

　１年生部員の越後屋笑（えちごやえみ）は、部長の天の命令で、セクシー下着を選んでいた。

「ジャケット写真のポージングはこれでいいかな？」

　同じく１年生部員の軽井沢花（かるいざわはな）は、セクシー下着を身に着けて、ポーズの練習をしている。

「カロヤカさん、もっとイナバウアーみたいにセクシーに仰け反って。」

　同じく１年生部員の小田急大蛇（おだきゅうおろち）は、カロヤカさんにセクシーポーズをレクチャーしている。

「こうか？」

「やらなくていいー！」

　また麗の叫び声がライト文芸部の部室に響き渡る。

「部長、セクシーな写真集ができました。ニコッ。」

　笑がライト文芸部の部員のセクシー写真集を天に渡す。

「どれどれ。」

　天は、セクシー写真集を見た。

「これは素晴らしい！　ウホウホ！」

　セクシー写真集を見た天は、余りのセクシーさに興奮した。

「部長様、これをネットで女子高生ポルノ写真集として売れば、丸儲けですね。ニコッ。」

「越後屋、そちも悪よのう。」

「越後屋は私の名字でございます。」

「ケッケッケッケッ！」

　悪者の嫌らしい笑いを浮かべる天と笑。

「ギャア！？」

「グワア！？」

　天と笑を麗が鉄拳制裁する。

「写真集は私が没収します！」

　麗がセクシー写真集を奪い取っった。

「暴力反対！」

「返せ！　私の写真集！」

　天と笑は、まだ抵抗を続ける。

「死ぬまで殴ろうか？」

「結構です。」

　天と笑は、白旗を上げた。

「でも、どうしてこんな展開になっているのよ？」

　麗は、良い所に気がついた。

「だって、名作の雪〇を読んでも、ただのエロ小説。やっぱり最初の掴みは、エロだろうと思ったんだ。」

　川端康〇先生の雪〇である。雪〇も、この年で読めば、ただのエロ小説であり、あれを文学と言ってしまえば、セクシー写真集も文学である。

「名作に謝れ！」

　ライト文芸部の中で、麗の役割は大切な舵取り役であった。

「ごめんなさい。」

　天は、意外に素直に謝った。

「分かればよろしい。これでライト文芸部も普通に戻れるわ。」

　麗はライト文芸部を魔の手から救った。

「みんな！」

　そこにライト文芸部の顧問の伊集院苺（いじゅういんいちご）が現れた。

「セクシーランジェリーの次は、セクシー水着よ！　イヤッホー！」

　苺は、手に大胆な露出の水着をたくさん持ってきた。

「ギャア！？」

　麗は、苺の頭を写真集で殴る。

「それが教師のやることか！？　顧問なら部員が間違った方向に進んだら、間違っていると教えてあげないと！」

　苺より麗の方が先生ぽかった。

「麗、怖い！」

　苺は、麗を怯えながら逃げていった。

「さあ！　ライト文芸部の関係者が全員揃ったところで、部の方針を発表する！」

　珍しく天が部長らしく話し始めた。

「ライト文芸部は・・・海賊王になる！」

「私たちは海賊か！？」

「ギャア！」

　もちろん天は、麗にボコボコにされた。

「それも面白いかもしれません。女子高生が海賊になって冒険する。ウケるかもしれません。ニコッ。」

　悪だくみを考える笑。

「カロヤカさん、海賊だって、右手を切り落とそうか。」

「はい。どうぞ。」

　チェーンソウで腕を切り落とそうとする真面目過ぎる大蛇。そして素直に手を出すカロヤカさん。

「やめなさい！」

「ギャア！」

「ギュウ！」

「ギョオ！」

　麗の三連続セクシー写真集の角叩きが炸裂する。

「血！？　血が出てる！？　ニコッ。」

　血が出てもにやけている笑。

「ダメだ！？　私はもう死ぬんだ！？」

　真面目に血が出たら死ぬと考える大蛇。

「カロヤカにお任せあれ。」

　カロヤカさんは、どこからか絆創膏を取りだし、全員の傷口に軽やかに貼って行く。

「ありがとう。カロヤカさん。」

「どういたしまして。」

　部員全員に何が起きてもカロヤカさんがいれば大丈夫。

「みんなー！」

　そこに顧問の苺が再びやって来た。

「苺ちゃんが帰って来た。」

「だって、ライト文芸部の第２期があるとも思わなかったんだもの。」

　その通り。ただ、このテイストで一から考えるのが面倒臭いので、ライト文芸部の第２期とした方が楽なのでスタートした。

「それよりも顧問として、みんなに言いたいことがあります！」

　苺は部員たちに何かを言おうとする。

「何々？」

　部員たちは興味深々である。

「ライト文芸部は・・・海賊王になる！」

　苺は、天と同じボケをする。　

「おまえもか！」

　麗がセクシー写真集を振り回して暴れ出す。

「我々は、秋のライト文芸甲子園で優勝を目指すぞ！　全員！　健康第一だ！　本日！　部活は終了！　逃げろ！」

　ライト文芸部は、読書と言えば秋。秋のライト文芸甲子園を目指すのだった。

「おお！」

　全員、命かながら間一髪の所で部室から逃げ出した。

「クソッ！　逃がしたか！」

　いつも麗だけは部室に残され、食べかけのお菓子や飲みかけのペットボトルの片づけをすることになる。

「キャア！？　エッチ！？　高校生のセクシー写真集って、すごいのね！？」

　麗は、実はムッツリスケベだったというオチ。

　つづく。