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第21話

「ただいまぁ〜」

「……こっ、恋葉ちゃん! が、がっこうはどうでしたか???」

 あれ、エヴァちゃんパジャマやん。それに、ベッドでゲームしよったみたい。

「学校、休んだと?」

 ベッドの中でもぞもぞしとる。

「ええ……恋葉ちゃんは随分大荷物ですね?」

 それもそのはず、先輩に教えてもらった手芸屋さんは本当にたくさんの可愛い物が売っていて、それに乗じて手芸本気でやってみようかなと思ったウチはそのまま本屋さんで手芸の本を購入。お昼からは公園のベンチでのんびりボーッと過ごしたあと、エヴァちゃんへのプレゼントも完成させて、先輩のご実家のパン屋さんでパンを買って帰ってきた。通学バックを持っていたとはいえ荷物がたくさんだ。重かった。

「えーっと、ウチもちょっと、サボってて」

「そうでしたの? だったら……」

「なぁに?」

 荷物をおろして、簡易テーブルにエヴァちゃんへのお土産を置く。

「な、なんでもありませんわ。それで、どこへ行ってましたの?」

 エヴァちゃんの方がおどおどしとって、変なの。まあこっちだって必死にいつも通りを装ってるわけやけど。

「駅前をぶらぶらしよったよ。今日なんか食べた?」

 問いに反応するように、きゅる、とお腹が鳴った。

「いえ……」

 ベッドから立ち上がり、やっと顔が見える。真っ赤やし、目元が腫れぼったくなっとる。もしかして寝れんやったんかな。やっぱり、言うべきじゃなかったかも。

 まあまあ、お腹いっぱいになって寝てしまえば明日には元気よね。明日も学校やし、昨日の夜とか今日も、あんまり休めんやったし。

「これ食べよ。朝会った先輩のお家がパン屋さんでね、バリ美味しかったんよ。それでね……」

「あの、」

 !! 気づいたら鼻がくっつきそうなくらい近くにエヴァちゃんの顔が。いや、流石にドキドキする……。

「な、なんでしょうか……」

 思わず敬語になる。ふわりと甘い香りがウチを包む。

「なんで避けるのですか。わたくしが、恋葉ちゃんを嫌いになるとでも?」

 昨晩と今日のことか、あの話題のことか。多分両方よね。

「そうなっても、仕方ないなって」

言いにくい、けど、こう言われると、正直に言わないと。

「あり得ませんわ!!」

 柔らかい両手で顔を挟まれる。

「は、はい。」

「あ……えっと……お腹空きましたわ」

「うん、どうぞ」

 急に気まずそうに目を逸らし、パンに齧りつくエヴァちゃん。何を考えとるんかなぁ。でも、嫌われる事がないなら、十分嬉しい。

「水分、持っていかれますわね」

多分さっきのは、勢いやったんやろう。でも、それでもいいや。

「あー…これでいいなら。飲みかけでごめんけど」

 鞄から自販機で買ったペットボトルのオレンジジュースを出す。ちょっとぬるいかもしれんけど。

 まだ半分以上残ってる。紅茶、買ってくれば良かったね。

「ありがとうございます」

 あ、間接キスやん。唇、ぷるぷるしてそう。甘そう。間接じゃなくて、直接キスしたいなー。

「……ふぅ」

「どうか、されました?」

「いやー、エヴァちゃん可愛いなって」

「んなっ!?」

 意外だなー。あんなに女の子を可愛がっとるのに。ちょっと楽しいかも。

 そうだ、シュシュ似合うかな。結んであげよう。ブラシぶらしー

「すごいね〜。キラキラさらさら」

 量も多いなー。お手入れ大変そう。

 ゆっくり、ゆっくり、髪を梳かす。

「そうじゃなくてですね! そうじゃなくて! わたくしは答えを出そうと!」

 その言葉に一瞬手が止まる。帰ったらお話するって決めたのに、やっぱり聞くのが怖いみたいだ。

「え。……いや、ゆっくりでいいんよ。そんな急に」

「言います! わたくしも恋葉ちゃんのこと大好きですわ! お付き合いしてくださいませ。だから、恋葉ちゃんと離れたりしませんわ! 分かっていただけましたか!?」

 今度こそ手を止めて、エヴァちゃんと向き合う。

「焦って後で後悔せん?」

「別に、恋葉ちゃんに言われたからではないのですよ? 前から、わたくしはそういう意味で、恋葉ちゃんの事が好きでした。あまりに出会ってから日が浅くて、確信を持つまでに時間がかかってしまいました」

 その目はあまりに真っ直ぐで、とても嘘をついとるようには見えんかった。それでも確認する。

「ほんとに?」

「ほんとです」

 即答される。

エヴァちゃんと、恋人に。

「……じゃあ、キスはウチとだけにしてくれる?」

「…………」

 あ、それは別の話なんだ。

「ぜ、善処しますわ! わたくしには、挨拶ですから」

焦ってる。でもそれって、ウチと付き合いたいって思ってくれとるってことかな。うん、都合良く解釈せんとね。

「嫉妬する。けど、嬉しい。その、付き合えるなら」

「……恋葉ちゃん、可愛すぎますわ」

へ!? なに、さっきの仕返し!? いやいや、でもエヴァちゃんはみんなに言うんだもん。いちいちドキドキするのは、良くない!

「ありがとー」

ふいっと顔を逸らすと、両手で挟まれて戻される。じっと見つめられる。うぅ、恥ずかしいんやけど……。

「んもう! わたくしは本気ですのよ?」

頬を染めてキスされる。緊張と恥ずかしさでかあっと顔が熱くなるのが分かる。うー、なんなんやろう。

「いや、だって、実感が湧かないというか」

ふむ、と腕を組んで少し考える素振りをするかと思うと、ニヤッと笑みを浮かべる。何を考えてるのか分からんのやけど……。

「じゃあ、わたくしが本気だということと、友達と恋人という関係、どういう違いがあるか体に直接教えてさしあげますわ♡」

「え、ちょ、」

ワイシャツのボタンをゆっくり外される。抵抗するのは簡単なのに、何故か体は動かない。


「キスの先、ということですわ。それだったら間違いなく、これから恋葉ちゃん以外の人とはしませんわ♡」

「な、なんか、エヴァちゃん怖いんやけど……」

「大丈夫ですわ♡」



第4弾開始前に完結させたい。

今回完結の予定だった。

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