第15話
ちょうど1ヶ月……( ꒪⌓꒪)
美術部の場所を先輩に聞き損ねたけん2階フロアを適当にブラブラしていると、程なくしてエヴァちゃんの声が聞こえた。
「お久しぶりですわっ! この間は本当に助かりましたわ♡」
ちゃんと美術部に着けたんやね。
「エヴァちゃんここにおったと? 探したよ」
「あら恋葉ちゃん、遅かったですわね!」
教室を覗いてみると。
「この間のおねーちゃん!」
「かおり、知り合いなの?」
ああ、なるほど。かおりちゃんと一緒に描かれていた女の子もおるんやね。
「今からくれはちゃんのいれるお抹茶飲むんだ! おねーちゃんたちもいこっ!」
「あら、いいんですの? 飲んだことないですわ」
「是非どうぞ」
「先輩は一緒じゃないの?」
「お姉様は部活動が終わってから来る予定なんです」
イラスト部、楽しそうだったな。まあ、絵が描けんけん入部はせんけど。
と、いうわけで、茶道部の部室に向かいます。
軽くお互いの自己紹介をすると、ちょうど終わる頃に部室に着く。
「準備してきますので、座って待っててくださいね」
言われた通り、3人で座布団の上に座る。うぅ、正座って苦手なんよね。すぐしびれるし。
エヴァちゃんは、和室の中をぐるりと見たあと、ウチの隣に座った。
「かおりちゃんは、お抹茶が好きなんですの?」
「実はにがてなの。でも、くれはちゃんがいれてくれるのは飲めるようになりたいの!」
あー。可愛いなぁ。
「まあ! えらいですわねぇ」
「えへへ。でもね、くれはちゃんも、わたしがお抹茶苦手なの知ってていれてくれるの。全部飲めなくても、少しずつ飲めるようになるのを褒めてくれるんだよ」
ああ、そっか。恋をするって、その人の為に頑張れて、優しくなれることなんだ。
「かなみちゃんもいつも応援してくれるの。だから、少しずつだけど、本当に飲めるようになってきたんだよ」
そう言って恋人の話をするかおりちゃんの顔が、さっきの先輩と重なった。想いあってるんだな。まあ、恋人なんだから当たり前、なのか。
「何のお話をしてるんですか?」
戻ってきた紅葉ちゃんは、藤色の綺麗な和服を身につけていた。なんというか、すごいボリュームですね…
…。それに、とっても似合ってる。綺麗。
「お抹茶のお話だよ〜。もう少しで飲めるようになるもんね!」
「そうね。今日はお菓子もあるから、少しは飲みやすくなるんじゃないかしら。」
道具を置いて正座ですわる紅葉ちゃん。たったそれだけの動作でもお上品というか、絵になるというか……。
「き、緊張してきたんやけど……ウチ、作法とか分からんし」
「楽にしていただいて大丈夫ですよ。先生も、他の部員も今日はいませんから」
とは言われても緊張します。迷いのない手つきでお抹茶を、淹れる、って言っていいんかな? うーむ。見ていられるな。動作が綺麗、っていうのも、おかしいような気もするけど。
「日本の文化は本当に素敵ですね♪ 」
とは、エヴァちゃん。手元よりも紅葉ちゃんを見ている辺り、お抹茶ではなく着物をことを言ったんやと思う。そっか。百合の話ばっかりしようイメージやけん忘れとったけど、そりゃあイギリスからはるばる来たんやもん。日本の文化にも興味あるよね。可愛いものとか好きそう。
「今度さ、京都とか行きたいね。着物もレンタル出来て、そのまま観光もできるけん楽しそう。ウチ、まだ行ったことないんよね」
小学校は長崎で、中学は大阪やったもんなー。高校はどこに行くんやろ?
「まあ素敵!」
「おねーちゃんたちは今年から星花に入ったんだっけ?」
「そうだよ」
「星花では中等部の3年生の時に、修学旅行で京都にも行くんだよ〜」
そうなんだー。羨ましいな。大阪も楽しかったけどね。京都もいつか、行ってみたい。
そんな話をしているうちに、お抹茶が完成。それと、お花の形をした可愛いお菓子も出される。美味しそう〜!
「紅葉ちゃんは今年京都へ行くのですね♪」
早速お菓子を……美味しい!
「はい。楽しみですが……」
少しだけ顔を曇らせた紅葉ちゃんは、かおりちゃんを見る。
「わたしは大丈夫だよ!」
「……修学旅行の時、私もお姉様もいないので……」
そっか。一人になっちゃうんだね。
「じゃあ、私たちのお部屋で一緒に過ごしましょう! それなら楽しいでしょう?」
「いいよ、そんなのおねえちゃんたちに悪いもん」
「え? 悪いって?」
「だっておねえちゃんたち、付き合ってるんでしょ?」
はい?
「え、エヴァちゃんとウチが?」
「違うんですか?」
紅葉ちゃんまで!?
「ち、違うよ!? 恋愛とかしたことないし、ほら、エヴァちゃんみたいな可愛い女の子とウチが釣り合うわけないし!?」
それに、エヴァちゃんだってウチのことそんな風に見てないやろうし、いっぱいほかの人とキスしてるし……。
「まあまあ、可愛いだなんて嬉しいですわ♡ 私は恋葉ちゃんとそういう関係になること、大歓迎ですわよ♡」
もー! すぐそういうこと言うっちゃけん!
「どうせみんなに同じこと言いよるっちゃろ〜」
「もう♡ 恋葉ちゃんったら、嫉妬しないでくださいまし♡」
「お似合いだとおもうけどな〜? ……あぅ、やっぱりにがい」
「そうね。お菓子も美味しいわよ、私のもあげるから」
「やったー!」
かおりちゃんと紅葉ちゃんの絡みってこんな感じでいいのかしら。
いちゃいちゃはしばらく控えめです。先に言っときます。