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ロボサムライ駆ける■第58回■過去・新タイプロボットを研究のリヒテンシュタイン博士に姉妹リキュールとマリアは実験体になって。ロセンデール卿に父と姉を殺されマリアは復讐を誓いモンドと共に脱出、日本へ。

ロボサムライ駆ける■第58回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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■第七章 過去


「リキュール、何をしておるのじゃ」

 怒りの声が女に飛んでいる。


 リヒテンシュタイン博士は、自分の実験室で資料をまさぐっている我が娘を発見していた。

リヒテンシュタイン研究所は、博士が自身がロボットでありながら、新しいタイプのロボットを研究していることで、世界でも有名であった。


「ま、まさか、リキュール、お前、私の発見をロセンデール卿に…」


 少し考えていたリヒテンシュタイン博士だが言う。

「わかったぞ、今までロセンデール卿に情報を流しておったのは、お前だったのか。我が娘だとは気付かなかった」


「今頃、気が付いたのですか、お父様。まあ頭の古いタイプのロボットのお父様としては仕方がないですわね」

「何を言う…」

 階下での二人の大声の、ののしりあいを聞き付けて、登場するのはリキュールと双子ロボットであるマリアであった。



「いったい何があったの」

 研究室で睨み合っている二人のロボットに気付く。

「お父様。まあ、リキュールお姉様もどういうことなの」


「マリア、このお前の姉リキュールは裏切り者なんじゃ。ロセンデール卿に秘密を漏らしておったのじゃ」 リヒテンシュタイン博士は怒りにまかせて、リキュールを非難する。


「どうして、お姉様」

 マリアはリキュールに目を向けた。

「どうしてですかって、マリア、お前はあの主水とかいう東洋のロボットにううつを抜かしてしまって目が見えなくなってしまったのですか。今の世界をご覧なさい。早く世界を統一しなきゃあ、大変なことになってしまうのですよ」


 妹のマリアの方を向いてリキュールは毒ついた。


「それとロセンデール卿に秘密をしゃべることは関係があるのですか」


「この娘はロセンデール卿にたぶらかされおって。よし、今からロセンデール卿の屋敷に行こう、お前は留守番だ、マリア」

「でも、私もいったほうが…」

「いい」

 それが、マリアが生きている二人を見た最後だった。二人は邸から出て行く。


悲劇はこの後おこった。


二人の遺体がロセンデール家から送り返されてきた。

『ロセンデール卿の屋敷当家に侵入しょうとして何者かに殺害された』との添え書きつきで。


 ロセンデールが、リキュールとリヒテンシュタイン博士を殺したのか。それははっきりとはわからない。


 マリアは博士とリキュールの遺体を前に復讐を誓う。


「お姉様。いい、あなたの記憶を私の電子頭脳の一部に移植するわ。


だから、私は今日からマリア=リキュール=リヒテンシュタインとなるわ。


ロセンデール卿、覚えてらっしゃい。きっと父の恨み晴らして見せるわ」


■「マリアどうした。なぜそんなに嘆き悲しんでいるんだ」

 主水がリヒテンシュタイン博士の屋敷を訪れていた。


「主水…、屋敷にもっと早くきてくれれば……」

 主水の胸元で泣き崩れるマリアだった。


「お父様とお姉様が…、ロセンデール卿に滅ぼされたの」

「が、リキュール殿はロセンデール卿の…」


「そう、姉はロセンデール卿の愛人ロボットだった。でもこの状態よ」

「ルドルフ殿下に訴えれば…」

「だめよ。証拠がない。それに、ロセンデール卿はルドルフ殿下のお気に入りだもの」


「おのれ、ロセンデール卿め、この恨みはらさいでか」


「復讐は、ロセンデール卿が他の国にいるときでないと…」


 が、主水とマリアは、とうとうロセンデール卿の屋敷まできてしまっていた。


ロセンデール卿の館は中世の城を模して作られている。回りに堀が巡らされている。

「ロセンデール卿、姿を見せろ」


 主水は長い間叫んでいた。やがて、ロセンデール卿が城壁の上から姿を見せた。


「おや、これはこれは私の愛しいザムザ卿を滅ぼした黄色いロボットではありませんか。それに黄色いロボットにくっついた裏切り者では…」


 ロセンデール卿の嘲りの言葉に、急にマリアが珍しく、癇癪を爆発させていた。

「ロセンデール卿、降りてらっしゃい。父と姉の敵…」


「おやおや、麗人マリア、どうかしたのですか。そんな怒りは体によくありませんよ。私があなたの博士と姉を殺したですと…。間違ってもらっては困ります。 二人は、私のこの屋敷に不法侵入しようとしたのです。それ故、自動装置が働き、二人を焼き殺してしまったのです。事故ですよ。事故」


「ロセンデール卿、覚えていなさい。この敵、必ず打って見せます」

「おやおや、マリア。恐ろしい表情ですね。あなたの姉リキュールはいくら怒ったって、このようなお顔は見せませんでしたよ」


「止めなさい。私の姉を嘲るのは」

「主水くん、よろしいですか。愛しい者を失ったものの痛みがわかったでしょう」


 ロセンデール卿の青い目に冷たい光が宿っていた。騒ぎを聞き付けてルドルフ大帝の親衛隊が駆けつけ、とりあえず収まったのであるが。


ロセンデール卿は次々と刺客を二人の身を襲わせた。それ故、二人は新生ゲルマン帝国より逃れたのである。


がしかし、早乙女モンドは リヒテンシュタイン博士が、新しいロボット、流体ロボットを完成させてこの姉妹の体に埋め込み適応させているとはしらなかった。


(続く)

■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(5)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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