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ロボサムライ駆ける■第12回 霊能師、落合レイモンは、徳川公国ロボザムライ、早乙女主水(もんど)の頭脳の中に侵入し、徳川公の目的を読み取る。

ロボサムライ駆ける■第12回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

●http://www.yamada-kikaku.com/

yamadakikaku2009-youtube



「何をおっしゃいます。おそれおおうございます」

 いやなこった。

「手を貸せともうしておるのじゃ、はようせい」

 レイモンはいらだっていた。


 レイモンの方に、主水の右手が勝手に動いていく。

「うわっ、どうしたことだ。手が…」

レイモンの手に主水の右手がくっついてはなれない。

「何をなさいます、レイモン様」


 恐るべき力が主水の腕に加わってくる。電流が二人の間に流れている。

「さすがロボザムライ、記憶が電磁処理だけに読み取りやすいわ。ふふん」主水の持つ電脳情報が手を通じて流れていく。


「お、おやめください」

 あがらう主水。が、手を離すことはできない。


 主水の体にレイモンの体から発せられた電流が走っていた。

微弱ではあるが、主水の体のメインコンピューターが出力低下を起こしている。自らの命令のまま、動かないのだ。


 ロボザムライの頭脳記憶の中に、レイモンの何かが侵入してきた。ロボの記憶データは膨大過ぎる。レイモンのそれは必要な情報を、主水の記憶の森から奪い取るようであった。

「くくっ、徳川公もくせ者よな」

 一瞬、空白が主水の頭を襲う。レイモンの前に倒れている主水に、


「気を失いよったか、この機械人形。やくたいもない。わしの護衛としては、どのようなものかのう、夜叉丸」

「レイモン様、こやつはやはり力仕事に」

 夜叉丸が尋ねた。

「そうじゃな、へんに情報を与えると我々の仕事の邪魔をするやもしれん」


「ところで、御前、また、お薬の時間でござる」

 夜叉丸がいった。夜叉丸はレイモンの薬飲のタイムテーブルを持っているのだ。後ろには薬品が詰まった収納庫が控えている。前の主水より、薬の方が大事だった。


「うーむ、この時間はどの薬じゃったかの」

 金庫の棚の薬をかき回すレイモンであった。ふと、夜叉丸の方を振り返り、

「よいか、夜叉丸。やつがれの薬、忘れず西日本に持って行くのだぞ。薬は生命の源じゃからのう」

 レイモンの最大の関心事は、薬である。


「承知しております。して、御前。この主水なるロボット侍の処置は」


「主に任せる。とりあえず帰してやれ。気を失ったことなど、忘れておるであろう。そう電脳の処理はしてある」

「ふっふっふっ」

 軽く含み笑いをするレイモンであった。


    ◆


 何とか旗本公国マンションにたどり着いた主水は、確かに、落合レイモンの家での事を忘れていた。


「旦那、どうでしたい。お上の御用は」

屋敷にはすでに、鉄が上がりこんでいた。


「うむ、ご壮健であられた。しかし、鉄、おまえも良く宅にくるのう。まったく」

「よろしいじゃござんせんか。姐さんもよろこんでいることですし」

「どなたが喜んでいるんですか、鉄さん、あなた……」

「へい、何でござんしょ」

「感情のラインが、いかれているのじゃないのかしら。一度ドクターにチェックしてもらいなさいませ」


「そりゃ、姐さん。ないですよ。私がいるおかげで、早乙女家にいつも笑顔がたえないってものでしょ。ねえ旦那」

「旦那じゃねえや。用がすんだら早く帰れ」

「そう、邪険にしちゃ、いけあせんぜ。そいでお上の御用向は」


「しばらく、東京を留守にいたす」

「どこかにご出張ですか」

「西日本に下向いたす」

「西日本ですって、そりゃ大変だ。旦那、まさかロボット奴隷になりにいくんじゃ」

「ばかもの、なぜわざわざ私が奴隷にならねばならんのだ」


「いや、どれいでもすきにしてとか」

「鉄。ばかもの。貴様が奴隷になれい」

「でも、あなた、京都では、足毛布博士にお会いになるのでございましょう」マリアが話しの話題を変えた。


「その足毛布博士よな……」

 いいながらマンションから東京の風景をみる主水であった。どうしょうかなと思い悩んでいるのである。生みの親である足毛布博士の顔が夜空に浮かんだ。

「ちちうえ……」

思わず叫んでいた。


なぜちちうえという言葉が口から飛びだしたのか。主水は自分でも不思議に思った。


続く090901改訂

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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